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用済勇者の異世界生活  作者: さめたおかゆ
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涙の理由とロールキャベツ

 最近、食事に固形物が増えてきて嬉しい。

 どろどろの離乳食ですら、初めて食べた時には感動して泣いてしまった。

 父と母の会話を聞くに、俺が生まれてから初めての涙だったらしい。

 出産時にも泣かずに、分娩室で助産師さん一同をざわつかせたらしい。


 その頃から、両親には迷惑をかけっぱなしみたいなので申し訳ない。


 なるべく早く親孝行ができるようになりたい。


 それにしても食事だ。


 母の作る料理が、まあ〜美味しい!


 先日のバナナマフィンは至高の味だった。


 思わず涙を流してしまいそうだったが、流石にもう恥ずかしいので我慢した。


 父も夕方には帰ってくるので、基本的に三人で夕食を食べるんだけど、二人が食べていたロールキャベツがすっごく美味しかった。


 あまりにも美味しそうで、ガン見してたら父様が一口くれたのだ!

 流石、優しさと、穏やかさと、人の良さと、眼鏡を同じ鍋で煮ればできるような男は出来が違う!

 

 その後母に注意されていたけど。

 父様、本当にありがとうございました!


 さておき、ロールキャベツだ。

 まず、肉のミンチを野菜で包むという発想が凄い! 前の世界には、焼くか煮るかくらいしか調理法が無かったから、目から鱗だった。

 しかもそれをクリームソースで煮るのだ!

 考えた人は天才じゃないですか!

 思わず才能に嫉妬してしまいます!

 

 クリームソースが染み込んだ、トロトロのキャベツと肉のミンチ(肉以外にも野菜と何かが入っていた)が口の中で溶けていくのだ!


 身体中の全てが狂喜乱舞していた!


 もう一度言おう。

 父様本当にありがとうございました!






 取り乱してしまいました… すみません。


 

 そして我が家は、一日三食でしかもおやつまであるんです!


 ここが天国でないとするなら、どこに天国があるというのでしょうか?




 まあ、ここは一般家庭の三人家族が住まうマンションの一室なんですけどね…


 ご存知とは思いますが、天国で無ければ間違っても神界などでは無いですよ…



 ああ、すいません… ふとした拍子にトラウマが…



 ともあれ、母の料理は凄いので、もう少し大きくなったら教えてほしいです。






 そんな料理の鉄人の母の膝の上で、今現在テレビを観ています。


 テレビは決して異世界の映像を観る物ではありませんよ?


 あっ? 知ってました?


 なんであんな板みたいのが映像を映したりできるんでしょうね〜フシギデスネ〜……


 

 あっ… ちょっと待って震えが止まらないから、今おしゃぶりしてくる……








 そんな訳で、美人な母の膝の上でテレビを観ている。


 頭がアンコの入ったパンの化け物が、獣人に自分の頭を食べさせている。


 日本語を理解した、今だからこそ微笑ましく見れるけど、映像だけだと凄いシュールだと思う。


 しかも最後は殴って解決。


 平和な国のはずなのに、わからず屋には物理で解決する事を子供に教えてどうするんでしょう?


 しかも殴られた奴が、あんなに吹っ飛ぶということは、とんでもない必殺技って事でしょ?


 初めて観た時はやっぱり怖かった。


 今も少し怖い。


 そういえば初めてテレビを観た時の、青色の狸の化け物は猫だったらしい。


 耳は?


 そしてロボットなる物らしい。


 なんだか胸が高鳴る響きだ。


 この世界にいると、やりたい事、行きたい所、見たい物、したい事、がどんどん増えていく。


 今では、親友に感謝すらしている。


 あのおかげで、今こうして幸せに暮らせているのだ。


 仮に俺を殺したのが私怨だったとしても、笑って許せると思う。


 いつかお礼が言いたい。


 ただ、もうあっちの世界には絶対に帰りたくないけど。


 俺はこの日本を十全に味わい尽くして一生を終えてやるんだ!!




 えっ! 


 母様! もうお昼ですか?

 しかもそれ俺が好きな奴じゃないですか! 

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