12.戦闘後に、感想を
簡単に説明すると、私は返り血を浴びたのだ。
その『鉄臭さ』とか、
ナイフ越しに伝わった『鼓動が止まる瞬間』とか、
だんだんと落ち着いてきた時にふと感じた『肉を裂いた感触』とか。
他にもきっと理由はあったんだと思うけれど。
結果、私は吐いた。
胸にせり上がってきた酸っぱい液体を、拒めるほどの力なんて残っていなかった。
そして今、ようやく吐き気が止まって……というよりかは、吐くものがなくなって、なんとか落ち着けた。
もともと髪の毛はポニーテールにしていたから、毛につくことはなかった。
もし結んでいなかったら、ベチョベチョになっていたと思う。
腰のあたりまであるからね。
さっきまでは髪の毛なんかに気を割く余裕なんて、なかったから。
……夕飯、食べていなくて良かった。
夕飯、というよりかはお腹を満たすためのお菓子だけど。
お金が残っていないので、キチンとしたご飯を買うお金はありません。
学校に持っていっていたわずかなお菓子しか、食物はない。
ていうか、そもそも食欲がない。
とりあえず。
解体はしなくても良いらしい。
そういうのを仕事にしている人もいると、世界常識さん(世界の常識の知識)が教えてくれた。
核だけは回収していこうか。
核で多少のお金は手に入るだろう。
ゴブリンの死体、触りたくないけど、慣れるためだと思えば。
そう考え、私はゴブリンの心臓から核を取り出した。
ゴブリンの核は、黒ずんでいて、親指の爪ほどの大きさしかなかった。
今回は、なんとか耐えれた。
慣れ、だとは思うけど、なんだか慣れてしまうことも怖く感じてしまう。
その思いが、正しいことなのか間違っていることなのか、わからないけれど、ね。