ようこそ、新世界へ。1-2
意識が朦朧とした後、気を失っていたのか意識を取り戻した涼は見知らぬ空の下で目を覚ました。
「......ここは?」
ひとまず呼吸が出来てる事や体が動かせることに安心した。それと同時に横になっている筈なのに固い地面の感触が背中に無い事に違和感を感じた涼はゆっくりと立ち上がって後ろを確認してみる。
「えーっと、何だこれは......?」
涼はそこに存在していた青く透明で丸い物体を目にして戸惑っていた。さきほどまで涼を乗せていたであろう部分は柔らかい性質なのかへこんだままになっていて、大きさは成人男性の涼が横に倒れていてもカバー出来るぐらいには大きい。
「ウォーターベッド?にしては小さいしそういうクッションにしては大きいし......」
うーんと悩んでいるとその物体はぶるぶると震えて動き始め、ぬるりと身体の中から大きな木の板のような物を取り出して涼の眼前に突き出してきた。
「動いた!?それになんか出してきたけど!?えーっと何か書かれてるな......『目が覚めましたか、私はフォルトゥナ様より命を受けて貴方のサポートを任されたブルースライムのスラミです。以後お見知りおきを』って書かれてるな、ってかスライム......!?」
驚きの連続に動揺を隠せない涼。
目の前で動き始めたゲームやアニメの世界でしか聞いたことがない存在をなんとか理解するまでの間に、スラミと自己紹介したスライムは続けてまた文字の書かれた板を取り出してきた。
「『目覚めたばかりではありますがこの世界についての説明などを私からしたいと考えておりますので、フォルトゥナ様に用意して頂いた生活拠点の小屋にひとまず向かいましょう』」
スラミは器用に体の一部を小屋への矢印をに変形させて涼に移動を促す。
「お、おう......急な展開でまだ理解が追いついてないけど外で立ったまま話すのも異世界だし何があるか分からないよな、そのフォルトゥナが用意してくれた小屋に行こうか」
スラミは涼の言葉を聞いたあと、ぴょんぴょんと身体を跳ねさせながら小屋がある方向へと移動していく。
涼はその姿を追いながら異世界に来たという実感を確かなものにしていたのだった。
そのあと目覚めた森の中を草木をかき分けながら進んて行くと人工的に整えられたであろう開けた場所にたどり着いた、そこには人が一人暮らすには十分な大きさに見えるログハウスや小さい倉庫のようなものが木造建築されている。
「おお......!なんだか昔、学生時代にキャンプに来た時の事を思い出すなぁ。とは言えあの時ように日帰りって訳じゃなくてまだ実感は薄いけどここで生活していかないといけないんだよな」
先に進んでいたスラミはログハウスの入り口で涼が来るのをじっと待っている。
涼はそのまだ見慣れない姿が何故か少しおかしくも思えてしまい、これからの生活に胸を躍らせながらログハウスに入って行ったのであった。
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