62 取り合い
信長の野望・創造戦国立志伝買いました
いずれは本作のシナリオも作りたいです
黒田家の屋敷にて黒田如水は地図を眺めていた。
地図は赤と青と白に塗り分けされ大小の駒が置いてあった。
「大殿、大谷殿、直江殿、石田殿がいらっしゃいました。」
家臣の母里友信に案内されて3人が入ってきた。
「よく来た。これが今の日ノ本。」
その地図の上にある駒で最も大きいものは北関東に置いてあった。
「この駒が本庄大納言、では中国でいちばん大きいのは……」
吉継が地図を眺めて言う。
「毛利中納言だ。微妙だが餌を渡せばこちらに着く。奴は三原殿が死んで権力を欲しておる。」
「我らも無論赤色のようですな。伊達、最上は青ですか……」
兼続は東北を扇で指した。
上杉は赤、伊達、最上は青色だ。
「伊達は大納言の子に娘を嫁がせた故に当たり前か。最上は……。」
三成はあの時の義光の表情を思い出した。
三成はあの時は冷徹に対応したが、あれはあくまで秀吉の命に従ったまでであり、今でも心を痛めていた。
「気にするな。お主はやるべきことをやった迄。我々にとって重要なのは東国ではなく西国。小西と豊後、豊前の小名はワシが崩す。大友は加増すると言ったら釣られるだろう。そうなれば柳川侍従もおそらくは……」
「となると重要なのは金吾中納言と加賀守と維新ですか。」
吉継が聞く。
「金吾は秀頼君の縁戚、秀頼君が成人するまでの関白職に加えて上方2カ国と所領安堵でどうでしょう。」
三成が提案する。
「それでも心配じゃ。奴を脅すための用意はある。任せたぞ、形部。」
「お任せくだされ。」
「では残るは鍋島と島津ですか。」
「左様。島津は内乱でも起こし動けぬようすれば良い。」
「大納言が宇喜多にしたように我らは島津にやるということですな。」
「さすが形部、理解が早い。四国はまあ厳しいな。とはいえ土佐守はせいぜい行けて淡路じゃ。大納言を破ったあと、3方面から攻め込めば一溜りもないわ。」
「あとは上杉としては前田家の動向が気になるのですが。」
兼続が聞く。
「前田は越前より圧をかける。臆病者と利長など恐るるに足らん。しかし上杉には少し苦労をかけてもらうがな。」
「前田が来なければ問題ありませぬ。佐竹と東北勢を使えば敵の動きは緩くなるはずです。」
兼続も他の三人も石田三成と親しい佐竹と伊達、最上に恨みのある北東北の諸大名を使えば東北の光秀派大名は釘付けにできると考えた。
「では軍備拡張を始める故これにて御免。」
兼続がそう言うと出て行った。
如水の策はこうだ。
東国において三成派の上杉景勝が軍備拡張をすれば光秀はここぞとばかりに上杉討伐を行うだろう。
そこで西国が手薄になった隙に伏見城と豊臣御所を奪いそのまま上杉と共に光秀を挟撃する作戦だ。
そしてその戦において参謀を務めた自身は大領を得ていずれは自信が天下を取る算段である。
これを知っているのは如水とその家臣、それから如水と親しい大谷吉継のみだ。
「それでどこで迎え撃つのですか?」
三成が聞く。
「南北を盆地に囲まれかつて壬申の乱の舞台になった場所、関ヶ原よ!」
官兵衛は扇を美濃西部の関ヶ原に向けた。
「なるほど……伊勢街道、北国街道、中山道から大納言の軍勢を包囲するということですな。」
「左様。治部は物分りが良くて助かる。とりあえずは大納言が挙兵せねば話にならん。それまでは各々、静かに行動せよ。」
「ははっ!」
如水は既に大将をのような存在だった。
そして三成も吉継も彼に託せば大丈夫だろうと考えていた。
「黒田はまあ我らの味方につくだろう。息子の命を助け本来なら取り潰しのところを本領安堵だぞ?」
光秀が藤孝に聞く。
「まあワシならそうするな。にしてもどういう口実をつける気だ?」
「それが悩みなのじゃ。徳川の時のように裏で動く連中が東国におらぬ。」
「上杉は?」
「景勝は真面目で謙虚な人間だからな。もしそういうことをしていても徹底してるだろう。」
「なら弱みを見つけるまで待つしかないな。」
「そうじゃ。とりあえずもし何かあれば対応できるように伊達、蒲生、最上には命じておく。あと佐竹義重に会いにいくか。」
佐竹家は当主義宣は三成と親しく恐らく味方にはつかないと光秀は考えていた。
なので父の義重を当たることにした。
翌日光秀は義重の屋敷に行った。
「これはわざわざ大納言殿がお越しとは。なんの御用ですか?」
義重はそのイカつい見た目とは裏腹に丁寧に光秀をもてなした。
「ああ、常陸介殿は隣国なのに未だにきちんとお話をしたことがなかったので。」
「それなら当主の義宣にお会いなさるべきでしょう。何か別の理由でも?」
この男は鋭いな。
光秀はそう思った。
「ええ。実は誠のことを申し上げるとただ鬼義重と言われ、周辺諸国を震え上がらせた常陸介殿にお会いしたかっただけなのです。」
無論これは表向きの理由で本当は義重をこちら側に入れる目的があった。
「なるほど、ならそうと申されれば良いのに。」
「回りくどくて申し訳ない。いやぁいつかは私もこの目で貴殿の戦ぶりを見てみたいものです。」
「先の騒動の時は徳川は戦もせずに屈服しましたからのう。わしも久しぶりに戦ができると楽しみにしておったのですが。」
「誠に残念ですな。次に戦が起こるかどうか……」
「その時は我らが佐竹が先陣を務めましょうぞ。」
光秀はその言葉を待っていた。
「その言葉に二言はござらぬな。期待しておりますぞ。」
そのあと2人は適当に雑談をしてその日は終わった。
翌日は毛利秀元の屋敷に行った。
「宰相殿の器量に長門17万石は少ないように感じますな。」
「滅相もない。私のような若輩者には多すぎるくらいです。」
「国内の政治はどうです?」
「恥ずかしながら、ほとんどを恵瓊が取り仕切っております……。若者はそれを見て学べとのことで。」
毛利秀元は長門17万石の大名となったが実権は後見人の安国寺恵瓊が取り仕切っていた。
恵瓊は光秀にとっても憎むべき人物でありこの男さえいなければ毛利家は光秀の味方となり秀吉を挟撃していたからである。
「あの坊主は厄介ですな。」
「本家も奴の言いなりです……全く困ったものです。」
「まあ貴殿は貴殿がやりたいようにやられよ。いずれは安芸と周防も貴殿の物になるように取り計らおう。」
「なんと……ありがたき幸せにございます。この秀元をいつでも大納言の先兵としてお使いくだされ。」
光秀は秀元にも義重にも同じ言葉言わせた。
そしてこう言い返す。
「その言葉に二言はないな?期待しておりますぞ。」
と
次の戦に向けて如水も光秀もそれぞれが味方を増やすのに奔走するのだった。




