1.まずはステータスの確認を
視界いっぱいに青い空が広がってるなぁ。
ぼんやりと思考で、私、夢形春香はそう思った。
「ううん……」
気付いたら、横たわっていた体を起こす。
すると今度は、視界に緑色が映った。
確か、神様に異世界でサンプルになれ、って言われて。
で、私はそれに頷いて。
目の前が真っ白になったかと思えば。
気付いたら草原の上に横たわっていた、と。
ま、テンプレっちゃあ、テンプレか。
えっと、ここは、ユーレシ草原かな。
……………………ん?
なんでここが『ユーレシ草原』だって、わかったんだ?
…………。
もしかして、なんかしらのスキルやらでわかったとか?
それならわかる。納得できる。
だとすると、言葉の違いは気にしなくてもいいかもしれない。
さすがの神様も、そこに温情は加えてくださったらしい。
てか、それわかんなかったら何もできないからこそ、温情を加えたのか。
サンプルにもなれやしない。
ま、とりあえずは例のアレを確認しようかな。
異世界と言ったら、やっぱり――ステータス、でしょ!
この世界にはあるらしいしね(と、なぜかわかる)。
ええっと、《ステータス》と念じて……(そして、やり方もなぜかわかる)。
私の目の前に四角いウィンドウが出てきた。
私のいた世界で、今話題のVRとかで出てきそうな雰囲気してる。
青色の透き通った、縦に細長い長方形。
そこに、文字が浮き上がっている。
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《ステータス》
名前:夢形春香
年齢:十六
称号:
体力:20/20
魔力:16/16
攻撃:12
防御:8
攻魔:15
魔防:10
素早さ:9
運:6
《スキル》
アタック
・水系攻撃魔法
パッシブ
・空間系補助魔法
ユニーク
・世界の常識の知識
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……うーん。
思ったよりも普通、だったなぁ。
神から授かったのって多分、世界の常識の知識だけだよね。
で、多分、これのおかげでここがどこかわかる。
こんなんで果たして、夢なんて、叶うのかなぁ。
夢、っていうよりかは願い、の方がしっくりくる気はするけど。
『これあればピンチの時に何とかなる』的なチート能力、ほしかったな。
――ま、クヨクヨ悩んでても仕方ないか。
ぼおっとしてても何か起こりそうな気配はないし。
まずは近くの町、ユーレシ町にでも行こうかな。