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8 争奪戦1

始まりました争奪戦!


争奪戦は、魔物を倒しながら他パーティを倒してポイントを稼ぐ。単純明快な行事イベントだ。

このイベントは学年ごとに行われる。

行動範囲は、上級学校の校舎屋上、広場、運動場など屋外に限られている。

屋上へは、校舎の横に直接いける階段があるので、そこから登る。校舎内に入れば失格だ。


初日に1年生、2日目に2年生、と続き、争奪戦3日目の今日は私達3年生の出番だ。


服装は皆、紺色のジャージのような運動着と決まっている。

私とキースも長袖の運動着。中には、上だけ半袖の者もいる。


武器や道具の持ち込みは自由、生徒には全員に腕輪が支給される。

ポイントを稼げば、腕輪の表面に数字が刻まれるのだ。

腕輪を身に付けると、薄い防護膜が張られ、斬られたり魔法での攻撃に対しても、実際に傷を受けることなく痛みもない。腕輪がダメージを吸収してくれるというわけだ。

また、個人の生命力を計測しており、50%の生命力低下、気絶など戦闘不能と判定されれば赤く光る。

赤く光れば要救護として、試験官である先生方が救助する。

腕輪が赤くなった者は、争奪戦は退場となり、広場の本部横に設置された見学席で最後まで見届けることになる。


腕輪が赤い生徒を追攻撃すると、失格となり、休学処分となる。

魔物は、赤い生徒を攻撃しないように躾られている。どういう仕組みかはわからないけど。


対人戦は一人につき30ポイント、魔物は15、20、30、40と強さや大きさによって各々違う。

上手く立ち回れば、対人で倒れる前に魔物を倒してポイントを稼いで、ランク上位を狙える。だが、魔物も弱いわけではないので、魔物に倒され、腕輪が赤くなる可能性もあるのだが。


朝から広場に3年生全員が集められた。

開始の式が行われ、学院長が長い挨拶をしている。



今回の作戦はこうだ。

過去2回の争奪戦の結果により、徴兵制免除が欲しい彼らは必死に私達を倒しにくるだろう。

各チームが共謀して3年生の生徒146人が…。

レイとエルのパーティはこれには参加してないらしい。

別行動で魔物を退治するのかしら?


そう、事前の調査で、最初に私達を倒そうと計画していることがわかったのだ。

確かに、圧倒的人数で攻め込めば勝てるかもしれない。こちらは二人しかいないのだから。

最初に学年最強である私達を全員で倒したあとに、魔物たちをゆっくり倒せばいい。


ふはは、ならばその計画に乗ってあげようではないか。


挨拶が終わり、争奪戦のルールを学年主任のルドセン先生が読み上げる。


このあと30秒間の猶予が与えられる。この時間の間に、各自持ち場についたり、狙いを定めたりする。

隠蔽魔法が使えるパーティは隠れて移動ができるので有利となる。


「知恵を振り絞り最善を尽くせ!全力で戦うことを誓え!日々の鍛錬の成果を試す時だ!」

「それでは、カウントを始めます」


挨拶が終わり、次に魔法科の先生が手を上にあげる。

すると、空中に大きな30の数字が表れ、カウントをしていく。


整列していた生徒たちは、蜘蛛の子を散らすように移動する。

私もキースと一緒に移動する。

場所は広場の中央。

私達は、特に構えることもなく、背中合わせに立っている。


弓や魔法を使う者は、広場から移動し、校舎の屋上や木の上に移動していく。

近距離の者は、私達の周りを取り囲むように足早に移動している。

キースの間合いが大きいので、入らないように大きな円状になっている。


う~ん、圧巻。これほどまでに注目を浴びたことがあっただろうか。

全員が私達を倒そうと殺気を放っている。

レイ達はどこにいったんだろう。

さらりと見渡してもいないので、どこかに移動しているのかもしれない。


カウントが進む。


10、9、8、7,6…


キースと目を合わせて頷く。

私は計画通り、魔法を準備しておく。


5,4,3、2,1


カウントが0になり、ビーッ!と開始の大きな音が学校内に響き渡る。

その瞬間、私とキースの姿は消えた。


「「「「えっ!」」」」


音もなく、気配もなく、かき消えた二人にざわつく周囲の生徒たち。

先生方が準備していた魔物を解き放ち、魔物の咆哮に士気を取り戻し、攻勢にでる。


学年の全生徒がこの広場に集中していたのだ。

私達を見失ったパーティは、魔物を退治しながら周りにいるパーティを攻撃しだした。


おお~、すごいパニくりようだ。


私達は、その様子を見ながら、もたついているパーティをキースが攻撃して倒していく。

何もない所から攻撃をくらって、慌てている。

「アイツらっ、隠蔽かっ!」

「姿見の魔法を使えっ!」

そういって慌てて魔法を使おうとする魔法使いさんも、さくっと魔法を投げて倒す。


そう、私は瞬時に『隠蔽』と、『気配断絶』、『音声遮断』の隠密魔法を使ったのだ。

姿が消えてはいるが私にはキースが見えるし、キースにも私が見えている。

普通は見えないんだけど、精霊たちに聞いて試行錯誤してパーティを組んだ仲間は見えるようになったのだ。


姿見の魔法は魔力でできた放射状の光を浴びさせると隠蔽魔法を解除できるのだ。だが射程がある。

どこにいるかわからない私達に当たるとも思えない。


一般的な魔法使いは1つずつしか魔法が使えない。

詠唱による脳内の創造と、魔法力の消費のためだ。

私みたいに複数の魔法が使える人はこの学年には誰もいない。

この隠密魔法は、魔法を掛け続けていないといけないので、魔力消費も激しいのだ。


だが、私は自己治癒能力がある。それは魔法力にも適応され、使っても徐々に回復していく。

つまり、魔法が使い放題なわけだ!


いつもの場所での作戦会議の時に、キースに自己治癒能力の話をしたら、驚きもせずに「聖女だからな」とうんうんと納得していた。

…公爵家の次男さまだ。聖女のことを知っているのも不思議ではない…が、府におちぬ。


隠密状態を維持したまま、キースも手近なパーティや魔物を退治し、私も火矢や、氷魔法を使って次々と倒していく。姿見の魔法を使える魔法使いも真っ先に倒した。


1時間もかからずに146人は全滅した。

はっはっは、どうだ!

私達を狙っての魔法攻撃は、場所がわからずに打つから明後日の方に飛んでいき全く当たらず、私達からは見えているので、私の魔法攻撃に晒されるこの入れ食い状態。

一方的な戦いだが、これはこれで面白い。


剣は不得意だけど、魔法は得意なのだ。

前世を思い出してからずっと練習していたのだから。

魔物はどこにいるのかと見渡すと、レイたちが倒しているのが見えた。


残っているのがレイ達だけなので、もう意味はないので隠密魔法を解く。


こちらに気づいて、近づいてくるレイオールとエルヴィオ。


「今回も面白いことしてくれたね、ふふ」

「全く、マリテーヌとキースには適わないね」

ブクマありがとうございます。

すごく嬉しくて励みになります。

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