42 加増
旅行に行っていたので書けませんでした。
申し訳ありません。
福井と岐阜という堀秀政に縁のある所に行ってましたが特に史跡などを巡った訳ではありません。
問題は韮山城攻撃部隊である。
城主北條氏規は頭が良く実戦経験も豊富だった。
対する豊臣秀勝はお坊ちゃまで秀次のような向上心も秀家のような心優しさもない凡人で忠興は見下していたし氏郷も呆れていた。
秀勝は他の将の反対を押し切り持久戦を選び結果小田原到着が遅れることとなった。
北部より関東に侵攻した北陸勢、秀吉本軍、宇喜多勢、水軍、そして秀次勢に加え関東諸大名も次々と小田原に到着し総勢20万の兵が小田原を包囲した。
「できるだけ早く城を落としたい。どうすればいい。」
秀吉は光秀と官兵衛を呼び出し2人の意見を聞いた。
「北条はおそらく奥州伊達の援軍を期待しております。支城を落とし伊達を早く参陣させれば北条の戦意は削がれるでしょう。」
光秀が言う。
「しかし伊達が来ない場合も考え、付け城を造り、連日茶会などを行えばよろしいでしょう。」
「なるほど、さすれば敵は我らの余裕を知り恐れおののくやもしれませぬ。」
官兵衛の案に光秀も納得した。
「なら女も呼びたいな。よし、諸大名に室を呼べと命じよ。」
秀吉は脇にいた大谷吉継に命令する。
「あれは治部と違って戦も出来る男じゃ。5万の兵を指揮させてみたいものよ。」
走っていく吉継を見ながら秀吉が言う。
「そのような兵は私でも指揮したことはありませぬ。」
そう言う官兵衛とは逆に光秀はそんなことがあったかを考えていた。
かつて与力も含めれば240万石の所領を持っていた光秀には決して無理な数字ではなかったからだ。
「お主らに5万も兵を与えたら大変なことになってしまうわ。」
秀吉の冗談に2人は笑った。
自身の陣に戻った光秀は利三に聞いた。
「某が5万の兵を率いたらどうなると思う?。」
「そもそも5万の兵を率いる事のできる所領がいりまする。私の知る限りは上杉北条、毛利、島津のような地方ではないと厳しいかと。」
「では関東なら?」
「背後の大名が誰かによります。」
「背後と言うと陸奥か?」
「左様。背後をつかれれば一溜りもありませぬ。」
「天下は遠いのう。」
包囲から数週間が経ち福島正則らに韮山城を任せた氏郷と忠興らも到着し日に日に方位軍の数は増えていった。
そんな中秀吉に抵抗を続けていた一人の男が秀吉の陣中にやってきた。
諸大名もその謁見に同席した。
 
その男が入ってきた時諸大名がザワついた。
忠興は鼻で笑い、氏郷に至っては立ち上がって激怒した。
「なんと非常識な!東国武者は関白殿下ともあろうお方とのお目通りの場で死装束を身につけるのが普通であるか!」
「左少将殿の申されることごもっとも!武士の風下にも置けぬ!」
上杉景勝も続く。
「お主より阿呆じゃな。」
隆景が小声で元親に言う。
「こいつは阿呆というより肝が座ってるだろ。」
「お主のわりには冷静な分析じゃな。」
「殿下の好まれることをよく分かってる。あいつただもんじゃ無いかもしれん。」
「各々静まれ!思うところはあるだろうが殿下の前であるぞ!」
利家が一喝すると諸大名が黙った。
「殿下に御願いの儀がございます。」
「申せ。」
政宗が言うと秀吉は表情を変えず答えた。
「此度の陣には千利休様が同伴されているとお聞きしております。私も利休様から茶の湯について学びとうございます。」
「命の瀬戸際にあって面白い男ですな。」
光秀が言うと利家や家康も同意した。
「政宗。政宗。」
秀吉が政宗を呼ぶと政宗は秀吉の近くに行き膝まづいた。
「あと少し遅ければお主の首はなかった。会津は没収するがあとは残してやる。」
杖を政宗に突きつけた秀吉はそう言うと去っていった。
(この男もいずれ使えるな。)
光秀はそう思った。
だが同じことを考えている男がもう1人いた。
「伊達殿、これからはよう働かれよ。」
そう言って政宗の手を取ったの徳川家康だった。
「ははっ!この伊達左京大夫政宗!殿下のために粉骨砕身致しまする。」
政宗は家康に頭を下げた。
その後北条氏政は降伏し関東は秀吉のものとなった。
支城はほとんどが落ちたが石田三成は最後まで忍城を落とせず戦下手と武断派から罵られることになる。
そんなある日秀政の陣に大谷吉継が訪れた。
「右少将殿、殿下からのお下知でござる。越前68万石より下野、上野、武蔵北部115万石への転封を命ずる。」
「110万石!?」
光秀を初め家臣は皆驚いた。
徳川家康が80万石、毛利輝元が110万石、上杉景勝が70万石であるからそれらを超える領地を持つことになる。
「されど北関東の有力大名は如何なされる。」
与力の溝口秀勝が聞いた。
「替地を与えられまする。なお下総、上総、相模、武蔵南部の130万石は徳川大納言殿に、陸奥会津42万石は蒲生左少将殿に与えられまする。」
「要は徳川殿の備えということですか?」
「そういう事でございます。殿下は右少将殿のお働きであればこれでも少ないとお考えです。」
「承知致しました。ご期待に応えられるよう働きまする。」
これより光秀は家臣団の再編成と国人領主との関係に奔走することになる。
 




