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68 決戦前夜

如水、三成、吉継らは大垣城に入り毛利、鍋島軍は伊勢の安濃津城及び松阪城を落とし、大垣城に入った。


対する光秀らも先鋒の池田、森両軍に本軍も合流し岐阜城にて西軍と睨み合った。


「さて、敵は大垣城周辺に敵は九万を超える兵を展開しておる。城攻めするにも我らが軍は十万、少し厳しいだろう。そこで大垣城を素通りし関ヶ原で待ち構え、敵が出てきた所を叩き潰そうと考えておるのだがヌシらはどう考えておる?」


信秀が聞く。


「ええ、よろしいかと。先陣は私にお任せあれ。」


忠興が真っ先に賛成した。


「私も賛成です。城攻めより野戦に持ち込んだ方が早くケリがつきます。」


光秀も続く。

それを聞いて他の者も皆、賛成した。


「もし出てこなかったら?」


信親が聞く。


「佐和山を落とし京を取り返し四国勢と合流して大坂を叩き潰す。」


光秀が答えた。


「もし我が軍に福島や加藤のような豊臣恩顧の大名がおるならともかく、我らは皆織田家のものか外様大名。豊臣にはなんの義理もない。むしろ謀反人じゃ。」


光秀が続けて説明する。


「しかし秀頼は祖父上の姪の淀殿の子。少し気が引ける気もするが……」


信則が戸惑った顔で聞く。


「ヌシは甘いな。それこそ、織田一門として有るまじき行為よ。それにあの女は浅井の娘。我らにとっては敵じゃ。」


「信秀様の仰る通り。淀殿は織田を裏切った女。それに秀次事件の裏にあの女が居たのを信則様も知っておいででしょう?」


「え?あの事件、淀殿が関与してたのか!?」


輝政の説明に秀雄が驚いた。

やはりこいつは父に似てバカ殿だ。


「全く……しっかりしてくれ……。」


信長の弟の信包と有楽斎は頭を抱えた。


「あと、毛利秀元、吉川広家、小早川秀秋は我らに内通しておるので。」


光秀が思い出したように言う。


「どういうことだ!私の家臣は毛利に殺されておるのだぞ!」


信親が立ち上がり異議を唱えた。

仮に勝利したとはいえ森孝頼や谷忠澄が毛利勢に討ち取られたことは変えられない事実であり信親に納得のいくはずがない。


「御安心なされよ。その三人は四国攻めには無関係でござる。それに輝元と安国寺恵瓊は斬るつもりじゃ。」


「しかし……」


信親は何か言いたそうだったが空気を読んだのか黙って座った。


「ではそろそろ行くとしよう。」


織田軍が関ヶ原に布陣した情報は直ぐに大垣城に入った。


「よし!見事に罠にはまってくれたわ。全軍手筈通り布陣せよ!」


如水が命じると西軍も一気に動き出した。


光秀は本陣に秀満、秀治、秀成の3人を呼び出していた。


「直政は溝口と村上と共に五千の兵を率いて細川と長宗我部の後ろに付け。秀治と秀成にはそれぞれ四千の兵を与えるゆえ信秀様と信則様の近くに布陣しもしもの時に備えよ。秀治には柴田、秀成には左衛門佐をつける故、2人の言うことをよく聞くように。」


「ははっ!」


三人が頭を下げた。


「真田左衛門佐にございます。」


信繁が秀成に挨拶する。


「貴殿が真田か。噂は聞いておる。此度は私のために働いてくれ。」


「ははっ!命に変えましても秀成様をお守り致します。」


「任せたぞ。」


武辺者の秀成にとって信繁は憧れの将の一人であり嬉しそうだった。


「父上はどこに?」


秀治が聞く。


「私は桃配山より信秀様の背後をお守りする。では武運を祈っておるぞ。」


「お任せくだされ。」


3人が出ていき光秀も陣形を考え始めた。

全軍の配置は以下の通りである。


「山口の言っていた新戦術……どう思う?」


関ヶ原の西南、藤川台に着陣した吉継は平塚為広に聞いた。


「聞くところによると織田信長の三段撃ちに似た戦術と聞きます。しかし長篠の戦いとは状況が違います。突破口を見つければ容易いかと。」


「私もそう思う。それに如水殿であれば問題なかろう。」


吉継を始め西軍諸将は秀吉すらも恐れた如水であればこの戦に勝つ道を見出してくれるだろうと考えていた。

しかし史実で三成が立てた策と如水の策はあまり変わらなかった。


「如水殿、これで大丈夫でしょうか?金吾や宰相が……」


三成はやはり不安だった。


「金吾は横に増田を付けておる。宰相も先陣を広家から安国寺に変えさせた。これで動くしかないさ。それよりも細川は怒り狂っておるぞ。気をつけろよ。」


如水が三成に警告した。


「危なかったら我が軍から兵を分けてやる。安心せい。」


「そうですな。ではご武運を。」


「お主もな。」


こうして日本史上最大規模の合戦が始まろうとしている時、東北でも変化が起きた。


津軽家の秋田領侵攻を受け伊達、最上領から撤退した南部、秋田両軍を伊達政宗は許それを許さず攻めかかった。

そこを狙って上杉景勝が総力を上げて最上領に攻め込んできたのだ。


「敵は二万だと?本気で我らを潰す気か……。」


義光は絶望した。

最上の動員できる兵力は多くて七千。上杉勢に勝ち目などない。


「会津中納言や政宗は動けないのか?」


義光は家臣に聞いた。


「蒲生は不穏な動きをしている佐竹の対策の為大規模な軍勢は送れないとの事……。伊達は南部領の奥深くまで攻めておるかと……」


「津軽が大納言に付く事を見越しての策だったのか……。さすがは山城守よ。」


「感心しておる場合ではありませぬぞ。長谷堂城の志村殿がいつまで耐えられるか……」


家臣の鮭延秀綱が言う。


「わかっておる。政宗が戻ってくるまで我らは耐えるのじゃ!良いな!」


上杉軍の事は政宗と氏郷にもすぐに伝わった。


「叔父上が負ければ我らも危うい……。 すぐに留守政景に援軍を出すように命じよ!」


「しかし留守殿の兵は三千程度……。到底上杉にかなう数では……」


景綱が言う。


「なら我らも戻るぞ!成実は南部を叩き潰せ!蒲生の尻を誰ぞ叩いてこい!」


政宗は成実の二千を残し本軍八千を率いて急いで最上の援軍に向かった。

そして氏郷は


「最上殿の危機を放ってはおけぬ!すぐに援軍を送れ!」


「しかし殿……。大納言殿が動いてはならぬの……」


「盟友を見捨てるのは武士のやる事ではない!それに我らは久太郎殿の家臣ではない!急いで出羽に向かうぞ。ついて参れ!」


蒲生氏郷は光秀の命令を無視し三万の大軍を率いて出羽に向かった。


こうして東北でも大戦が始まった。

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