84 最終決戦 ⅲ
島津さんは世代交代して薩摩弁やめました
道明寺、八尾にて損害を蒙った幕府軍だったが全体の物量からしたら大したことは無かった。
「このままでは勝てぬ。ここは城から打って出て将軍と大納言の首を取るしかない。」
大阪城内にて直政が言う。
「兵部殿に同じく。さすれば敵の中から離反する者が現れまする。」
勝永も続く。
「私も同じ考えだ。2人共、私に命を預けてくれるか?」
吉継が聞くと2人は頷いた。
「四天王寺は狭隘な丘陵地だ。そこにお主らが敵を引き寄せよ。さすれば陣は伸びきり幕府本陣が手薄になる。そこを私がつく。」
「天王寺口方面の将軍と大納言はお二人にお任せ致す。ワシは岡山方面の信則を討ち取りましょう。」
大野治房が言う。
「ではお主に任せる。吉治は秀頼様の元で出陣するようにお頼みせよ。」
「ははっ!」
夜のうちに井伊、毛利隊の七千と大野隊五千及び吉継の別働隊五百が移動を開始した。
対する幕府軍は天王寺口に島津信恒、溝口秀勝、村上義明、徳川忠直、前田利常、真田信繁、黒田長政、伊達政宗、信秀本隊及び光秀、堀秀治が進み岡山口に毛利秀元、吉川広家、最上義光、佐竹義宣、長宗我部信親、立花宗茂、織田信則が配された。
まさに鉄壁の布陣であった。
そして翌日。
「行くぞ!井伊殿の進まれる道を切り開け!」
毛利勝永が攻撃を命じた。
後ろに引くことの出来ない毛利隊は一気に島津勢に飛び込んだ。
「釣り野伏せの準備が済む前に……。鉄砲で迎え撃て!」
信恒が命じる。
「放てぇぇぇ!」
ダァッン!
島津勢が鉄砲で毛利勢を攻撃した。
「馬上盾構え!鉄砲隊は撃ち返せ!」
勝永が命じると騎馬兵は石製の盾を構えそれを追いかける鉄砲隊は吉継の回転式鉄砲を切り詰めた短銃で島津勢を攻撃した。
島津勢が一発撃つごとに六発である。
島津が誇る鉄砲隊はあっさりと勝永に粉砕された。
「ちっ!信恒殿、ここはワシに任せてお主は引くのだ!」
これを見てマズいと気づいた豊久は信恒を撤退させた。
「誇り高き薩摩の武士よ!今こそ九州征伐の恨みを晴らす時よ!かかれぇぇぇ!」
薩摩の兵たちにとっては思い出したくない戦であった。
そしてその恨みは体中に染みている。
その恨みが20年越しに解き放たれた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
島津勢は湧き上がった。
そして毛利勢を迎え撃った。
「怨恨だけでは戦には勝てぬわ!槍衾を敷け!島津勢を叩き殺せ!!」
勝永が命じると騎馬兵と槍兵が入れ替わり突撃してくる島津勢に槍を振りかざした。
「ぐっ!」
先頭を走る豊久にも槍が直撃し豊久はそのまま落馬して動かなくなった。
「豊久様っ!ギャァァァァァ!」
豊久に駆け寄ろうとした兵たちは皆槍衾の餌食になっていく。
戦国最強とまで言われた鬼島津の部隊はあっさりと毛利勢につき崩された。
「島津を助けよ!かかれ!」
散々に島津勢を叩きのめす毛利勢の側面から溝口勢が横槍を入れた。
「そのようなことはお見通しよ。馬上筒にて敵を追い払え!」
ダダダタァァァァンッ!
騎馬兵達は腰から短銃を取り出すとそれで溝口勢に集中砲火を浴びせた。
白兵戦に持ち込もうとした溝口勢は一溜りもなく秀勝自身も銃弾に倒れ崩壊した。
島津勢を叩きのめした毛利勢はそのまま村上勢も散々に蹴散らし徳川勢に襲いかかった。
「最後の最後まで意地の悪い奴らだ。三河武士よ!数の差を活かすのだ!」
「しかしよぉ。ここらは狭くて包囲するのは厳しいぞ……」
忠直に勝成が進言する。
「しかしここで止めねば上様に……」
だが徳川勢の元に向かってくるのは敵だけではない。
味方の敗残兵もだ。
ふたつの部隊が一気に来たので徳川勢は混乱に陥り1度兵を引くことにした。
「ふん!つまらぬ。つまらぬわ。」
それを後方から見た伊達政宗は呆れていた。
「小十郎、撃て。」
「は?来るのは味方ですが?」
「伊達の兵法に敵味方の区別はない。撃て。」
「……ははっ!」
一瞬躊躇った重長だが直ぐに攻撃を命じた。
ドドドドドォォォォンッ!
「なぜこちらに撃って来る!味方だろうが!」
こちらを攻撃する伊達勢に徳川勢は激怒した。
しかし逃げるしか無かった。
「誠にぶつかれば負ける。1度兵を引くぞ。」
政宗はそう言うとさっさと撤退してしまった。
これにより毛利勢は織田本陣を捕らえた。
「見えた!織田本陣だ!皆の者かかれぇぇぇ!」
その光景を眺める井伊直政も遂に立ち上がった。
「誇り高き赤備えよ!修羅となりて敵を焼き付くさん!目指すは大納言の首ただ一つ!これは敵討ちじゃ!かかれぇ!」
直政が采を振ると赤備えが動き出した。
「殿!赤備えですぞ。勢いが尋常ではありませぬ。お逃げくだされ!」
こちらに向かってくる赤備えを見て前田家の家臣は皆利常に撤退を進言した。
だが利常は首を縦に降らなかった。
「上様は裏切り者の我らを許してくださった。その御恩に報いず逃げるなど父や兄より恥ずべき事!ここで赤備えを消し去ってくれるわ!」
利常からの力強い言葉に兵達は湧き上がった。
前田勢は戦列歩兵にて赤備えを迎え撃った。
だが島津勢同様に鉄砲攻撃は石製の馬上盾を前にして効果はなかった。
「そ、そんな……。」
それを見た利常は力が抜け座り込んでしまった。
「殿!お逃げくだされ!」
「ワシは武士として未熟であった……。武功が挙げられないのならばこの世にいる意味などない……。ワシは腹を斬る。首を取られるでないぞ。」
「殿!!」
家臣が止めようとしたが利常は腹に刀を突き刺した。
指揮を取るもののいなくなった前田勢は馬上筒の混乱もあり四散した。
「大したことは無かったな。次は誰だ?」
そう言う直政は次の瞬間目を疑った。
「赤備え……だと!?」
眼前には赤備えの騎馬隊、そして六文銭の旗が立っていた。
「井伊殿、貴殿が武田の遺臣を取り込み赤備えを組織したのは聞いておる。されど我らが赤備えは誠の山県昌景様の赤備え。ここで決着を着けましょうぞ!」
信繁はそう言うと十文字槍を構えた。
「面白い!どちらが真の赤備えか決めようではないか!」
直政も槍を構える。
今、戦国最後の戦いにて戦国最強の赤き部隊が激突しようとしていた。
コピペミスってました
意味わからない進行しててごめんなさい




