7︰エリベルトとポンコツ教師
アクセス数が少しずつですが増えていてとても嬉しいです…!
ブクマも増えていました!してくれた方ありがとうございます(嬉しかったです笑)
今日の夜には8話を投稿するつもりなのでよろしくお願いします(_ _*)
寝てしまったエリノアの温もりを感じながら、エリベルトは固まっていた。
振り返ろうとするとずり落ちそうになるため、ひたすら前を向いているしかない。
その顔は真っ赤に染まっている。
「〜〜〜、どう、すればいいんだ、これは…!!」
――実は、初めに振り返ろうとした時に少しだけエリノアの位置がズレたせいで、丁度エリベルトの耳元で彼女の寝息が聞こえるようになってしまっていたのだ。
背中をゾクゾクと何かが走るのが分かる。
加えて布一枚越しの胸の感触がダイレクトに彼の背中を襲っていた。
最早1ミリも動けない状態だ。
「だ、誰か来てくれ……!」
縋るように扉を見つめた彼だが、ふとある事に気づく。
「…俺は今、結界を張っている、よな?」
ちらりと視界をあげると、そこには確かに半透明の壁が存在していた。
これではもし誰かが来たとしても結界内に入ることは出来ず、今の彼を助ける事は出来ない。
絶体絶命の状況だった。
「…ん」
「ッ?!?!?!」
突然耳元でエリノアが呻いた。
思わずビクリと跳ね上がったエリベルトの背中から彼女がずりおちる。
ドさりと音を立ててそのまま彼女は床に倒れた。
「……エリノア?」
恐る恐る声をかけるエリベルトだが、聞こえてくるのは寝息だけだ。
ほっと息を吐いて彼は椅子から立ち上がった。
「仕方ない、このままベッドまで運んでや…………あっ?!」
やれやれとエリノアを抱えようとした彼だったが、ある一点を見た途端頭は真っ白になってしまう。
倒れた拍子に彼女のシフトドレスの裾があられもなくめくれ上がって、その白く滑らかな太腿を大胆に晒していたのだ。
「な、なっ、だから何故いつもシフトドレスなんか来てるのだお前は……!!」
小声で叫ぶという何とも器用な真似をしながらエリベルトは顔を背けた。
これ程バクバクと激しく心臓が音を立てるのは初めての事だ。
(落ち着け、落ち着くんだ俺…!
この程度で狼狽えるようでは父上と並ぶなど夢物語だ!!)
ヨシ!!と気合いを入れ直すと、彼は勢いよく振り向いた。
床には相変わらず太腿を晒した状態のエリノアが倒れ込んでいる。
「俺は優しい魔王だからな。
例え勉強中に教育係が眠り出したとしても、快く許してやる」
1人でブツブツ言いながら彼女を抱えようとするが、実際何かを口に出していないとどうにかなりそうだったのだ。
身長的な問題で、結局腕を肩に担いで引きずるようにベッドへと運んだ。
「…全く、俺にこんな事をさせるのはお前くらいだぞ」
仕事を終えて自分もふかふかのベッドに腰かけるエリベルト。
すやすやと眠るエリノアは、別に微笑んでるいる訳でも気持ちよさそうにしている訳でも無い。
普通に無表情で寝ていた。
「本当に王女に見えないなコイツ」
少し冷静になってみると、先程まであんなに慌てていた自分がおかしく思えてきた。
とりあえず教えてもらう魔法でも選んでおくかと彼は立ち上がった。その時だ。
「……エリベルト…」
「!」
突然名前を呼ばれ、彼は慌てて振り向いた。
だがそこには、ベッドの上で横たわる彼女が寝息を立てて居るだけだ。
なんだ寝言か、と教本を取りに行こうとしたエリベルトだったが、もしかして自分が夢に出てきているのだろうかと少しだけ興味を抱く。
どうしてもその好奇心に逆らえなくなってしまった彼は、もう一度、彼女を振り返った。
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