9︰怪しい
私が元々長めの話を書くのが癖なので、短いと少し戸惑います笑
読みやすくはなるんでしょうけど、逆に一日に何度も投稿したくなっちゃいますね(短くした意味…)
2000字オーバーでも許して下さい…
因みに今回から3話分ぐらいの間、糖分がなくなります。
それと、昨日で更に3件ブックマークが増えていました…!
本当…本当皆さんありがとうございます…(震)
おかしい。
エリノア・ルルウェ・アシュヴィはそう思っていた。
何がおかしいか?
それは周りの人物達の、彼女に対する態度だ。
まずは銀狼、もといウェアウルフのレオの例だ。
まず、彼女が何を言ってもニコニコしている。
加えてしきりに自分を研究するよう勧めてくる。
監視役をサディアスと交代するとまで言い出したこともあり、一時期彼から避けられる状態に陥っていたエリノアからすれば、この変わり身は不思議でしかなかった。
ちなみに彼がこうなったのは魔力抑制装置を貰った辺りからだ。
なので恐らくこれが原因で好かれたのだろうとエリノアは解釈していた。
次に、魔王であるエリベルトだ。
彼がおかしくなったのは、教育係として初めて指導をした日からだ。
彼女が近くに寄ると、ビクリと身体を震わせたり、真っ赤になって喚くのだ。
そのくせ距離を取ろうとすると不機嫌になる。
初日に『魔王である俺にあんな事を』等々散々怒られた彼女は、きっとまだ彼は怒っているのだろうと大目に見ることにした。
最後に、宰相のルーカス。
これが現在エリノアを最も困惑させていた。
最も魔王に近い位置に立つ彼が、エリベルトの教育係となったエリノアと頻繁に顔を合わせる事になるのは彼女にも理解出来た。
だが問題は、関係ない所で、それも相当の頻度で彼と出会う事だった。
「おや、またお会いしましたね」
「………………」
「黙り込んでどうなさったんです?」
「いくら何でもおかしいだろう。一体何を企んでいるんだ」
「何の事ですか?」
この通りである。
ちなみに現在お昼前、出会った回数は両手を超える間際だ。
…怪しい。とてつもなく怪しい。
それがエリノアの感想だった。
「宰相とやらは忙しい仕事じゃなかったのか?
お前が私の先回りをしてるんじゃなければ何故こんなに会うというんだ」
「運命。って言ったら笑いますか?」
「………………………」
気持ち悪い。
それがエリノアの感想だった。
そしてそれは言葉にせずとも相手に伝わってしまったようで、宰相は困ったように笑うと「参りましたね」と手を挙げた。
「単純に貴女に興味が湧いただけですよ。
ほら、王女なのに何故かあんな計算式やら設計図に加えて、実際に装置まで作り上げましたし」
「それが趣味だったからな」
「趣味で片付けられたらウチの研究員は泣きますね」
「…言っておくが、今もどこからかは知らんがサディアスは私を見てるんだぞ?
何かあったら叫んでやるからな」
「確かに居るでしょうが、あくまでも彼はこちら側の者です。
あなたを監視こそすれ、叫んだ所でどうにもなりませんよ」
「ぐ…」
納得してしまい、言い返せなくなったエリノア。
会話が途切れ、二人の間には沈黙が流れる。
だと言うのに、ルーカスは彼女の進行方向を塞いだままニコニコして立ったままだった。
それに張り合うように彼女も負けじと社交界用の笑顔を貼り付けて返す。
「………………………」
「………………………」
笑顔から全く表情の変わらないルーカスと対照的に、エリノアの頬がピクピクと揺れ始めた。
「………………」
「………………」
「…………だあぁぁあ!!!!
ルーカスお前は本当に何がしたいんだ?!」
とうとう我慢できなくなったエリノアが叫ぶ。
すると彼はまるで待ってましたと言わんばかりに告白した。
「実は前から貴女と語り合いたいと思ってまして。
どうです?これから書庫にでも行きませんか」
今この場にいたのなら、多くの女性が今の彼の微笑みで頬を染めたことだろう。
そのくらい、自分の顔の良さをフル活用した笑顔を彼は作った。
そんな微笑みを真正面から受けたエリノアは、コクコクと激しく頷く。
「っ!!!!
お前そういう事は早く言え!行くに決まってるだろう!」
書庫。
その言葉を聞いた彼女にはYES以外の選択肢などなかった。
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