表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/191

主人のいない妖精付き

「主人がいない妖精だって⁈」

僕は驚くと同時に、何故と思った。

妖精付きになった妖精は、主人がいなくなると同時に消えてしまう。いや、消えると言うよりは、居なくなるの方が正解か。

そして、消えてしまうのは、主人と出会ってから別れるまでの記憶‥‥‥。

記憶を無くした妖精は、また、別の場所で違う妖精として生まれ変わり、ゼロからのスタートになると、以前、チーとマーに聞いていた。


だが‥‥‥今、僕らの目の前に居る妖精は、主人がいなくても、現存している。

これには、チーもマーも驚いていた。

そして、僕はチーに聞きます。何故主人が居ない妖精が、消えずに居るのか? と。

チーは他人事ではない様な、哀しそうな顔をして言います。


「彼女が居なくならない理由‥‥‥それは、まだ主人が生きていて、主人の依頼を実行している。そしてもう一つは‥‥‥」


チーは言葉を詰まらせます。そしてまた言います。残酷な言葉を。


「主人が死ぬ前に、依頼を受け、そして主人が死んだ事を知らず、今も依頼を護り続けている事」


「なんだよ!それって! だったら‥‥‥だったら、その主人が亡くなったのを知らない妖精は、主人の依頼をずっと護り続けないといけないのかよ!」


「そう、自分の命が尽きるまで‥‥‥」


チーはそう言うと、目の前に立ち塞がる、彼女、妖精を見ます。

僕は彼女を見て思います。そんな彼女を助けたいと。

するとマーが、


「光! 今君は彼女を助けたいと思っただろう! けどだめだ!」


「何故だめなんだよ!」


「彼女自身が選んだ事だからだ!」


「はあ? 違うだろ! あれは主人の命令でいるだけだろう!」


僕はだんだんとムキになってきましたよ。

けど、マーは、


「確かにそうかもしれない、けど、命令を出した主人を選んだのは彼女だ!」


僕にそう言ってきます。僕は、そんなに冷たかったのかよと、マーを見ると、マーは鋭い目をして彼女を見ますが、その瞳には涙が見えた。


「マー‥‥‥」


そんなマーを見てチーは小さな手をギュッと拳を作ると悲しい顔をして言います。


「光‥‥‥僕も彼女を助けたい気持ちはあるよ! けど‥‥‥僕らには時間がない、光、僕らには多くの人命がかかっているんだよ!」


そんなの僕にもわかっている。わかっているよ! だけど、だけど、やっぱり放って置けない。僕はこう言った性格だから。

僕の真剣な顔を見たチーとマーは


「「はあーっ」」


二人同時に、深い溜息をすると


「光だからしょうざないかな」


「そうだね、チー‥‥‥」


この二人の言葉に僕は、何とか出来ると一瞬笑顔になり、


「ありがとう、チー、マー」


僕は二人に頭を下げた。


「だけど、光! 時間がないから、もし直ぐにでもダメな場合は‥‥‥」


「わかってるよ、チー」


そして、僕はまた彼女(妖精)に一歩、また一歩と歩み寄って行く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ