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イレイでよくてよ、光

「わたくしに力を貸してください」


イレイは僕に頭を下げ話した。


「へえ?」


あまりの急なイレイの頼みにまさか僕ではないと思い周りをキョロキョロと見渡すが僕以外イレイの前には誰もいなく僕は左手の人差し指を自分に向け、


「‥‥まさかとは‥‥思いますけど‥‥僕ですか?」

と恐る恐る聞いてみると、


「はい。あなたです」

イレイがそう答えると、僕はまた「へえっ?」とした顔をしたが徐々に状況が飲み込め、左手の人差し指が震えだすと、


「‥‥‥ぼ、ぼ、僕な、な、んですか?」

と困惑しながらアワアワと話します。


「はい。あなたの乗って来たこの乗り物、アレム大国の方から来ましたよね。でしたらこのぬかるんだ山道も何とかここまて来れたと言う事‥‥‥」


兵の1人が、あっなるほどと手をポンと叩くともう1人の兵が手を叩いた兵に肘打ちを軽くすると、


「イレイ姫様、この得体の知れない者に頼むなど‥‥‥‥」


兵が言うとイレイは首を横に振り


「確かにあなたの言う通りです。けど私達にはもう頼る者がないのですよ」


イレイは兵に向かい言うと兵の1人が


「ですが‥‥‥」


するとイレイは僕にまた向き合うと


「大丈夫です。彼の目を見た時‥‥なんて言えば良いか‥‥‥信用できる、そう思ったのです」


そうだ僕もイレイ姫の目を見た時、なぜか勝手に体が動いた。兵が怖いと思ったのに。


そしてイレイはまた僕に問います。


「私達に力を貸してくれますか?」


「‥‥‥‥‥は‥い‥‥」


僕は顔を下にむけながら返事をした。だか僕の顔は自信に満ちた顔ではなく半信半疑、自信と不安が入り交じった‥‥‥いや、不安が少し勝ったような顔をしていた。


僕の返事を聞いたイレイは笑顔で


「ありがとう」と言うと馬の綱を持った王の元へ。


それにしても不思議なお姫様だよな。こいつ(4WD車)を最初ビックリして見ていたみたいだが、なんて言うか洞察力が凄いのか、僕らが反対側から来たのを見て直ぐに頼んで来た辺りとか‥‥‥。


「お父様!お父様!聞いてください!あの者がアレム迄連れて行ってくださるのですよ」

イレイが言うと、


うん?お父様?‥‥‥‥え〜と、確かイレイ姫は姫様だよな‥‥‥て、ことはあの人は‥

‥‥‥‥‥‥‥え〜と、‥あ、王様か‥‥‥

でえーーーーーーーーーーーっ!王様!


僕は首をガクガクしながら王様の方を見ると、アレク王もようやくこちらに気づいたらしく、4WD車を見て目を丸くして驚いていた。で、イレイに連れられ僕の方に来る王様とお姫様。


ど、ど、ど、どうしよう?こ、こ、こっちに来る。来るよおおお(心の中でも焦り)


僕の前に来たアレク王とイレイ姫。

「お前がアレム迄連れて行ってくれるのか?」


「あ、あ、はい」


「して、この乗り物、わしも見たことがないが‥‥馬で引いている気配もないが‥‥大丈夫なのか?」


「お父様、大丈夫だと思いますわ。なにせこの乗り物私達の反対側から来たのですから」


「なに!このぬかるんだ山道から来たのか!」


ああああのう‥‥‥


「ええ、ですからこの乗り物なら」


ああのう‥‥‥ですね‥‥


「そいつは凄い!では直ぐにでも」


えっと、えっとですねぇ


「して、これは何処から乗ればよいのか?」


「そうですわね?あっ‥‥‥そう言えばまだお名前を聞いてなかったですわ」


で、ですよねえ。


「‥‥えっと‥僕は乙川 光‥‥です」

自己紹介すると


「オトカワヒカリ?変わった名前ですわね」

イレイが言うと今度はイレイが


「私はイレイ=ド=プリム。そしてこちらが私の父でアレク=ド=プリムです。この先のプリム小国の王と姫です」


そうイレイが自己紹介すると車内にいたチーがピクッと反応して


「プリムの王と姫だって!」と少し驚いていた。


「してオトカワヒカリ」アレク王が言うと


「あの‥あのう、光でいいです。王様」

王様の前で緊張しますよ。


「うむ、では光、これはどのような名でどのような乗り物だ。見たところ馬がいないようだが‥‥‥これは魔法で動くものか?」


アレク王がマジマジと4WD車を見て質問してくるので


「えっと‥‥ですね‥これは車です」


「ほお、クルマ」


「ええ‥あと‥馬は居ません‥魔法も‥使いません。えっと‥‥なんて言えば‥あ、そうだ機械で動きます」


うわあああ、なんて言えば‥ガソリンて行ってもこの世界にはないし。こんなことならオヤジに少しはメカの事聞いとくんだった。

後悔後に立たずとは正にこれ。


頭を抱えながら説明する僕にアレク王は


「なるほど‥機械‥か。では‥」


「お父様急がないと」


「お、おおそうだった!」


「お前たち馬車の方をまかせたぞ!」


「「はあっ!」」

アレク王は兵に命じた。


そしてイレイが僕の方を向くと


「で、ではこ、こちらに」とぎこちない様子で車の後部ドアを開けた。


「ど、どうぞ」


「うむ‥‥天井が馬車より低いな」

とアレク王は恐る恐る車内に入って来た。そして座席に腰を落とすと、


「なあ、なんだこの椅子は!こんな柔らかい椅子がついた乗り物は初めてだ!それにあの大きな丸いものはなんだ?見たこともない物がいっぱいあるぞ!」


目を丸くして車内をキョロキョロと見るアレク王。その反対側からイレイも車内へ。


「本当に柔らかい椅子ですわ。この乗り物は大丈夫なのですか?光」


後部ドアをバタンと閉めると驚くアレク王とイレイ。そして運転席のドアを開け僕が乗り込むと


「えっ、あ!大丈夫ですよ。王様、お姫様」

そう言うとイレイは


「お父様の王様はともかく、私はイレイでよくてよ。光」


「えっ、あ、はい‥‥い、イレイ姫様‥」


「光、イレイよ」イレイが言うと


「‥‥い、い、イレイ‥‥」

「ハイ、光」


そして僕はゆっくりと4WD車をアレムに向け、来た道を戻り出した。



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