5.服屋さんで、交渉を 〜前編〜
仕事を依頼するついでに、オススメの服屋さんと武器屋さん、それからアイテム屋さんを聞いてきた。
まー、でもまずは、服屋さんかな。
身なりは早めに整えておきたい。
おじさんにも注意されたしね。
と、いうことで。
今、勧められた服屋さんの前にいます。
お金が余ったら武器を買おうと思っている。
身を守るものは大切だ、うん。
「どうしたお嬢ちゃん、なんか用かね」
店の前(出店タイプだった)に立った私を見て、店員さんのおばさんは話しかけてきた。
「あの、売りたいものがあるのですが」
この服屋さんは中古も取り扱っていると聞いている。
「あいよ。どの服かい?」
私は、背負っていたリュックから体操服を取り出す。
ちなみに、ジャージ上下付きです。
「これです。丈夫さと、こっちの2つは保温性もありますよ」
交渉する場面を本で読んだことがあるから、それを真似してみる。
「見たことない素材だね。しかも、薄い。
それに、見ない顔だけど、旅人さんかい?」
「最近この町に来たんです。冒険者ギルドに属しています」
そう言って私は、ギルドカードを見せる。
受付嬢さん(お店のこととかを聞いた人)に、カードを見せれば店の人に盗み取られたりすることはないと言われた。
治安はやっぱり、日本よりは悪いのだろう。
ギルドとは、全世界共通の五大組織。
冒険者、魔術師・魔導師、商業、貿易、医術師の5つ。
もちろん、規模も大きければ、世界に及ぼす影響も大きい。
極論いうと、客が末端でも不正なことをしたら潰される、ということなんだろうね。
逆に、私が下手なことをしたら、大きな迷惑をかけてしまう。
そこは気を付けないと。