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さらわれた姫は、自由を謳歌する事にした。  作者: 花籠 密
1章 魔王城での生活
10/14

10︰宰相の思惑

ようやく10話です!

この時点で「2000字以内を心がける」と言っていたのはどこへやら、3000字行きそうな感じなのですが、すみません…。


また新たにブックマークが増えていて、しかもPVも1話とかと比べると考えられないくらい増えてました。ホント、有難い限りです…!

 「――という訳なのだ」

 「へぇ、驚きました。

 まさかアシュヴィの生活水準が奇怪なほど急激に跳ね上がったのが、貴女の仕業だったとは」

 

 ルーカスの誘いで書庫にやって来た2人は、予想よりも遥かに楽しげに会話を交わしていた。

 エリノアは溢れて止まらないと言った様子で自分の事を語っている。

 アシュヴィでは半ば変人扱いされていたのに加え、魔国でも語り合えるような人物は居なかった為話を聞いてもらえるのが嬉しくて仕方ないのだ。

 それをニコニコと頷きながら聞いている宰相と合わせてみると、どこか微笑ましい状況に見える。

 

 「そういえば気になっていたんだが、よくルーカスは私が流した明らかに怪しい手紙の情報で王女を攫う気になったな。

 お前はもう少し慎重なイメージなんだが」

 「……それなんですが、実は俺じゃなくて姉さんの仕業なんですよ」

 「姉?お前一人っ子じゃなかったのか」

 

 初めて聞いた情報にエリノアは眉を上げた。

 あさっての方向を向いているルーカスを見るに、あまりいい思い出は無いようだ。

 

 「姉さんは自由奔放ですから。

 何でも適当に決めてしまうので俺は後始末やらで苦労しますよ。その割に毎回何故か上手くいってるのが気に入りませんが」

 「天才型というやつか。勘が鋭いんだな」

 

 答えつつ本を取ろうと手を伸ばすエリノアだが、やはり棚の高さ故に手が届かない。

 ルーカスは微笑みながらそれを取ってやると、小さくなにかを呟いた。

 

 「…?いま何か言ったか?」

 「いえ、何でもありませんよ。

 それより――」

 

 くるりと振り向いたエリノアのすぐ目の前に、ルーカスの青い瞳があった。

 驚いてつい抱えていた本をぎゅっと抱きしめる。

 

 「ふふ。可愛らしい反応です。

 初めて見た時から実は貴女の事が気になっていたんです」

 「お前、冗談キツイぞ…」

 「冗談なんかじゃありませんよ。

 ほら、俺の目をよく見てください」

 「………」

 

 言われた通りに目を見つめるエリノアだが、ルーカスの青い瞳には若干困った顔をしている自分自身が写っているだけだった。

 一体何が言いたいんだと眉を寄せる彼女を見て、ルーカスも違和感を覚えていた。

 

 (…おや?流石に効いても良いはずなんですが)

 

 本をエリノアに取ってやった時、実は彼女に魅了(チャーム)をかけていたのだ。

 効果をより引き出す為に敢えて距離を縮め、至近距離で見つめあってみたのだが…。

 エリノアは寧ろ何が何だかと言った様子で真面目に瞳を見つめてきていた。

 

 (何故彼女には効かないんでしょう…?

 流石に性欲とか愛欲が枯れてるなんてことある訳……。

 いや有り得なくもないですね)

 

 まさかの考えに行き着いてしまい、さてどうしたものかとルーカスは考え込んだ。

 だが流石にその考えはエリノアに失礼である。

 言ってはなんだがエリノアだってきちんと異性に対してときめくことはあるし性欲だって持っているのだ。あまり強くないだけで。

 そんなエリノアはほんの数センチしかない距離で突然ルーカスが真剣な顔になった事に困惑していた。

 

 (もしかして先程のは何かの実験だったのか…?

 物凄く悩んでいる様子だが、これは声をかけるべきか…)

 

 少し動けば唇が触れそうな距離で2人はじっと考え込んでいた。

 そして先にこの状況に気づいたのはルーカスであった。

 エリノアが考え込んでいるのを見ると、そっと彼女の頬に口付けを贈る。

 

 「……………。ッ?!」

 

 沈黙が続いたせいで無視されるのではとルーカスは身構えたが、一拍遅れてエリノアは顔を上げた。

 路線変更を決め込んだルーカスは、そのまま彼女の顎をくいっと持ち上げる。

 何をされるか理解出来ていない彼女でも、この流れの先にどういうものがあるかは薄々推察できる。

 段々と近づいてくるルーカスの顔を見ると、彼女は右手を持ち上げ――

 

 『パシンッ』

 

 思い切りビンタした。

 

 「………」

 「…………謝らんぞ、私は」

 

 呆然として固まっているルーカスに、エリノアは冷たい瞳を向けて答えた。

 

 「敵国の王女を雇い入れたり、私の話を真面目に聞くような奴だから少しは話が分かると思っていたが…。

 どうやら思い違いだったようだな」

 

 話を聞いてくれる相手がいる事が嬉しくて浮かれていた分、アレは上辺だけだったのかと彼女は裏切られたような気持ちがしていた。

 自然ときつい物言いをした自覚はあった。

 それでも、言わずにはいられなかったのだ。

 先のセリフを吐き捨ててルーカスに背を向けると、彼女は部屋を出て行こうとする。

 その腕をルーカスは慌てて掴んだ。

 

 「っ離せ!」

 「…、すみません」

 「なっ?!」

 

 エリノアが掴まれた腕を振り払おうとした為、彼はやむを得ず掴んだその腕をぐっと引いてそのまま彼女を抱きしめた。

 

 「?!」

 

 状況に理解が追いつかず、混乱して一気に大人しくなった彼女の耳元でルーカスはため息を吐く。

 思わずビクリと彼女の体が反応したが、それを無視して彼は話を続けた。


 「すみません。先走りすぎました」

 「な、いいから、とりあえず離せ!」

 

 慌てて暴れ出すエリノアをルーカスはぎゅっと抱きしめた。

 

 「離したら貴女逃げるでしょう」

 「当たり前だ!この色ボケ宰相!」

 「色ボケ…。

 あぁほら、どうせ力じゃ勝てないんですから大人しく話を聞いてください」


 しばらく粘った後、確かに無駄に体力を使うのは非効率的だと判断した彼女はピタリと暴れるのを辞めた。

 それに内心ほっと安堵しつつ、彼は腕の中から彼女を解放して話を続ける。


 「実は、陛下の様子が最近おかしいんですよ。

 具体的に言うと貴女が教育係を務め始めてから」

 「随分率直に言ってくれるじゃないか」

 「えぇまぁ事実なので」


 彼の説明によれば、エリベルトの態度を疑問に思った為、原因である(と思われる)エリノアに突撃したということらしい。

 要するに、エリノアがエリベルトに何かしたのではと探りに来たのだ。

 もっともそれは理由のうちの一つであって、本当は単純にエリノアの技術力が惜しいと思った彼が、エリノアを魔国から逃さない為に自分の虜にさせようとしていたのが今回の奇行の理由だ。

 まぁ結果はこの通りだったが。


 「ですが貴女が恋愛沙汰に疎いということは嫌という程わかりました。

 恐らく態度が変だったのは勝手に陛下が沼に足突っ込んだだけなんでしょうね」

 「一体なんの話しをしてるのか分からないんだが」

 「エリノアってそういうとこありますよねって話です」


 唐突に呼び捨てにされたエリノアは、驚いてルーカスを見た。

 そんな彼女にニッコリと笑いかけて彼は告げる。


「あ、俺別に貴女を落とすこと諦めたわけじゃないので、これからもよろしくお願いします」

「お断りだ!!!!」

この話は2700くらいなんですが、12話とか行くともう3900超えちゃってるんですよね…。

文字増えても読んでくれたら嬉しいです、という予告。

あと、冒頭部分アレですね。

私の前書きと繋がって、エリノアが喋ってるみたいになってましたね…笑

ちょっと面白いです(作者の感性的には)

話に入りづらかったら前書きは消すので遠慮無く言ってください。


もし良ければブックマークや評価もお願いします!作者がみなぎります!

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