27 水軍
長宗我部は史実と真反対のキャラですがこれは創作なのでやりたい事をやらせてください
秀吉軍が出陣した頃徳川勢も動き始めた。
東海道方面は家康や酒井、松平家忠
中山道方面は鳥居元忠を大将として平岩親吉や渡辺守綱、そして井伊直政が迎え撃つ事になった。
「本田殿と榊原殿の仇、絶対に取ってやる……」
直政は忠勝と康政の使っていた刀を差しながら思った。
「直政、此度の戦はお主の働きによって全てが決まる、頼んだぞ。」
鳥居が直政の肩に手を置き励ました。
「お任せくだされ。赤備えの恐ろしさを見せつけてやりまする。」
横にいた平岩も直政に期待の目を寄せて直政に喝を入れた。
鳥居と平岩の直政への期待は相当なもので15000の兵のうち5000を直政に預けていた。
こうして徳川軍も侵攻を始めた。
その頃伊勢志摩の沿岸には秀吉の水軍が集結していた。
「いやぁこれがあんたら毛利水軍をコテンパンにした鉄甲船か!」
長宗我部元親は九鬼嘉隆の保有する鉄甲船に興味津々だった。
「言い方に問題があるが確かに見事なものだ。流石は信長殿と言ったところだ。」
その元親の馴れ馴れしい話し方に毛利元就の三男で毛利家の重臣の小早川隆景は少し迷惑そうにしながらも鉄甲船に感心していた。
「これを土佐でも作れたら大坂城なんてあっという間に火の海にしてやるのにのう。」
「その前にお主らを毛利水軍が止めるわ。それにこの鉄甲船もお主らに攻めかかるのだぞ?」
「そりゃそうだ。だがこれよりもでっかくて火力の高い船を大量に作ればいいだけよ。」
「土佐の財力ではそれは無理じゃな。頼むから徳川との戦でも変な事をするなよ。」
「毛利の参謀は厳しいことを言われるこった。まあ安心しな、こっちは昔あんたらと共闘した雑賀の連中もいるから仲違いはしねえよ。」
(全く田舎者は本当に信用ならぬ……)
隆景はそう思った。
長宗我部水軍は織田信長に破れ四国へ逃亡した紀伊の水軍や淡路の豪族達が主となっていた。
しかし元親のカリスマ性から団結力が高く統制も取れていた。
対して毛利水軍は個々は優れているものの中核を担う村上水軍が秀吉に対する反発心から今回の戦には参陣しておらず少し不安定だった。
「おやおやお二人共お揃いで。どうだ、見事な水軍だろ!」
隆景はまためんどくさい奴が来たなと思った。
この秀吉水軍の大将である九鬼嘉隆もクセのある人物で豪快かつ奔放な人物だった。
「いやぁこの船すげえな。1艘俺にくれよ。」
「何言ってんだ長宗我部の旦那。あんたに与えたら大変なことになっちまうよ。」
「じゃあ俺に従って一緒に暴れるか?」
「そりゃおもしれえ。はっはっはっはっ!」
嘉隆が高らかに笑うも元親も同じように笑いだした。
「ではワシは家臣達と最後の打ち合わせがあるゆえこの辺で。」
隆景はこいつらといるとおかしくなると思い家臣の元へ向かった。
「あの者共、礼儀の欠片もありませぬな。」
隆景の重臣の乃美宗勝は怪訝そうに元親達を見ながら言った。
「まあ田舎の連中ゆえ仕方あるまい。しかしああいう人間は下のものからすれば好かれるであろうな。」
「しかし誠にあの男が四国を統一し河野殿を滅ぼした長宗我部元親なのでしょうか?」
「お主は感じなかったか。一見頭のおかしい田舎侍にしか見えぬが目は我が父上のような目をしておった。」
「元就様の!?」
「うむ。それに経歴も父上と似ておる。地方の土豪から周りの勢力を一門に組み込み旧主を滅ぼし地方の統一を目指した。殿下がもし亡くなられれば西国を席巻するであろうな。」
「そこまで言われますか……まあ我ら毛利家がいる限りは四国から出てきますまい。」
「そうだと良いのだがな。まあ装備も数も我らの方が圧倒的に上じゃ。厳しい戦にはならなかろう。」




