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さらわれた姫は、自由を謳歌する事にした。  作者: 花籠 密
1章 魔王城での生活
5/14

5︰エリベルトと結界魔法

機械音痴すぎてネット界の先生方に頼りつつ、なろうについて色々と勉強しています…。

とりあえず、この話を開いてくれた画面の前のあなた。

ありがとうございます!!!!(土下座)

「レオーーーーーーッッッ!!!!」

 

 昼下がりの魔王城。

 お腹を満たして暖かな陽気に包まれる中で微睡む者達を、一気に覚醒させそうな程の声が響いた。

 

 「いや、だからね?

 君が余りにもしつこ…んんッ。

 熱心だったから、言う機会がなくて」

 「幾らでもあっただろうが!!

 何故これほど重大な事を黙っていた!?」

 

 ぷんすこと顔を赤らめて膨れるエリノアの前には、封をされている試験管と使われた後のスポイトが転がっていた。

 怒られている当人であり、この叫び声の発端であるレオは微笑ましそうにエリノアを見つめていた。

 彼の目にはこんな彼女も可愛く写っており、怒られていながらも口元は緩みっぱなしだ。完全に手遅れである。

 

 (頬がまん丸に膨らんで…。怒ってて赤くなってるのも可愛いなぁ)

 

 ニコニコと全く反省している気配の無いレオを見て、エリノアもこれ以上何かを言ってもダメだと思ったのだろう。

 はぁ、とため息を吐いてから試験管を手に取った。

 その中でゆらゆらと揺れているのは、ほんの数分前にレオから提供された唾液である。

 

 「本人が直接魔力を流している間しか発揮されないなど、扱いづらいことこの上ないでは無いか…」

 「ごめんね。せめて効力が長持ちするとかなら良かったんだけどね」

 

 恥を忍んで唾液を差し出したレオだったが、エリノアの予想に反してウェアウルフの唾液自体には治癒効果がある訳ではなかったのだ。

 直接魔力を流し込みながら唾液を傷口へと浸透させなければ、他の生物の唾液となんら変わりなかったのである。

 要するにただの、唾液を媒体とした無詠唱の小規模治癒魔法だったのだ。

 

 「まぁ、お前のお陰で研究室が手に入ったも同然なのだから我慢してやろう。

 それにココには研究対象などわんさか居る事だしな」

 

 くふくふと可笑しな笑いをし始めたエリノアと違い、レオは何処か不機嫌そうな顔をしている。

 

 「別に他の人達じゃなくて、僕のこと研究してれば良いよね?」

 「…む。確かにライカンスロープとやらには興味があるが」

 「ならほら、全面的に協力するよ?」

 

 どう?と微笑みながら自らの手を取るレオを見て、エリノアはべっと舌を出した。

 

 「あれ程唾液を渋っていた奴が突然なんなのだ。正直変わりすぎて気色悪いぞ」

 「なっ!僕はただ君の役に立ちたいだけだよ。コレも貰ったしね」

 

 耳元でキラリと光を反射した抑制装置を触りながらレオは答えた。

 ふーん、と何処か渋々といった様子でそれを聞いていたエリノアだったが、突然ピタリと動きをとめた。

 

 「む。待てよ?」

 「ん?どうかしたの、エリノアちゃん?」

 「いや、何かを忘れてるような気がしてな」

 

 なんだったかなと彼女が黙思すると同時に、突然扉が鳴った。

 パッとそちらを見た2人だったが、次の瞬間聞こえてきた声に「げっ」とエリノアが呟くのをレオは聞いた。

 

 「入るぞ」

 「……やぁ、サディアス殿」

 「そろそろ姫君の用事も済んだ頃かと思ってな。早速お呼び出しだ」

 「忘れていたのはこれだったか…」

 

 はぁ、と頭を抱えた彼女にレオは首を傾げた。

 

 「お前にやった装置な。

 アレの材料を手に入れる交渉を今朝、やりに行ったんだが…。

 完成した暁にはエリベルトの教師をやる事を条件に出されてな」

 「え、魔王様の…?」

 

 ぎこちなく頷いたエリノアを見てレオは開いた口が塞がらなかった。

 それもその筈だ。

 例え仕える君主であり子供だとしても、相手はれっきとした男。

 つい最近彼女への思いを自覚した彼にとっては衝撃以外の何物でもない。

 

 「まぁ約束したからには行かなくてはな…。

 そういう事だから、じゃあな銀狼君」

 「失礼する」

 「あ、うん」

 

 胸中が動揺で埋め尽くされているレオをスルーして、2人は部屋を出ていった。

 廊下に出ると、サディアスと歩きながらエリノアはふと疑問に思っていた事を訊ねてみる。

 

 「サディアス、ずっと気になっていたんだが」

 「何だ?」

 「エリベルトは何歳で即位したんだ?

 まだ15にも満たないだろう」

 

 それを聞くとサディアスは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてエリノアを見つめた。

 疑問符を浮かべながら見つめ返す彼女に呆れつつサディアスは前へ向き直った。

 

 「…エリノア王女、流石にそれは陛下を愚弄し過ぎだ」

 「そこまで言われる程無礼を働いたつもりは無かったんだが…」

 

 若干申し訳なさそうな表情になるエリノアを見て、言いにくそうにサディアスは口を開いた。

 

 「………………。

 陛下は今年で115をお迎えになる」

 「ひゃく…っ?!」

 

 目を丸くして固まる彼女に、そういえば人族は寿命が短いのだったとサディアスは思い至った。

 加えて魔族の中でも悪魔族であるエリベルトは特別寿命が長く、先代魔王は574歳で息を引き取っている。

 インキュバスであるルーカスも同様に寿命が長く、彼は現在177である。

 

 「確かに陛下は悪魔族から見れば年齢は重ねていないが、私や姫君からすれば明らかに長く生きている事になる」

 「あのナリで100歳越えとは、魔族には本当に驚きだな…」

 

 基本的に魔王というものは城から外に出ることがない為、人間は彼らがいつ世代交代しているのか全く知ることが出来ていなかった。

 ヴェルダ帝国が主催するパーティーも何度か行われはするのだが、その参加者は殆どが魔族のため、人間が魔王を拝めることなど出来ないのだ。

 

 「さて、此処が陛下の部屋だ。

 ……………ところで一つ聞きたいのだが、本当にその格好で行くのか?」

 「今更だろう。今朝だってこの格好で執務室にお邪魔したじゃないか」

 

 眉を顰めながら訊ねたサディアスだが、彼女がシフトドレスな事は本当に今更だった。

 それを本人も理解していたのだろう、彼は直ぐに真面目な表情に戻る。

 

 「それもそうか。最早陛下も何も言わないだろう。

 既に中で姫君をお待ちしているが、無礼は働くなよ」

 「善処する」

 

 堂々と「無礼を働くかもしれない」と言外に言ってのけた彼女に、サディアスはやれやれと息を吐いた。

 彼が扉を開いてやると、窓際で椅子に座って書物を読んでいる赤い頭がエリノアの視界に映りこんだ。

 彼女が来たことに気がつくと、その頭がくるりと振り返る。

 

 「ようやく来たな。入れ」

 

 エリベルトの言葉にエリノアが部屋の中へと足を踏み入れると、静かにその後ろで扉が閉まった。

 意図せず2人きりの空間が出来たことに、人質と魔王を密室に入れて良いのかとエリノアは苦笑いをうかべた。

 とは言え、研究員として雇われてしまい、更には魔王の教育係を任された彼女は最早人質と呼んでいいものか悩みどころではある。

 

 「エリノアが装置を完成させたと聞いた。

 まずは礼を言おう。俺の配下を救ってくれたこと感謝する」

 「あ、あぁ…」

 

 いつになくしっかりとしているエリベルトの様子に、先程聞いた話も相まって動揺してしまうエリノア。

 常なら顔を合わせてすぐに無礼を働く彼女が、今はなんだかしおらしい。その事に違和感を覚えた彼はギュッと眉を寄せてエリノアを見た。

 

 「…なんだ、珍しく大人しいではないか」

 「いや、そのな…」

 

 言いづらそうにモゴモゴするエリノアの姿に、ますますエリベルトの眉間のシワが深まっていく。

 

 「なんなのだ一体、気持ち悪いぞ?!」

 「気持ち悪いとはなんだ!!

 お前が思ったより歳食ってた事に動揺してただけだ!」

 「な、なにィ?!」

 

 これまでの子供扱いとは反対に、突如年寄り扱いされて仰天するエリベルト。

 言い返そうとするも、ぐっと堪えて腕を組んだ。

 

 「…ふん。俺が子供じゃないと分かっただけでも良いだろう。

 さっさと勉強を教えろ」

 「なんだ、今日はやけに大人っぽいじゃないか」

 「ルーカスから『あんな言葉に言い返すようでは陛下も子供ですね』と言われたからな。

 ……仕方ないだろ」

 「あの宰相見た目に似合わず随分と言うんだな…」

 

 すっかり言い合う空気でもなくなったので、エリノアはエリベルトの隣にやってくると彼が持っている本に視線を向けた。

 どうやら戦の歴史についての本のようだ。

 

 「…アシュヴィとは冷戦状態だが、他の国とは戦争をしているのか?」

 「いや、今は何処とも戦争はしていない。

 父上が俺の為に戦争のようないざこざは残さないでくれたからな」

 「いい父上じゃないか」

 

 自分が父親に手を焼かせた自覚のあるエリノアは、ふっと微笑んでそう言った。

 そのあまりにも優しい微笑みに、エリベルトは思わず目を奪われた。

 

 「――、っ、そうだ!

 俺の父上はとても素晴らしい魔王だった。

 俺や配下にも優しく、厳しく親身になってくれた。それに、戦や国同士の会議だって不利になることは無かった!」

 「へぇ。随分と優秀な賢王だったんだな」

 「……勿論だ」

 

 何処か寂しそうにエリベルトは笑った。

 年齢は上だとしても、寿命が長い分精神的には成長過程なのかもしれないな、とエリノアはその横顔を見つめていた。

 なんだか感傷的になり始めてしまったエリノアは、ポン、とエリベルトの頭の上に手を置いた。

 

 「っ?!な、エリノア!」

 「まぁまぁ。少しくらいいいじゃないか」

 

 ニッと笑いかけると、彼女は優しくその頭を撫で始めた。

 彼の赤い髪は所々跳ねて癖のある割には、サラサラとしていて柔らかな肌触りだった。

 撫でる度に押さえつけられる癖毛も、手が通り過ぎると存在を主張するようにぴょこんと再び跳ねる。

 そのことに気づいたエリノアは、なんだか無性に楽しくなり始めて頭を撫で続けた。

 

 「…ア、……ろ、………エリノア!!!!」

 「わっ?!」

 

 パシリと腕を掴まれて、ようやく自分の名が呼ばれていたことに彼女は気がついた。

 見ればエリベルトは顔を真っ赤にして彼女を睨んでいる。

 しかし、彼が椅子に座りエリノアが立っていた都合上、上目遣いになってしまっているのが全く怖さを感じさせていなかった。

 

 「いつまでもいつまでも触り続けやがって…!子供扱いするな!!」

 「わ、悪かった…」

 「さっさと勉強するぞ!まずは呪文からだ!」

 

 未だに頬を紅潮させながら、彼は慌ただしく教本やペンを用意し始める。

 困った事に部屋に椅子が1つしかない為、仕方なくエリノアはエリベルトの隣で教えることにした。

 

 「これはここの所ずっと練習している魔法だ。ルーカスも熱心に教えてくれてはいるが、中々難しいのだ…」

 「ふむ。どれどれ…?

 なるほど、結界魔法か。王族には必須だろうな」

 

 開いてある頁を覗き込むエリノアだが、思ったよりもずっと顔が近い事にエリベルトはぎょっとした。

 彼女が何かを説明しているが、距離の近さに慌てている彼の耳には何も入ってきていなかった。

 

 「――おい、エリベルト?」

 「う?!な、何だ?」

 「いや、なんだか考え込んでいるようだったから気になってな。

 …先程私が説明した事は理解出来たか?」

 

 途端に黙り込むエリベルトに、もしかして理解が追いつかなかったのだろうかと思い込むエリノアはふとある事を閃く。

 

 「聞くよりやった方が早いな。

 エリベルト、私が今から言うことを復唱するんだ」

 「…分かった」

 

 背筋を正すと、エリベルトは真剣な顔つきで教本を持ち直した。

 エリノアも、すぅ、と息を吸い呪文を唱え始める。

 

 「我、汝の代行者なり」

 「我、汝の代行者なり」

 「汝、彷徨える小さき我らに加護を与え…」

 「汝、……おい?」

 「…なんだ」

 

 エリノアが閉じていたまぶたを開けると、訝しげな表情で教本を見ているエリベルトが居た。

 

 「次の言葉は違うだろ?

 『偉大なる力を持つ精霊の』ってとこはどうしたんだよ」

 「さっき説明したはずなんだが…。そんなもの言わなくても魔法は使えるぞ?」

 「…は?」

 

 意味がわからない、と言いたげにエリベルトは声を上げた。

 初めの説明はまるきり聞いていなかったのだから当然だ。

 エリノアはそんな彼の後ろから覆い被さるようにして両手を机につくと、教本を見ながら説明を始めた。

 

 「呪文って言うのは精霊から力を借りる為の、言わばお願いの言葉だ」

 「そ、それは分かっている!」

 

 背後に柔らかな感触を感じているエリベルトは、たじろぎながら言い返した。

 エリノアの白い髪が赤くなっている彼の首筋を擽っている。

 

 「ならもう分かるだろう。

 精霊にお願いが通じればいいのだから、呪文等こんな面倒な建前など入れずに率直に必要な事だけ言えばいいんだ」

 「そういう、ものなのか…?」

 「そういうものだ」

 

 さも当然とでもいうように言い切ったエリノアに、ほんの少し疑いを抱いたままエリベルトは教本へと視線を落とす。

 再びエリノアが所々飛ばしつつ呪文を唱え始めたので、エリベルトは慌てて復唱し始めた。

 結局教本とは大分異なってしまった呪文を唱え終わると、エリノアが口を閉ざしたのに習ってエリベルトも黙り込む。

 

 「…エリノア?」

 「なんだ」

 「本当にこれで魔法は発現するのか?」

 「するとも」

 「でも、エリノアにはまだ結界が出来てないぞ」

 「そりゃ私は魔法が使えないからな」

 

 そうエリノアが答えた瞬間だった。

 どういう意味だとエリベルトが訊ねる暇もなく、自身の体から魔力が減るのを感じ始める。

 その後2秒程経つと彼の周りには結界が張られていたのだった。

エリベルトって一応ショタですよね…年齢はともかく。

需要あるのかなと思いつつ(私はいける口ですが)書いていました。

読んでくれてる方居るのか分からないのにあとがきを書く虚しさ…実質独り言ですよねコレ。

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