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45 唐入り

堀親良を秀成にしたのは単純に変換がめんどくさいからです。

それと光秀と元親の関係は光秀放浪時代にもし土佐で元親と出会っていたらというifです

鶴松の死を受け秀吉は秀次を養子とし関白職を譲り自身は太閤と呼ばれるようになった。


「そういえば殿、唐入りの事ご存じですか?」


「何!唐入り!?」


利三から衝撃の事実を聞かされた光秀は仰天した。


唐入りとはすなわち中国に攻めいることでありかつて信長が目指し光秀が止めようとしたことである。


「それで肥前に巨大な城を築き始めたようで。」


「なんと愚かな……。愚かにも程がある!」


「止めますか?」


「いや、むしろ好都合よ。」


光秀はまず唐入りは失敗と考えていた。

そうすれば外様大名は豊臣政権への不満が募るに違いない。

それは光秀にとっては利益となる。


「それで我らも出陣するのか?」


秀満が聞く。


「いえ、そこまでは分かりませぬ。」


利三もそこまでは知らないようだ。


そして数週間後、利三の言った通り諸大名が大阪に集められた。


「皆よう聞け!ワシは唐入りをすることに決めた!手始めに従属を拒否した朝鮮を攻め滅ぼすことにした。」


「それは良きこと!殿下の名を世界に知らしめましょうぞ!」


秀吉に真っ先に同意したのは秀家だった。


「であれば先陣はワシにお任せくだされ!」


加藤清正も続く。


「うむ、良い姿勢じゃ。お主らの働き期待しておる。陣立て及び兵力などについては追って知らせるゆえ皆いつでも出陣できるように備えよ。」


大方の大名は賛成していたが小早川隆景は呆れていた。


(どこまで戦をしたがるのやら。毛利のためとはいえ嫌なものじゃ。)


光秀はその足で長宗我部家の屋敷に向かった。


「唐入りとなれば長宗我部殿からすれば里帰りですな。」


「そうは言われても実感が湧きませぬ。されど先祖の土地を統治できるやもしれぬと考えれば出陣が待ち遠しい限りです。」


長宗我部家は元々秦の始皇帝の末裔であり信親は期待を膨らませていた。


「ところでお父上は?」


「今は堺に行っておられます。隠居してからというもの酒と女と賭博ばかりしておられて……。中納言殿から1度言ってやってくだされ。」


元親は隠居してからというものただの遊び人と化し信親を悩ませていた。


「おい、帰ったぞ!それよりも浦戸の港に鯨が流れ込んできたらしい。それを殿下に献上するぞ!」


「父上!中納言殿がいらしているのです。少しは礼節をわきまえられませぬか?」


「おお!これは堀殿。あんたも鯨見てみたいだろ!」


「ええ、見てみたいです。ところで元親殿と二人で話しをしたいのですがよろしいですか?」


「ああ、構わん!俺の部屋に来い。」


光秀は元親について行き元親の部屋に入った。


「それで堀中納言殿ともあろうお方が直々に俺に用とはなんだ?」


「麒麟の話、知っておられますか?」


「平らかな世に来るという伝説の生き物だろ。昔、十兵衛殿が申しておった。」


「なら話は早い。某は明智十兵衛だ。」


「そんなことがあるか?第一、十兵衛殿はお前が討ち取ったぞ。」


「始皇帝の書を一日で読んだお主が左様なことも飲み込めぬか?」


それは初陣前の元親とその頃土佐にいた光秀しか知らない情報であり元親の顔が変わった。


「だとしたら本当にすまなかった。」


元親が光秀に頭を下げる。


「俺があの時信長公にすんなりと従っていればお主や兄者(利三)は……」


「武士であれば己の領地を守るのは当たり前のことじゃ。気にするでない。それに利三も秀満も生きておる。」


「兄者も生きてるのか!?じゃあ兄者の家族は……」


「まだお主が保護していてくれ。時が来れば織田様の一族と利三の娘を結婚させる。」


「織田の一族?お主は信長公を討ったにも関わらずまだ織田家を持ち上げるのか?」


「足利様をお呼びすることも考えたがそれでは織田譜代が集まらぬ。なら織田様と足利様に縁談を結ばせた方が良い。」


「それはそうだな。されど豊臣は固いぞ。」


「この戦に全てがかかっておる。どこまで諸大名の心が離れるか。」


その後半日ほど光秀と元親は今後の戦略について話し合った。


光秀が帰ったあと。


「まさか大殿……。衆道などの趣味はありませぬでしょうな?」


家臣の久武親直が聞いた。


「何!?そんな気持ちの悪いモン誰がやるか!それよりも遊郭に行くぞ!」


光秀の正体を知る男がまた一人増えた。


その後秀吉から諸大名に軍役が課され東国の光秀は2万の兵で肥前の名護屋城に詰めることになった。


ついに完成した本庄城の天守に立った光秀は嫡男の秀治と次男の秀成を呼び寄せた。

無論この2人は堀秀政の子供であり光秀の子供ではない。


「今回の戦はお主らにも出てもらう。それゆえ秀治には直政、秀成には利宗を付ける。2人とも彼らの言うことをよく聞くのだぞ。」


「されど父上。此度の戦での我らの役目は後詰ではありませぬか?」


秀治が聞く。


「何事にも備えよということでしょう。そうでございますね、父上?」


大人しくどちらかといえば政治家向きの秀治に対し秀成は血気盛んな武将だ。」


「まあそういう事だ。ではそろそろ行くとしよう。」


光秀達堀家は甲斐にて森長可と合流し上洛することになっていた。

「久太郎殿!よう来られた!」


「その名で呼ぶのはもうお主くらいじゃ。」


「俺の中では信長様がおられた頃からあんたも皆も変わっておらぬ。それよりこいつらが噂の息子か!」


長可が二人の息子を見ると秀治は少し後ずさりしたが秀成は目を輝かせた。


「あなたがあの東国一の武辺の者の言われる鬼武蔵殿でございますか!この秀成、お会いできてとても嬉しゅうございます!」


「おおっと!俺のことを知ってるとはさすがは久太郎殿の子じゃな!いつでも俺んとこくれば戦の話でもしてやる。」


「是非是非お願い致す!」


「で、森殿。兵の準備は?」


「無論できておる。家康と輝政よりも先に上洛するぞ!」


こうして一行は上洛するための行軍を始めた。

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