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49 南蛮

かなり強引ですがこれ以上文禄の役で清正と行長の喧嘩を書くのも正直飽きてきますのでここで文禄の役は終わりです

慶長の役に関しては毛利秀元と小早川秀秋が重要になってくるのでちょこちょこ出そうと考えています

初めは調子が良かった日本軍だったが明国が参戦すると形成は逆転しどんどんと押され始めた。

これに焦った小西行長は明、朝鮮との講和を模索し始めた。

結局翌年になり明と日本は講和しここに朝鮮出兵は幕を閉じた。


その年に秀吉と淀殿の間に新たに男児が生まれた。

後の豊臣秀頼であり名を拾という。

これを秀吉は大いに喜びいずれは秀次の跡を継がせようと決めた。


それを祝うため光秀も新たに秀吉が築いた伏見城にやって来た。


「殿下、秀次様はどうなさるおつもりで?」


光秀が恐る恐る聞く。


「秀次には日本を5つに分けた内の4つをやる。残りのひとつは拾にやる事に決めた。」


秀吉は腕の中で拾を抱き抱えながら笑顔で言った。


「それは名案にございますな。それであれば秀次様にもご不満はありませぬでしょう。」


「そうじゃろ。そういえばこの者を紹介しておこう。真田源次郎と言うてな。ワシの馬廻りの中で最も優秀な男じゃ。」


秀吉に紹介された脇に座っている青年が光秀に頭を下げた。


「真田源次郎信繁と申します。」


「真田というと信州真田家の真田でござるか?であれば隣国じゃな。安房守殿とはどういう関係で?」


「安房守は我が父にござります。隣国の堀様には父がいつもお世話になっております。」


「いえいえ、こちらこそ今後とも良しなに。」


「そうじゃ、久太郎。秀次には会ったのか?」


「いえ。まずは太閤殿下にお会いすべきかと。」


「今の政を取り仕切っておるのは奴じゃ。早う奴の所に行って参れ。」


秀吉にそう言われたので光秀は急いで聚楽第に向かった。


「秀次様、お久しゅうございます。御元気そうでなによりでございます。」


正直なところ光秀は一日に2人の人物に頭を下げるのが信長と足利義昭の双方に仕えていた頃のようで正直嫌だったが、秀次には光秀も一目置いており聚楽第まで馬を走らせてきた。


「おお、堀殿、わざわざ会いに来てくれたのか。されど先に伏見に行っておられたのか?」


秀次は明らかに不安げだった。


「ああ、その件に関しては殿下からもお叱りを受けました。申し訳ございませぬ。」


「やはり、私は天下人には相応しくないのだろうか?」


「いや、滅相もない。秀次様は天下人にふさわしいお方ではありませぬか。」


「そうか。それなら良いが。それよりも聞いてくれ!最上殿のご息女との縁談が決まったのじゃ。まだここに呼ぶのは先じゃがいずれは我が妻になるぞ!」


「おお!それは誠にございますか!おめでとうござりまする。」


秀次が暗い顔から一転明るい話をし始めたので光秀も少し安心した。


「いずれはお主の娘を我が子の妻にして頂きたい。よろしいかな?」


「それは、是非!早うされるのが楽しみでござる。」


(まあそんな日は多分来ないがな……)


光秀はそう思いながらも秀次に兵法などを教え城を後にした。


「随分と楽しそうに喋っておるようだが、我らが目的は忘れてないだろうな?」


後ろからふと藤孝に話しかけられ光秀は驚いた。


「なぜ楽しそうだと?」


「お主、顔から笑みが零れておるぞ?」


「左様なことは無い。某は殿から受け継いだ魂を捨ててはおらぬ。」


「なら良いが。」


それを聞くと藤孝はさっさと消えていった。


「あの、殿から受け継いだ魂とか目的とかなんのことにございまするか?」


お供していた又兵衛が聞く。


「まあいずれ分かるさ。」


だが藤孝同様、秀満と利三も光秀が秀次に肩入れしないか不安だった。

そのためどこかで秀次を始末しておく必要があると3人は考えた。


「ここは1つ、秀次に謀反の噂があるなどと流して隠居でもさせれば良いのでは?」


利三が提案する。


「私もそれが良いと考えている。しかし秀吉に会う機会が中々無いのじゃ。いやまて。そういえば秀吉が1度、堀直政に会うて見たいと言っていたことがあったかな?」


「それは誠ですか?藤孝殿。」


秀満が驚く。


「何でも秀吉は天下の三名臣は上杉の直江兼続、毛利の小早川隆景、堀の堀直政と言うておるそうじゃ。いずれは機会が来るやもしれん。とりあえずワシもできる限りの事はしてみる故お主らも備えておけ。」


「ははっ!」


こうして光秀の知らないところで秀次を隠居させ表舞台から消し去る計画が始まった。


だが同じことを考えている人間が居た。


「秀次を亡き者にすれば私の天下が近くなるというもの……。奴には申し訳ないが消えてもらいますぞ。はっはっはっはっ!」


その男の笑い声が夜の城下町にこだました。


翌年、光秀は更なる軍備拡張を秘密裏に行った。

しかし問題点として光秀の居城には海が無く貿易ができないのである。

そこで光秀はフランコをイスパニアに派遣していたのだがようやくフランコがイスパニアから帰ってきた。


「久しぶりだな、フランコ。それで何か土産はあるのか?」


「良いものを見つけてきました。これがイスパニアの最新式の鉄砲にござる。」


「やはり銃床が付いておるのか。して何が違うのじゃ?」


「はっ。この銃はイスパニアではライフルと呼ばれていて火縄銃に比べ圧倒的な射程を誇ります。されど生産が難しく我が国の技術ではほぼ無理かと。」


「そうか。だがせっかくお主が持って帰ってきたのじゃ。これは某が大切に使わさせてもらおう。」


光秀はまるで子供のような目でそのライフルを見た。


早速、光秀は又兵衛と作兵衛と共にライフルを撃って見た。


野太い音で火縄銃よりも正確に狙った的に命中するのを見て3人は興奮した。


それを見てフランコはもうひとつ筒を差し出した。


「これは望遠鏡というもので遠くのものがよく見える物にございます。戦場での敵の偵察などにも役立つかと。」


「おお、これはすごい!あの空の彼方と鳥まではっきり見えるぞ。これは素晴らしい!いずれイスパニアより輸入しよう!」


「ははっ!その時の窓口は私にお任せあれ。」


「当たり前じゃ!いやぁ誠に世界は広い!戦で外国を攻めるのではなく私は外国の優れた文化を取り入れてみたくなったわ!」


保守的だった光秀の思想は少しづつ開かれて行った。

こうして月日は流れ文禄4年を迎えた。

この年に天下に大きな乱れがあることを知る人物はほとんど居なかった。


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