第四場
*この作品の読み方*
小説になっていますが、これは舞台演劇用の脚本になります。
なので、基本的に地の文などがほとんどありません。あくまでも、会話を楽しんでいただく、演劇をイメージして楽しんでいただくものになっております。
ご了承の上、お楽しみくださいませ。
第四場 小麦畑
(村人たちが数人、小麦の刈り入れを行なっている。)
村人①「今年は豊作だな!」
(村人たちが口々に同意する。)
村人②「だが、あいつがみんなもってっちまうからなあ。」
村人①「本当に凄い魔法使いというなら、麦も自分で作れば良いのに。」
(村人たち、苦笑し、歌を歌い始める。)
♪麦の種まきゃ 麦がなる
豆の種まきゃ 豆がなる
ハトにスズメに 野ネズミ うさぎ
寄らば 情けは かけられぬ
なった 麦刈り 束にして
待っているのは 待っているのは
頭の大きな 黒ねずみ
麦の種まきゃ 麦がなる
豆の種まきゃ 豆がなる
あちらに見えるは お城なり
麦をとりたて 鍵をかけ
「誰にもやらぬ おれのもの」
魔法使いか 盗人か
♪頭の大きな 黒ねずみ
(ナイト、歌の途中で舞台の端に出てきて怖い顔の練習をする。歌が終わったところで雄叫びをあげて登場する。村人たち、驚いて手をとめる。)
ナイト「よいか、者共!!」
(村人たち、震え上がり、一つところにまとまる。)
ナイト「もうじきここを王様の馬車が通りかかる。そしてこの畑が誰のものかと聞かれるだろう。その時、お前たちはこう答えるのだ。『この畑はカラバ伯爵のものです』と!」
村人たち「カラバ伯爵?」
ナイト「そうだ。カラバ伯爵だぞ、わかったか!この地の新しい城主の名だ。言うことをきけば悪いようにはせん。だが、聞かなければお前ら全員、ぶち殺してやるからな!」
(村人たち、はいと口々に答え、逃げ出そうとする。)
村人②「どうせ誰にとられても同じことさ。」
ナイト「そうそう。どうせ誰かにとられるなら、カラバ伯爵のほうがマシってものさ!」
(ナイト、村人たち、退場。)