39 関東
独眼竜がいよいよ出ます
そんなに重要なキャラかは分かりません
天正17年 秀吉と信長の姪で側室の淀殿との間に待望の男児が生まれた。
秀吉の跡継ぎの誕生を祝い日本中の様々な人々が祝いの品を贈った。
しかしここ奥州ではそんな事も気にせず戦を禁じる惣無事令を無視している男がいた。
「蘆名軍はおよそ16000。我らより少し少ないくらいです。」
「とは言っても義広にそんな大軍を指揮する器はねえだろ。」
真っ黒の甲冑に三日月の飾、右目を閉じているその男の名前は伊達政宗。
南奥州を席巻し今や毛利家や徳川家に並ぶ勢力を築いている。
その伊達政宗が奥州制覇の最後のターゲットにしたのが蘆名家である。
元々反伊達勢力の主力を常陸の佐竹家の共に担っていた蘆名家は天正13年に伊達政宗を破りその後、佐竹家の当主義重の次男義広を養子としていた。
しかしこれを良しとしない蘆名家の勢力との間で蘆名家は内紛状態だった。
それを伊達政宗は見逃さなかった。
23000の大軍を率い蘆名領に侵攻したのである。
そして両軍は摺上原にて対峙した。
「風向きが悪うございます。油断なされませぬように。」
政宗に注告したのは政宗の右腕とも言われた片倉小十郎である。
その日の摺上原には西から東に強風が吹き荒れ砂塵が舞い伊達兵は目を開けられない程の状態だった。
「蘆名は言わば連合軍、それに佐竹の家臣共を良く思ってないやつも多い。少し押せば勝てるぞ。」
政宗が余裕の表情でそう言う。
しかし戦況は伊達に不利であった。
蘆名軍が伊達軍に攻めかかると環境的に不利な
伊達軍は押されていた。
「伊達勢など押し潰せ!我らが土地を伊達に渡すな!」
蘆名家筆頭家老で名将として知られる金上盛備の指揮の元蘆名勢は伊達勢の第2陣も攻めかかった。
「このまま飲み込むぞ!後詰にも兵を出すように命じよ!」
金上の命令で狼煙が上げられたが後詰の佐竹軍は動かなかった。
「なぜ佐竹は動かぬ!臆したか!」
政宗の予想通り後詰の佐竹勢は傍観した。
風向きが変わったからである。
それを政宗は見逃さなかった。
「風向きが変わったぞ!皆の者!かかれぇぇ!」
政宗が命じると一斉にに守りに徹していた伊達勢が攻めかかった。
それを見ると傍観していた蘆名勢は撤退し始めた。
伊達勢は側面からも鉄砲を撃ち込み戦場は大いに乱れた。
この乱戦の中で金上は片倉小十郎の部隊に突っ込み討死した。
さらに退路の橋を伊達勢が破壊していたため退路を失った蘆名勢は3500人もの兵が討ち取られ重臣も多数討死し蘆名義広はほうほうの体で常陸へと逃亡し蘆名氏は滅亡した。
政宗は重臣達と共に黒川城に入った。
その天守閣より政宗は南に広がる広大な関東平野を見て言った。
「いずれはここも全て俺が頂く……」
さらにその年もう1人惣無事令を破った男がいた。
「名胡桃城は取り返したか。元々北条の領地であったものを奪った罪よ。」
関東200万石の雄、北条氏政はそれを聞いてニヤリと笑った。
名胡桃城を含む沼田は元々真田家の土地であったがそれを不服とした北条氏政は秀吉の仲介の元そのうちの3分の2を手に入れておりさらに残りの3分の1を真田家から奪い取った事になる。
「しかし父上、誠によろしいのでしょうか?」
息子で当主の氏直が聞く。
「秀吉は徳川殿には妹を与え滅ぼしてはおらぬ。弁明の使者を送れば我らも許されよう。」
「まあ200万石は厳しいでしょうが120万石程度はなりますでしょう。」
氏政の弟の氏規が言う。
「しかし切り取った領地を簡単に取られてよろしいのですか?」
氏直が聞く。
「まずはお家の存続が1番じゃ。それに戦になれば領民も苦しむ。」
氏政が答える。
こうして北条家の使者が大坂へ参上した。
しかし秀吉はこれを許さず北条家討伐を命令した。
そして翌年大坂城に諸大名が集められた。
「皆の者よう聞け。これより北条を成敗致す。これは天下統一総仕上げの戦じゃ!気合を入れてやるぞ。」
「それでは陣立を発表致しまする。」
「此度は石田殿ではなく前田殿でござるか。」
氏郷が光秀に耳打ちした。
いつもならこういうものの発表は石田三成だったが今回は前田玄以である。
「先鋒。徳川大納言殿。」
「ははっ!」
「北陸方面。前田筑前守殿、上杉中納言殿。」
「承知致した!!」
「水軍。長宗我部土佐守殿、九鬼大隅守殿。」
「おうよ!」
「京留守居。毛利侍従殿。」
「はぁ。」
他の大名は威勢よく返事したが輝元は憂鬱そうだった。
戦に出て手柄を上げたかったからこそ居留守役はつまらなかった。
「山中城攻撃軍。豊臣中納言様、堀右少将殿、池田侍従殿。」
「堀殿、此度も頼りにしておるぞ。」
秀次がそう言うと
「お任せくだされ。」
光秀も返した。
「韮山城攻撃軍。豊臣侍従様、蒲生左少将殿、森侍従殿、細川侍従殿。」
(よりにもよって秀勝様が大将で与一郎が同じとは……)
氏郷からすればやる気のない秀勝はやりづらくさらに確実に自分より下座に置かれている忠興の機嫌は悪いだろうと予想していた。
案の定忠興の顔からはイライラが零れていた。
「下田城攻撃軍。宇喜多左中将様、水軍衆。」
若く血気盛んでおぼっちゃまな秀家と長宗我部、九鬼の2人を組み合わせるのはまずいだろうと思ったのは小早川隆景だった。
「宇喜多殿で大丈夫であろうか……」
「私もついておりますゆえ。」
小声で呟いた隆景に恵瓊が言う。
「忍城攻撃軍、石田治部殿、大谷刑部殿、長束大蔵大輔殿、関東諸侯。」
それを聞いた途端一斉に諸大名がざわめいた。
「お待ちくだされ!ここはそれがしにお任せくだされ!」
福島正則が立ち上がる。
「ワシが攻め落としてくれましょう!どうか清正めにご命じくだされ!」
清正も続く。
「お二人ともおやめなされ。」
玄以が言う。
「決まったことじゃ。ゴタゴタ言うでない!」
体調が優れていなさそうな秀長が2人を叱り付けた。
「申し訳ございませぬ。」
2人が頭を下げた。
「以上で軍議は終わる。お主らの活躍期待しておるぞ。」
そう言うと秀吉は部屋を出て行った。
こうして関東征伐が始まろうとしていた。




