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1-4;ブラジャー


絢曰く、身体も自由に使うことができる らしい。

問題はその時に体も女に変わってしまうようで下着がいるということなのだが…





天界であんなことが起きるだなんて、俺たちは全く想像していなかった………………


4時間前のこと

 絢の自由という約束のもとで俺は生き返ったのだから買わなければいけない。

とうとう目的地の富山駅についてしまった。その隣にデパートが建っており、その4階に下着コーナーがあるらしい。駅周辺には様々な飲食店や映画館、環水公園がある。

しかもその公園の中には不審者キラーがある。

スターバックスである。

行ったことがないので全く分からないが、流行りの喫茶店らしい。TVでもよくあげられていて多くの人がそこへ飲みに来るのだ。

しかもただのスターバックスではない。“世界で一番美しい“という肩書をこの店は持っているのだ。(これを聞いて嘘だと思う人もいるだろうが試しに{スタバ 世界一}で調べてみて!ね…ホントでしょ?)

話が下着から脱線したが、今日は土曜日で晴れている。近くに世界一のスタバがある。現時刻3時20分。人が集まる条件を完全に満たしている。ゆえにデパートにも人がたくさんいるわけで…

「詰んだ…」

「えーっと、ごめんね 輝。無理して今日買わなくてもいいよ」気を遣ってそんなことを言う絢。

「いや、大丈夫。今日で買い物終わらせちゃうよ。」

自転車を停めて近くのATMでお金をおろす。

さて、とっとと終わらせようか。


<デパート4階トイレ>

個室に入ってどんなものが欲しいか絢に聞く。

「サイズも好みも全く分からないので、これから聞いていきます」

「はい」

「どんな色がいい?」一瞬店の隣を通ってきたが結構広かったのである程度の下着の色はあるんじゃないかなあ、と思ったが

「赤」

「あ…か… 赤ね。うん、わかった!」ぱっと見だったけど確かあったような気がする。原色系の下着めったに見たことなかったから驚いた。まさかそれを選んでくるとは…赤好きなのかな…?

「暁さんは赤好きかな?」ふと思いついたのでダジャレを言ってみた。

「はい?」頭に?を浮かべている。

「なんでもない」今のはなかったことにしよう。

質問を続ける

「サイズは…?あ。サイズここに出しとくから」あらかじめ調べておいたサイズ表の画面をスマホに出して絢に見せる。

「ちょっと待ってて…」

絢がサイズを測っている間暇だったのでそのページに目を通す。AからGまであって…Gカップの最大値はトップが110センチ! 110センチというと長さに実感がわかなかったが、調べるとアンパンマンの身長がちょうど110センチらしい。国民的ヒーローと肩を並べるとは恐ろしい…


「エ…」

測り終わった絢がサイズを口に出した。Aか?AAか?まさかのAAA!?

「Fだったよ。」

・・・

「あ、盛らなくてもいいんだよ」Fってトップが100センチじゃないか!

「本当だってば!ちゃんとトップが102でアンダーが80だったもん」どうやら本当っぽい。 え。マジで…?

「…わかった、じゃあ買いに行くぞ。」トイレを出て決戦の地へ向かう。



右手に持っている紙袋の中には3セットの下着が入っている。

思っていた以上に下着は簡単に買えた。店員さんは疑わしい目で見ることなく、丁寧に説明してくれたのだ。やはり見間違いではなく、赤があった。オレンジやピンクとは全く違う、バラのような純粋な赤。

「じゃあ、変身するからその更衣室に入って」

絢の言うとおりにそのまま店内の更衣室へ入る。さすがの店員さんもぎょっとしていた。

「それでは輝、全身の力を抜いて…」

「OK!」


「シュー――――ッ」もくもくと真っ白な煙が体じゅうから出始めた。最近色々ありすぎてこんなことでは驚かなくなってきた。異常事態なのに、慣れとは怖いものだ。

個室が煙でいっぱいになる。

「あ。これやばいんじゃ…」

「ジリリリリリリリリ・・・!」

火災警報器が鳴り響きスプリンクラーが作動し、店内がざわめきだした。

「とまれ!」もうすでに体の入れ替わりは終わったらしく絢の声が更衣室に響き、音や水が止まる。

今のスプリンクラーで煙がさあ…と晴れて、ようやく鏡の像を目の当たりにする。


「・・・」衝撃で息をのむ。

女は目鼻立ちは整っていて、身長は俺とほぼ変わらなく170センチほど。出るとこは大いに出ており、引っ込むところは引っ込んでいる。鏡に映っているのは、まさしくきらびやかで美しいさま、豪華絢爛を思わせる出で立ちだった。髪は長くなってロングヘア―になっていた。絢はいったんすべてを脱ぎ下着を着て、その上から俺の着ていた服にそでを通した。そして、何事もなかったように更衣室から出る。すべての目線がこちらに向く。アラーム音もそうだろうが、やはりその主な要因は出てきた人間のまばゆいさまだろう。

「なんだか誤作動だったようです」と微笑みながら店員に伝え、店を出ていく。

あっけにとられた店員たちはそこで立ったまま動かない。


下着だけでも外出できないということで、あれからもう一着、服を買った。これまで駅周辺で何人も女性を見てきているのでそういう色を選んでくると思っていたが、絢の選んだのは真っ赤なワンピースだった。(うんまあ、わかっていたけどね…)


デパートから真っ赤な服に身を包んだ女が出てきた。

本来の計画ではここから自転車で10分のところにある喫茶店へ行くつもりだったが、今は絢が身体を使っているので絢に任せた。そしたら

「スタバに行きたい」



<スターバックス>

案の定、店に入った瞬間ざわめきが消え、絢はまたしても店内のすべての目線を独占した。

すました顔とはうらはらに「私の美しさで皆いちころだねー」と話しかけてくる。

「俺だってはじめ見たときは言葉を失ったよ。まさかあの蟹がこんなに美人だったなんて」

「えへへー」

店員に誘導され席に着く。

「絢が飲んでみたいもの選んでよ」

「…じゃあ、このピーチフラペチーノにする」


「いただきまーす」

5分ほど待って注文が届いた。袋からストローを出して、口を付ける。

桃が入ってくる

「うまあああぁぁ…」緊張で硬くなっていた体がほぐれる。甘すぎずさっぱりした桃の味がこちらにも伝わってくる。おお、確かにこれは結構おいしい…


だが そんな気楽なひと時は1本の電話により終わりを迎える。




「プルルルル…」

机に置いたスマホが着信を知らせる。画面には非通知と出ている。

「あ。無視しといていいよ、後でかけなおすから」

「輝、非通知の電話ってこれまでにどれくらいの頻度でかかってきた?」

「覚えてないなー、そんなにかかってこないよ。年に1本かかってくるかこないかぐらいじゃないかな」どうしてそんなことを聞くんだろう。

「すごく嫌な予感がする…」絢の顔がこわばる。

「…プルルルル…」「はい、暁です。」

電話とっちゃたよ…

「キャンサー…か… 天界が…攻撃…れて…る くそっ… …んだ? う、うわああああ…あ………………」電話の相手の声が聞こえなくなった。ノイズが激しくて聴き取りにくいが天界が何者かに攻撃を受けているらしい。

「ジェミニ?ねえ!何があったの!?」戸惑う絢


「急いで天界へ行こう!一刻を争うかもしれない!」

「うん…」そう言うと絢は容器を左手に袋を右手に持って立ち上がった。

代金を支払い店を出て、天界へ向かう。


<天界>

濛々と黒い煙があたりを覆っている。

酷いありさまだった。建物はバラバラに壊れ、きれいに円になるように並べられていたであろう12個のテーブルが乱雑に転がっており、A3ほどの大きさの何十枚ものタブレットが割れて散らばっている。そして、誰ひとりいない。

「いやあああああああああああ!!!!!」

その場に倒れこみ泣き叫ぶ絢。


「う、ううう…誰かまだ無事な奴はいるか…」いや、一人いた!

まだ生きている使徒に駆け寄る。

「ねえ!何があったの?」絢は傷だらけになったその使徒の身体を起こして聞く。

「!お前、その目… 人と契約したのか… もう俺にも時間がないから 端的に言うぞ。」俺たちの目を見て彼はこう続ける。

「世界を救ってくれ…皆が消されてしまったから、地球上の情報処理が完全に停止している。 議長席の机の中のアレが使えるかもしれない…  頼んだぞ、お二人さん………………」

そう言い残すと彼の身体は粒子になって、その場から消えた。

「とりあえず議長席ってどこにあるの?」

「あっち」絢はすすり泣きながらぼそっと言った。散らばっている机の中でたった一つだけ美しい装飾の施されたものがある。しかもこの机はどこかで見た覚えがあるような気がする。それにしても果たして引き出しの中は無事なのだろうか。

机を起こして引き出しを開ける。


ティッシュ箱の大きさのガラスケースだ。きれいに輝くガラスの箱が入っていた。

その何かが入っているようだが、すりガラスにしてあるのか中が判らない。絢がガラスケースを開く。

「これは...!?」



つづく



あとがきという名の次回予告

ガラスケースのものを使って世界の修復を任された輝と絢両名は輝宅へ戻り今後の事について話し合うが、、、


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