2話
「あ、これ美味しいんだよね。これも。は!これも!」
コンビニのカゴにいっぱいお酒の缶を入れる。
よくお酒飲む時あんまり食べなくてもいいみたいな人がいるけど、私は無理。
むしろ食欲増進されて、苦しくてもなんか食べてる。
だからもちろんおつまみはしょっぱいのから甘いものまで沢山入れた。
「ありがとうございました~。」
店員さんの声を後ろに、右左1つずつビニール袋を持って店を出た。
アパートに帰る途中、橋を渡る。
そこで手があまりにも痛くなって、一旦ビニール袋を置いた。
「私、どんだけ買ったのよ…」
ふぅーと赤くなった手を見ながら自分に苦笑いした。
通勤時に使用している黒のリュックを背負ったまま私は、一旦休憩とばかりにぼーっと橋の下を流れる川を眺めた。
思い出すのは京さんのことばかり。
一緒に色んなことして遊んだり、男の子にからかわれて困っていたら助けてくれたし、とても優しくて、男気あって格好良くて、でも授業は寝てばっかりだからちょっとおばかさんで。
そんないい所も悪いところも全てが大好きだった。
とか考えてたらなんだか泣けてきた。
やばい、やばいと思って泣くのを堪えて、もう帰ろう!と橋の手すりに背を向けて荷物を持って歩きだそうとしたらいきなりぐっと二の腕を掴まれて、物凄い強さで引っ張られた。
「へっ?」
踏ん張るとかそんな暇もなく、私はそのまま手すりの先へと落ちた。