表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

告白

 それは夏休み直前のことだった。


「私と付き合って」


放課後、学校の校舎裏で俺、鹿島慶介は告白されていた。

俺はその告白を断る。

「ごめん」と言って、だが彼女は食い下がり、

「付き合って」とまた繰り返した。

けど俺の気持ちは変わらない。

「悪いけど」とまた断る。


告白を断るのは心が痛むが俺にはもう好きな奴がいる。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

しばしの無言の時間が過ぎ、彼女がまた口を開く。


「付き合って」

・・・・・・デジャブ、


「本当に悪いけど」

三回目の告白の拒否。

さすがに三回も降れば終わりだろうと思い一様返事をしたのだが、彼女は諦めなかった。


「付き合って」

「無理だから」

「付き合って」

「・・・・・・あの」

「付き合って」

「あのー?」

「付き合って」

「いやだから」

「付き合って」

「だからさ!」

「付き合って」

「いや・・・・・・」


あまりのしつこさに俺は言葉を失った。


俺に告白してきた彼女、氷川雪は同じクラスメートでかなり美人で評判の子だ。

細い体に色白の肌、整った顔立ちと綺麗な黒髪ロングという日本テイストな美人。


噂によると彼女のファンもいると聞いたことがあるほどだ。

そんな彼女が俺に告白をしていて、それを俺は断っている。

こんな光景を他の人に見られたら死刑ものだろうが、俺には好きな奴がいる。


だから告白を断っているのだが・・・・・・

「付き合って」

こいつは聞く耳を持って無かった。


何でこいつこんなにしつこいんだよ?そもそも俺に告白してくる意味も分からない。

俺は氷川とロクに喋ったこともないのだ。


「あの氷川・・・・・・何度も言うようにお前とは付き合えない」

さっきの話に戻しまた断る。

「付き合って」

この野郎、仕方がないこうなったら正直に言うか、今までより少し声のトーンを低くして、真面目な感じで・・・・・・


「実は俺には好きな奴がいるんだ。だからお前とは付き合えない」

自分に好きな人がいることを言うのは少し嫌だったが、これでどうだと言わんばかりに言ってやった。

すると流石の氷川も黙った。


少しして、「その好きな人って?」と初めて付き合って以外の言葉を発した。

ここで隠す意味も無いので、正直の答えようと思い、息を整え、覚悟を決める。


「俺の好きな奴は・・・・・・」

「好きな奴は?」



「二次元のキャラが大好きなんだーーーーーーーーーーーーーーーーーぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」



空気が一瞬固まる。


ふふふどうだ氷川!!声も出ないだろう。

そう!俺の好きな奴、それは二次元のキャラなのだ!ア●ナも雪●下も御●さんも!あっもちろんインデ●クスも!最近なら白●京とか空●子とかも好きだ。


とにかく二次元のキャラで、特にラノベのキャラが俺は大好きなんだ。

二次元ラブ!!愛してる!!だから俺には三次元の彼女など必要ないのだ。


一方俺のカミングアウトを受けた氷川は、自分が何を言われたのか分からないという感じでポカーンとしている。

引いたか?だがそんなことどうでもいい、どんなに美人でも三次元になど俺には興味が無い。


「じゃあそういうことだから、お前とは付き合えない。じゃあな」

問題解決、俺は氷川に背を向け歩き出す。


「待って」

だが完璧に引かれる行動をした俺を氷川は呼び止める。


「まだなにか?」

「私と付き合って」


彼女の眼には迷いがなかった。

おかしい普通じゃない、この氷川雪という女はほかの女と違う。

普通の女ならドン引きし、軽蔑をする筈だ。


言った俺が言うのもなんだが、二次元のキャラが好きだからお前とは付き合えない、なんて言う男は屑だ。

あれ、俺って屑だったのか?そんなことを思っている俺を他所に、氷川はじっと俺の返答を待っている。


「なっ何で俺なんだ。言っちゃうと俺とお前じゃ釣り合ってないだろ」

すると氷川はすぐに答える。

「それは貴方が・・・・・・」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ