83 最終決戦 ⅱ
鍋島勝茂のポジション、井伊直孝の方が良かったかもしれないんですがそもそも鍋島勝茂が長宗我部盛親ポジションなのでうーんこの
河内方面より大坂に向かう部隊は藤堂高虎及び長宗我部盛親を先鋒とし細川忠興、島津信恒、蒲生氏郷、そして信秀と光秀の本軍が続いていた。
対する豊臣方は湿地帯で迎撃することを決め木村重成と鍋島勝茂を送った。
「なんというか不思議な感じがするな。」
先頭を進む盛親が隣にいる高虎に言う。
「私も同じです。実は昨日夢でここに来たような気がします。」
「ワシも同じじゃ。お主と戦う夢を見ておったわ。」
「ほう、備前殿もですか。私が大敗して命からがら逃げておりましたわ。」
「お、本当に同じ夢を見ていたようだな。珍しいこともあるものだ。」
「夢のようにならねば良いな。」
「備前殿こそお気を付けて。」
高虎は一礼すると軍を八尾方面に向けて移動させた。
対する盛親も若江方面に部隊を展開した。
「成富よ。相手は鍋島勝茂のようだが?」
八尾に向かう高虎が成富茂安に聞いた。
彼は元々鍋島勝茂の家臣で鍋島家が改易されてから藤堂家に身を寄せていた。
「10年も昔の話でござる。先陣は私にお任せくだされ。」
「そうか、ではお主に任せるぞ。」
高虎に命じられた成富は五百の兵と共に萱振にて進軍する鍋島勢を発見した。
「よし、かかれ!」
成富が命じると側面から藤堂勢が攻めかかった。
突然の襲撃に鍋島勢は壊滅し兵は逃走した。
逃走した兵の1部が勝茂にそれを報告した。
「申し上げます!萱振にて藤堂勢と激突、部隊は壊滅との事!」
「くっ!全軍長瀬川にて敵を迎撃するぞ。
皆槍を持ち堤防の下に伏せよ。」
勝茂が命令すると騎馬兵も鉄砲兵も皆槍を持ち堤防の下に隠れた。
それに気づかない藤堂勢は堂々と進軍して行った。
「あれが加賀守か?」
「いかにも、あれが藤堂高虎でござる。」
勝茂は高虎の面識のあった増田盛次に聞くと立ち上がり
「全軍書かれ!高虎の首を取れ!」
勝茂がそう叫ぶと五千の兵が堤防から藤堂勢になだれ込んだ。
「高虎様!ここはお逃げくだされ!」
それを見た成富は高虎に逃げるように言い残し鍋島勢に単騎突入した。
「む、あれは成富か!」
「おお、ご無事でしたか、若!」
「そなたもな。今は藤堂家におったか。」
「左様。それ故にお覚悟願いますぞ。」
成富はそう言うと刀を抜いた。
「やめろ……。どうして俺とお前が争う必要がある。共に肥前へ……。」
「生ぬるいことを言っていれば肥前は取り返せんぞ!覚悟!」
成富はそう言うと勝茂に襲いかかった。
直ぐに近くの足軽が槍で一気に突き刺す。
「ぐっ!皆……若を……肥前へお連れせよ……」
そう言うと成富は崩れ落ちた。
成富が倒れると鍋島勢の士気は上がり高虎の一門の藤堂高虎と藤堂氏勝も討ち取られ完全に鍋島勢の勝利だった。
しかし若江方面は違った。
木村重成は長宗我部勢を誘導して鉄砲で一網打尽にしようと考えたが盛親はあっさりとそれを見抜き逆に木村勢を包囲していた。
まさに父譲りの才覚である。
「四方八方に敵が……。秀頼様、申し訳ございませぬ。」
絶望的な状況に重成は大坂城に謝ることしか出来なかった。
「何を弱気な事を、まだ戦は終わっておらぬぞ。」
直政の嫡男の直孝が言う。
「されどもはや敵は……」
「先程話した夢の話、お主は負けたがワシは勝った。つまりこの戦は勝てる!行くぞ!」
直孝の励ましもあり木村勢は反撃を開始した。
「なんと愚かな。距離を取り鉄砲で撃ち殺せ。乱戦の時代は終わった。」
攻撃してくる木村勢に長宗我部勢は四方八方から鉄砲玉を浴びせた。
「長宗我部め……。誠の武士なら刀を持って戦わんか!」
重成が叫ぶ。
「やめろ!連中を挑発するな!」
直孝が言うがもう遅かった。
「ほう!鉄砲を使うなと申すなら銃剣を使わさせてもらうぞ。」
盛親は着剣を命じて突撃させた。
重成は槍衾で止めようとしたが槍を下ろす前に鉄砲で槍兵は撃たれ作戦は失敗した。
「直孝殿、貴殿は逃げられよ。ここは私がケジメをつける。」
「……、秀頼様には私からお主の武勇を報告しておく。」
直孝が撤退するのを確認した重成は髪に香を炊き突撃を命じた。
「さらばだ、重成……。」
若者の奮闘に感動しかけていた盛親だったが無慈悲な攻撃を命じる。
大量の鉛玉が重成に突き刺さる。
「む、無念……。」
重成はそのまま真っ直ぐに倒れた。
「よし!木村勢は壊滅させた!高虎を助けに行くぞ!」
結局側面から来た長宗我部勢と立て直した藤堂勢と戦うのはマズいと思った勝茂は撤退しそのまま戦場からも逃走。
決戦を待たずに戦線から離脱してしまう。
「申し上げます!八尾、若江方面にて鍋島、木村勢壊滅!このままでは挟み撃ちにされます。」
「そうか……。」
その報せを聞いた直政は拳を握りしめた。
眼前には大量の竜騎兵の死体と踏み倒された伊達や片倉の旗が散らばっていた。




