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感じとる

『私はあの子に助けられた木の妖精』


そうか、やはりあの木の妖精だったか。

けど、何故あの時は僕の言葉に返事をしなかったのか? それにあの子とは?


『すみません、貴方が信じられる人か見ていたんです。後、あの子とはサラの事です』


そして、木の妖精は語ります。

10年前にこの地に、息吹を芽生えたところ、この地、「ホクトリアの悲劇」の地では芽生えても直ぐに枯れてしまう。木の妖精もそうだった。しかし運良くサラに見つけてもらい、家の隣の空いた土地に植え替え、毎日水をくれたと。


『そして‥‥今の私がいる』と。


なるほど、つまりはサラ姉さんに恩返しをしたい訳か。けど、何故僕を見ていた?


『よそ者は信用できない』


そう言うと暫く妖精は黙ってしまった。

確かにこの貧しい土地柄だ。よそ者は特に信用できないだろう。


『けど、貴方は信用できる。あの子‥サラを助けてくれてありがとう』


サラ姉さんが木の妖精を助けたのか。

そして僕のスキルを使う、て、つまりは【リペア】なんだろう。けど‥僕も一度は考えた。

【リペア】を使えばインフルエンザにかかり発症した人なら助ける事ができるが、まだ発症してない人、そして空気中に漂っているウイルスは消すことはできない。

これはチーとマーにも言われたから間違いない。

だから、まだ発症してない健康な人には【リペア】は効かないと。


『それは貴方が感じてないから』


木の妖精はまるで感じ取っているかのように話す。


「感じるってなにを?‥‥‥まさか!ウイルスを!」


『ええ、そう』


まさかとは思ってましたが、そんな目に見えないほどのウイルスを感じるって‥‥‥

けど、待てよ!

確か、「スペインかぜ」のウイルスは突然変異で起きたウイルスだったはず‥‥‥

つまりはウイルスを感じて、そのウイルスに【リペア】を使えば、突然変異前の菌に戻す事ができるのではないか。

だけど、これもこの世界のウイルスが突然変異で変わったインフルエンザウイルスだった場合だが。それよりも‥‥‥


「けど‥どうやってウイルスを感じとればいいんだ?」


僕が腕を組んで考えていると


『私を媒体にしてウイルスを感じ、それを貴方の感覚に覚えさせればいい』


「えっ?そんな事ができるのかい?」


僕は木に向かって話した。

絶望した心に、僅かな光が差し込んできた感じに、まさに希望が僕の心に芽生えてきた。


「お兄様?どうされました?」


木に向かって一人(チーとマーには聞こえてましたので一人ではにいかな)ぶつぶつと呟いていたので、心配するカイトに、


「助ける事が出来るかも、いや必ず助ける!」


「なにをですか?」カイトが首を傾げます。


「ウイルスだよ!インフルエンザウイルスから!」


その言葉に周りにいたみんなは、僕の方を向くと、


「ダーリン!本当?」

「旦那様、本当ですか?」

「お兄様!」


僕はコクリと頷くと三人は僕に飛びつき抱きしめてきましたよ。

エレム〜、ミレン〜、抱きつくのは‥君らの柔らかい感触がああ〜////、顔も、ち、近いよおお〜。カイト〜も、顔が近い////

僕はインフルエンザウイルスより先に幸せのウイルスで死亡してしまいそうです。

ガクッ。



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