11.初戦闘で、初魔法を
「ハアアァァァアアッ!」
声を出しながら私はゴブリンに突っ込む。
特攻隊にでもなった気分で。
ザシュッ
大声に怯んだらしいゴブリンは、カウンターを仕掛けることもなく私の攻撃を受ける。
次はそうはいかないだろう。
その前にステータスで、私の体力の残量を確認しておこう。
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《ステータス》
名前:夢形春香
体力:10/20
魔力:16/16
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…………。
私、次、攻撃受けたら死ぬらしいです。
どうしよう。
何か、何か他に、攻撃手段は……、そうだ。
魔法がある。
詠唱文は、世界の常識の知識で、初等魔法ならわかる。
……詠唱文、恥ずかしくないですか?
そんなこんなを迷っている間にも、体勢を整えたゴブリンが襲いかかってきた。
魔法の使い方の詳しいことなんてわからない。
そりゃあ、恥ずかしいところもあるけれど。
でも、やるっきゃないんだっ。
「水よ凍てつけ、飛礫と化せ、〈氷飛礫〉っ!」
小石サイズの氷をたくさん想像して、魔力の流れとか魔力の使い方も仮定して――、
――ほら、できた。
「いっ……けえぇぇえっ!!」
私は十数個のそれを、ゴブリンに打ち込んだ。
「グギィ!?」
よし、怯んだね。
けれども、これだけじゃ決定打にはなり得ない。
……震えを、抑えるんだ。
ナイフを握りしめて、私はゴブリンに襲いかかる。
「イヤ――ッ!」
心臓を、一突き。
いや多分、ズレてはいるけど。
それでも、必死の一撃になったと思う。
……そして、血が溢れた。