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ようこそ、新世界へ。1-3

ログハウスの中は基本的な家具なども揃えられており、質素だが生活をしていく上では問題がない作りになっていた。

見たことがない機械のような物が付けられているキッチンのような場所やトイレなども完備されている。

その部屋の中心に置かれている人が4人ぐらいなら囲めるであろう大きさのテーブルの椅子に腰を掛け、涼は改めてスラミに質問をしていく。


「それで?聞きたい事は沢山あるけど、まず俺を異世界に連れてきてまでやってほしい事ってなんだ?」


同じように涼の向かい側の椅子に座っている、いや乗っているスラミはさきほどまでと同じように木の看板のような物に文字を書いて意思の疎通をしてくる。


「『貴方にはこの大陸の生態調査及びマナクリスタルの鉱脈の発見を優先して行うように伝えよとフォルトゥナ様から命を受けております』」


「生態調査にマナクリスタル?いまいち何をすればいいか分からないな」


涼はスラミから伝えられた内容をいまいち理解できず腕を組んで考えている。

そうしているとスラミは別の物を取り出して涼に手渡してきた。


「『それとこちらを貴方に渡すようにと仰せつかっております、異界の機械をこちらの世界でも作動するように処置を施したとフォルトゥナ様は説明しておりました』」


「ん?俺のスマートフォンか、無いなと思ってたけどこっちの世界でも使えるのなら役に立つの.....か?」


涼はスマートフォンを受け取り電源を付けてみる、するとスマートフォンを制作した企業のロゴの代わりに恐らくフォルトゥナを模したであろうミニキャラが表示された後ホーム画面が表示された。

そこにはインストールした覚えのない謎のアプリなどが入れられており、そのうちの一つに【最初に見ること!】と書かれた動画ファイルがあったため涼はそれをタップして選択した。

まず注意書きとして地面に置いて見ることと書いてあったので涼はテーブルの上にスマホを置くと、ホログラムのような物がスマートフォンから表示され動画として再生されていく。


「『やっほー!この動画を見てるってことは転移は上手くいってスラミちゃんとも合流したみたいだね、うんうん!一安心だよ!』」


その動画は立体でフォルトゥナが表示され彼女が話している様子が投影され始めた。


「『まず涼クン、大した説明もしないで転移させてごめんね!涼クンからしたら一瞬の出来事だったと思うんだけどキミがエピクロスに適応出来るように転移する際に身体の造りを変えたりとかこのスマートフォン?とか言う機械を改造したりとか色々時間が必要だったんだよ!』」


動画の中でフォルトゥナは少しバツの悪そうな表情でそう説明している。


「『でも安心して!キミがそこで快適に生活できるように用意はしておいたから!このスマートフォンにも便利な機能を色々追加しておいたしキミ自身の能力も強化しておいたよ!詳しくは説明書を書いておいたから動画を見終わったら読んで確かめてね!それでなんでキミを転移させたかなんだけど......』」


フォルトゥナは表情をコロコロ変えながらもっとも涼が気になっている理由について説明し始めた。


「『もうスラミちゃんから聞いたかな?その新大陸の生態調査とマナクリスタルの採掘をして欲しいんだよね、なんでわざわざそんなことさせるんだ?ってそんな疑問も今からバッチリ説明しちゃうよ!』」


そういうと画面上のホログラムにこの世界の地図らしきものが表示されフォルトゥナは説明を続けていく。


「『まずこれがエピクロスの世界地図だよ!それでこの真ん中に描かれてる場所が今回キミを転移させた場所、通称新大陸。正式名称は特に決まってなくて、ヒト族や魔族の間ではなんて呼ばれてるかはわかんない!それで見てもらうと分かるとおもうけど絶海の孤島だね!一番近い大陸はその世界の高性能な魔動船で3日ぐらい掛かるからその新大陸にはヒト族とか魔族とかは定住はしてないと思うよ!原住生物や新大陸独自の進化を遂げた生物が沢山生息してるから気を付けてね!』」


気を付けてと言われても何に気を付ければ良いのか分からないと思いながらも進んでいく説明を涼は聞いていく。


「『他にもこの大陸に通じる道はあるけどどの道も並みの冒険者じゃ突破することが出来なくてたどり着いたヒト族や魔族は一握りかな。まぁそれは今はいいとして、その新大陸の事ってその世界でも全然知られてないしボクも詳しくは調べられてないんだ。ただ新大陸全土で文明の発展に欠かせないマナクリスタルが沢山発見出来るってことが分かったんだよ!この世界【エピクロス】ではマナクリスタルが結構貴重でね、他の世界ではそうでもないんだけど何故かエピクロスでは中々ヒト族や魔族の住む大陸では見つかりにくいんだ』」


そういうと地図上にグラフのような物が表示されたり、ゲージのような物も表示されていく。

そのゲージを指さしながらフォルトゥナは説明をする。


「『この世界の文明レベルはステージ3涼クンに分かりやすく言うと中世時代!魔法という物はあるけどまだそこまで文明は発展してない。ボクの役目として世界の文明レベルを上げないといけないんだけど、さっき言ったようにマナクリスタルが希少品で文明の発展に欠かせない乗り物とかが普及してないんだ。そこで新大陸のマナクリスタルを涼クンに集めて貰って世界に広めて貰おうってワケ!』」


そういうと新大陸から矢印が世界中の大陸に伸びていく様子が表示されていく。


「『下手にボクが世界に干渉したりすると種族間のバランスがおかしくなったりしちゃうから涼クンが丁度いい感じでやって欲しい!決して面倒とかそういう訳じゃないからね!それと生態調査のほうなんだけど......』」


そう言って次は画面上に様々な生物の姿を映し出していくフォルトゥナ。


「『この世界ではヒト族や魔族と生物......モンスター達は比較的共生して生活してるんだ。それこそ涼クンの世界にいた馬の代わりとか家畜の代わりとか、共に冒険や生活をする相棒としてね!だからマナクリスタルが豊富にある新大陸では独自の進化を遂げた生物が沢山いるはずだよ!そういった新種族を発見して保護することでより世界の発展に繋がるはずだし、そこで暮らすには色んな種族の助けが必要になってくるはずだからどんどん仲良くなっていくんだよ!もちろんスラミちゃんとも仲良くすること!』」


そう言ってフォルトゥナは画面に出していたものを閉じて説明をまとめていく。


「『長くなっちゃったけどひとまず涼クンを呼んだ理由は分かってくれたかな?他にも詳しい事はスラミちゃんも教えてくれるから気になったら彼女に聞いてみると良いよ!それじゃあいよいよ始まる快適な新大陸生活を楽しんでね!バイバーイ!』」


そう言って動画は終わりホログラムは消えていった。

動画を見終わった涼はまだ分からないことだらけだが、動画を見る前よりはなんとか現状を理解した後スラミに確認を込めて質問をする。


「つまり新種族の発見とマナクリスタルの採掘って事で良いか?それと動画でフォルトゥナは俺の身体を変えたとか言ってたが大丈夫なんだろうな......?」


少し不安の混じっているその涼の確認と質問にスラミはすぐ看板で答えを書いてきた。


「『ひとまずはその認識で問題ありません。貴方に施した転移時の処置も体調に異変が起きるなどではなく、こちらの世界に存在する魔力に適応するために新たな器官の追加や言語などの知識の刷り込みなどが主ですので心配するほどではないと考えます』」


そう言われると涼は今まで読んでいたスラミの看板の文字も日本語ではないことに気が付くが、言われるまで気が付かないほど自然に読めていたことに驚く。それに初めてスラミを見た時も驚きはしたものの普通に受け入れていた自分にも納得した。


「なるほど......まだ納得できてない部分もあるがここで自給自足していかなければいけないって事は理解できたよ。生きていくうえでほかの種族と助け合ったりそのマナクリスタルとやらが必要になってくるんだな」


「『肯定します、私からの提案と致しましてはまずこの小屋の周辺の地形の把握及び食糧の確保が当面の課題かと思われます。非常食は少しながらフォルトゥナ様が倉庫に用意してくださっておりますので安心してください』」


「地形の把握に食糧ね......確かにそうかもな、まだ外は明るいから少し周囲を探索してみるか」


そう言って涼は立ち上がって外に出ようとドアの方へ歩いていこうとするが、スラミはちょいちょいと涼の身体を叩いたあと看板を出してくる。


「『周辺の探索する前にまず敵性生物と遭遇した場合に備えて魔力の使い方などを私がお教えします、外で実践訓練に致しましょう』」


そう言ってスラミは涼に看板を見せた後先にドアを開けて外に出ていった。


「魔力の使い方ねぇ、果たしてそんなに簡単に使えるんだろうか......」


涼はそう呟いてスラミの後を追いかけて外に向かうのだった。

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