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12 決戦ⅰ

書き溜めていたので先に12話を投稿してしまいました

なので今回は11話です

申し訳ありません

岩崎城が落城した頃。

既に羽柴勢の動きを察知していた家康と信雄は勝幡城へ入っていた。


「おそらく敵の大将は羽柴秀次。岩崎城に展開している部隊とは離れたところにおりまする。」


「じゃあもう手は打ったのか?」


信雄が家康に問いかける


「はっ。既に榊原に4500の兵を預け奇襲を命じております。」


「ふん!あの小僧をここで討ち取ればあの猿も悔しがるじゃろうな!」


信雄はもう勝ったような顔をしていた。


「信雄様、まだ戦は始まったばかりにございます。油断なされますな。」


直政が注意した。


「お主!信雄様に無礼ではないか!」


忠勝がまた直政に怒鳴る。


「本多殿!あなたはいつもいつも私が言うことに怒鳴られてばかり!頭が固すぎますぞ!」


「なんだと貴様!」


それを見た信雄は


「なんじゃ、なんじゃ。わしのために喧嘩しておるのか?わしのことを思ってくれるのは嬉しいがあいにくわしは喧嘩が嫌いなのじゃ。2人とも落ち着くのじゃ。」


そんな声は2人には届いてなかった。


「本多殿。拳をあげるか具体的な返しが出来ないのであれば私に噛み付かないで頂きたい。私は冷静になって頂きたいと思い進言したのでございます。」


「平八郎!万千代!やめんか!」


今回は大久保忠世が2人を怒鳴った。


「平八郎……お主は500の兵を与える故秀吉の動きを牽制して参れ。万千代には3000の兵を与える。池田を迎え撃て。」


「わかり申した……」

「お任せくだされ!」


忠勝は不満そうに部屋を退出した。

逆に直政は誇らしげに走っていった。


「いやぁ個性的な家臣達であるな。家康殿、わしもあのような家臣が欲しいものよ。ははははははは!」


信雄は酒を飲みながらヘラヘラと笑った。


「信雄様。明日はあなた様も3000の兵を率いて敵を迎撃していただきたい。」


「ああ!任せよ。武蔵も勝三(池田恒興)もわしが討ち取ってくれるわ!ワッハッハ!」


(これで大丈夫か……)


家康は内心心配になってきた。


その頃白山林の秀次の本陣では田中吉政が側面からの防御を強化するように命じていた。

また光秀の命を受けた利三も秀次隊にいた。


「利宗殿、ここまで防御を固める必要はありますか?」


「ええ。秀次様はほかの部隊とは離れたところに着陣されています。もし狙われれば一溜りもないでしょう。だからこそ防御を固める必要があるのです。」


「貴殿の殿や黒田殿のような天才の考えはワシには理解できませぬ。」


田中は笑いながら言った。


「我が殿も実は何を考えているのか分かりませぬ。しかし1つ絶対に捨てない志はワシも理解しております。」


「ほう?志とは。ぜひお聞かせ願いたい。」


「ええもちろん。」


利三が説明しようとした時


敵襲じゃ! 敵の攻撃じゃ!


「来たか!では田中殿、手はず通りに。」


後方と側面から攻撃を受けた羽柴勢だったが黒田の警告を受けて田中らにより土塁と馬防柵が設置されていた。


「よし!はなてぇ!」


田中の命令とともに待っていましたと言わんばかりに鉄砲隊がいっせいに榊原康政率いる奇襲隊に鉛玉を食らわした。


「何!?奇襲を読んでいたじゃと?皆の者怯むな!着き崩すぞ!」


「よし!我らも行くぞ!」


利三以下500の堀勢と田中率いる2000の羽柴勢が一斉に榊原隊に突っ込んだ。


「おのれ!雑魚に構うな!秀次を討ち取ることだけ考えよ!」


逆に待ち伏せを受けたものよ流石は精強な三河兵だけある。

襲い掛かる羽柴勢とほぼ互角に渡り合っていた。


「ええぃ!ワシらの方が数の上では有利!三河の田舎侍などひと捻りにしてやれ!」


田中の怒号が響くと羽柴勢が勢いづいた。


「よし!これは好機!我らも行くぞ!」


そう言うと利三は馬に跨り自ら徳川勢に突撃した。


美濃斎藤家にいた頃から武勇に優れていた利三である。


姿は変わっても武術は衰えてはいない。


その恐ろしさに徳川勢は引き始めた。


「何者じゃ!何故奇襲を読んだ!」


榊原は焦っていた。

奇襲のため羽柴勢の半分程度の兵しか引き連れていない徳川勢は後方きの奇襲隊は既に壊滅していた。


「もはやこれまでか……」


榊原は薙刀を構えると


「我は徳川家重臣榊原小平太康政!我に挑むものはおるか!」


「ワシは堀家家老堀利宗!ワシで良ければ御相手いたそう!」


「名人久太郎と呼ばれし堀秀政殿の家老か!相手にとって不足なし!ご覚悟なされよ!」


榊原は薙刀を握りしめ突っ込んできた。


「おう!!」

利三も槍を上げ馬を走らせた。


金属音と閃光が2人の間で起こる


「ぐぬぬぬぬぬ!」


利三が振り下ろした槍を榊原は両手で受け止めた。


しかし利三の方が経験も場数もある。


槍から手を離し左手で太刀を抜き榊原の腹に突き刺した。


「くっ!」


榊原は馬を引くと痛みを堪えながらながら薙刀を再度利三に向けた。


「我は諦めが悪いのでな。」


榊原は最後の力をふりしぼり利三に薙刀を振り下ろした。


利三は自身に刃が当たる直前で榊原の首元を切り裂いた。


振り下ろされた薙刀は利三の目の前で止まりスっと落ちていった。


その直後に榊原は馬から崩れ落ちた。


利三はそっと手を合わせると


「敵将!榊原康政はこの堀利宗が討ち取ったり!!!皆の者勝どきをあげよ!」


利三が太刀を振り上げ勝どきをあげると辺にいた羽柴兵も皆刀や槍を上げ勝どきをあげた。


それを見るや徳川兵はすごすごと撤退していった。


羽柴勢の圧勝だった。


その声を遠くから聞いていた光秀は


(つぎは我らの番じゃな。)


と拳を握りしめた。

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