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用済勇者の異世界生活  作者: さめたおかゆ
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なにかがおかしい〜そして俺は気付いてしまった〜

 三ヶ月がたった。


 衝撃の連続だった。


 この家はおかしい…


 得体の知れない技術で成り立っているっぽいのだ。


 見たことの無い素材ばかりでできている。


 もはや世界観が根底から違っているような気さえしてくる。


 なんで魔核を使わずに、光源を発生させられるんだろうか?


 理由を知りたいけど、知ってしまうと常識が覆ってしまいそうだ。


 う〜ん不安。


 現実から目をそらす為、やたらと魔力の練習が捗った。


 おしゃぶりをしなくても、魔力が循環できるまで後ひと息という感じ。


 循環できるようになっても、しばらくはコロコロしたいけど。


 コロコロは、無心になりたい時や、現実から目を逸らしたい時に大変役にたちます。


 ベッドメリーの人形達にも愛着が湧いてきたから、名前でもつけようかと思ったけど、なんだか嫌な予感がしたのでやめといた。


 俺のモンスター達は今日も今日とて(ダンス)っている。


 可愛い奴らである。


 

 現実逃避にコロコロや魔力の鍛錬をしながらの日々を過ごしている。






 それから二日後の事だった。


 前世を含め一番驚愕しただろう。


 前日に、取っ手を捻ると水が出て来る装置に驚いた事など、ほんの前座だったかの様な出来事だった。


 コロコロしてないと直視できない。






 黒い縁の板の中で世界が広がっていた。






 なに言ってるかわからないでしょ?




 俺もわからないんですよ。


 様々な人々の生活を観ていたんです。


 両親達(畏怖)が観ているのです。


 魔力も使わずに。



 ここで自分の誤解に気付いてしまいました。







 御二方(尊敬)が王族なのでは無いかと考えてた時期が俺にもありました…


 しかし違ったのでしょう。


 この家の数々の器具や装置に使われている、俺には感知できない未知の力。


 そして最早、神具としかいいようのない物の存在。



 間違いない! 御二方(畏敬)は神だったのです!



 そうなってくると、俺が御二方(崇敬)の子供という予想にいまいち信憑性が失われてくる。


 だって今のところ、俺は魔力しか持ち合わせていない。


 ここ最近の現実逃避という名の鍛錬で、既に前世の3分の2程度の魔力量にはなっていて、このままいけば

魔力に関しては師匠越えも夢じゃないかも! と考えていた自分の愚かさに呆れてしまう。


 相手は神だった。


 御二方(崇拝)に認めてもらうには魔力量なんてなんの役にも立たないだろう。

 だってこの家に魔力が必要無いのだから。

 俺の感知できないその力こそ必要なのだろう。


 その力を手に入れる取っ掛かりがなにも無いのだがどうすればいいのだろうか?


 そしてどうすれば失望されずに済むだろうか?




 おしゃぶりでまたどうにか…なりそうも無い…








 今現在、父上(初見でぱっとしないとか言って本当にすいませんでした!)の膝の上で一緒に人々の営みを眺めている…


 恐ろしいのは、板に映っているのが、どう考えても異世界という事だ。


 だって、まず頭身が違う。

 色合いも。

 アレはもう人型ではあるが、俺の知っている人では無い。

 既に異世界という次元では無い。

 板に映っているとはいえ、存在が平面的過ぎる。

 なんだかもう世界観が違う。

 巨大な水色の狸のモンスターが人型のなにかと暮らしているのだ。

 狂気しか感じない…

 あっ! 頭に何かつけて空を飛んだ!


 あまりの恐怖に父上(お前とも言ってすいませんでした!)を見上げてしまう、見上げる俺に気付き、こちらに向けて笑顔を見せてくれる。


 その優しさを向けてもらえる価値が俺にあるのでしょうか?


 隣に座っていた母上(それにしても美人)も俺の頭を撫でてくれる。


 その優しさに報いる事が俺にできるのでしょうか?


 




 

 もしかしたら2人は、異世界を映すこの神具で前世の俺の最後を観ていて、不憫に思い俺の魂にこの新しい身体与えてくれて、情けをかけてくれているだけなのかもしれないな…と、3人で異世界を眺めながら考えていた。


 孤児だった自分にとって、初めての血を分けた両親なのかもしれないと、浮かれていたこの数ヶ月夢のような生活は、呆気なく終わりを迎えた。

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