表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

【挿絵付き】召喚されといてなんだけどおうち帰りたい 夏コミ特別番外編『水着とタコと白団子』

作者: かんむり


「おー……綺麗」


「だろう?この浜は大陸でも有数の海水浴場って有名だったんだ」


「よーし泳ぐさー!!」


 メリィが大はしゃぎしながら一直線に海へと飛んでいく。

 メルオンはやれやれ顔で頭を抱えると、ため息混じりにメリィに向かって叫んだ。


「おいメリィ!はしゃぐのは構わんが本題を忘れるなよー!」


「わかってるさー!」


 遠くから手を振りながら返事をするメリィ。

 ネーアはその様子を不安しかないという目で見ながら、隣に立っているメルオンに言う。


「……本当にわかってるんですかね。ものすごく心配なんですが」


「ハハハハ。ま、そうだな。オレたちも早いとこ着替えるか!更衣室はあっちだ」


 メリィはたまに役に立つのだが、基本的にこういう時は悪いことしか持ってこない。

 そんな懸念を抱きながらも、ネーアはメルオンの案内されるまま更衣室へと向かう。


 ――しかしなぜ海なんぞに来ているのか。その始まりは数日前のことにさかのぼる。




  ===[数日前]ミネルバの町 酒場===


 真夏日の昼間。

 ネーアはクエストボードをじっと眺めながら、吹き出てくる汗を左手と尻尾の合わせ技で仰いでいる。

 何かいい依頼はないものかと目を光らせてはいるのだが、こうも暑いと遠出するのは億劫だし、近場は近場ですでに目ぼしいものはなくなっており、それほどいい依頼がない。

 もう大体の依頼書には目を通してしまったのだが、それでも何かいいものを見落としてはいないかと小一時間にらめっこをしていた。


「スマンスマン!つい話し込んじまった!」


「――!メルオンさん、おかえりなさい」


 ギルドカード(言わゆる冒険者免許。特に試験などはないが、一定期間クラスの更新が無い場合、更新手続きが必要になる。)の更新を済ませたメルオンがネーアの元へと駆けてきて言った。


「で、どうだった?いい依頼はあったかい」


「いやー、それがもうほとんど目ぼしいものあとられちゃったみたいで……。少し遠出しないと難しそうです」


「ふむ。そうか……丁度いい。もう少し待ってもらうことになっちまうがいいか」


「?……構いませんけど、どうかしたんですか?」


「ま、ちょっとな」


 メルオンはそう言い、酒場のカウンターへと合図を送る。

 するとその合図を見たカウンターのスタッフが、何やらそそくさと手続きの様なことをし始めた。

 そのまましばらくカウンターの様子を見ていると、スタッフの女性が1枚の依頼書を持ってネーアたちがいるリクエストボードの方へと走り寄ってきた。


「おう、おつかれさん。そんなわけで頼む」


「???ど、どういうことですか?」


 訳が分からないとネーアがメルオンの顔を凝視して言う。


「ああ。丁度さっき話し込んでた時にな、一つ紹介された依頼があったんだ。嬢ちゃんがいいもん見つけてたら蹴るつもりだったんだが、ダメだったみたいだからそのまま受けることにした。勝手にすまないな」


「い、いえそんな!見つかったならよかったです!」


「……では、説明の方させていただいても?」


 ネーアが理解したのを確認すると、スタッフの女性がメルオンにそう問いかける。

 これにメルオンは首を縦に振ると、女性は「こほん」と咳払いの後に続けた。


「では、本件の概要をご説明します。このミネルバの町から北、ザルナル獣王国を突っ切った先にあるオンイの浜にて、巨大なタコが暴れているとの報告がありました。あなた方にはこれの討伐に向かっていただきます。それに当たり、周辺地域は現在立ち入り禁止となっております。また、その大ダコが現れる前日、同地にて地震が発生したとの報告もございます。どうかご武運を」


 女性は説明を終えると、2人に一礼をしてからカウンターの方へと戻っていく。

 ネーアは改めて渡された依頼書を見て内容を確認しようとその文面を読み進めていくと、何やら気になる一文が見受けられた。


「何々……オンイ浜は規定ラインの認められた水着のみ着用可となります?……は?」


 読み終えると同時に一瞬頭が意味を理解することを拒んでフリーズする。

 いやまあ、水着着用というのは浜辺ならば別におかしな話ではない。規定ラインとは?


「元々いろんな種族が入り乱れる場所だからな。変ないざこざを起こさないようにって名目で種族別規定があるんだ。例えば、ツメや牙がある種族は傷害防止のために対策しろとかな。人獣族は人間とほとんどかわらんから、心配しなくても大丈夫だぞ」


「な……なるほど。でもボク、持ってないですよ……水着」


「む……そう言われてみればそうだな。帰りにレレンのトコでも寄って頼むか。ウチでメリィも待ってるしな、手早く済ませよう」


「スマも、そろそろ相手してあげないとまた拗ねられそうです」


「ハッハッハ!そいつは一大事だ。それじゃ、行こうか」



 ――そして数日後、準備を済ませ現在に至る。



 なぜ遠出したくないとか言っておきながらこんな1国突っ切る依頼を文句の一つも言わずに受けたかと言えば、純粋に海となれば先で涼しい思いができるだろうという浅はかな考えだ。

 あとはまあ……家計的な問題もある。というかそっちがメインだろう。

 何せ急に家族が1人増えたのだから、メルオンには頭も上がらない。出費も相応になる訳で文句なんて言えるはずもないのだ。

 ネーアは異世界での初めてのビーチに期待を膨らませながら、同様に申し訳なさを存分に感じつつ、更衣室へと向かうメルオンの後に続く。

 しかしさあ着いたというところで、その巨漢の手のひらがさっと視界の中に飛び込んできた。


「……――?」


 意味も分からず目をぱちくりとさせるネーアに、困り顔……というよりは戸惑いだろうか。そんな表情で、メルオンは手のひらを親指をつき立てるように変え、背後の壁付看板そ指す。

 その看板には「男子更衣室」という意を表す文字と、簡略化された男性のシルエットが描かれていた。

 続いてその突き立てる指を人差し指に変え、隣の建物の看板に移した。

 指の動くままにネーアの首もそちらへと回るのだが、その指さされた先――女子更衣室の看板を見てようやく、ネーアは自分は何をしていたのかと言うことに気が付いた。


「あっ……ご、ごめんなさい!考え事してて……」


「お、おう。ならまあ仕方ねえか。着替えたらそこで待ってるからな」


「――はい……」


 メルオンがそう言って中へ入っていくのを見送った後、ネーアもそそくさと女子更衣室へと走る。

 そして何も考えずに中の個室へと飛び込むと、抑え込んでいた感情を爆発させるかのように顔を真っ赤にして、壁を背にじゃがみ込んだ。


(どうして今まで気にも留めなかった!?)


 ただただその言葉が頭の中に響いてくる。

 今は女の身体なのだ。そりゃあ、着替えも女子更衣室でしなければならないし、女物の水着を着用することになるだろう。

 考えなくても分かることだ。しかし言い訳をするのならば、今の今まで、「海」というイベントと「巨大タコ」なんていうものに気が持っていかれて全く気が付かなかった。

 せめてレレンから受け取った水着の入った袋。その中身だけでも見ておけばと深く後悔する。

 レレンは完璧に仕事をこなすし、全く心配していなかったために確認を怠ったのだ。


「……どうしよ。袋の中、見たくない」


 レレンは完璧に仕事をこなすし、今回もそうなのだろうが、あくまでもレレンが仕立てたのは、『ネーアと言う人獣族の女の子』に向けた水着だ。 以前、メルオンがレレンに頼んで初めて服を仕立てて貰った時。忘れようもない、今はもう慣れてしまったが、あの時あのシンプルなスカートを穿くのにどれだけ勇気が必要だったことか。

 ああ、女物に慣れてしまった自分が恨めしい。

 しかしやらねばならぬのなら仕方がない。とりあえず大きく深呼吸をしてから、覚悟を決めてその新品の水着が入った袋を開けた。




 =========



「ったくアイツ、ちょっと目を離したすきにどこ行きやがった……?」

 メルオンは着替えを済ませて浜へでると、メリィの姿が見えなくなっていることに気が付く。

 流石に飛ぶことのできる奴が海に流されるなんてことはないと思うのだが……少なくとも見渡せる範囲で姿を確認することはできない。


「止めるべきだったか……変なことになってなきゃいいんだが」


「お、お待たせしました……」


「!」


 女子更衣室の方から、ネーアがものすごく恥じらいながら歩いきた。

 青を基調とした生地にフリルで飾り付けられたビキニと、比較的大人しめな配色でどことなく大人の色気を感じさせるパレオ。そしてネーアの恥じらう態度から溢れ出る可憐さに、メルオンは一

瞬目を奪われてしまった。


挿絵(By みてみん)


「あ、あの……あんまり、じろじろ見ないでください。恥ずかしい……ですよ」


 穴があったら入りたい。そしてしばらくそこから出たくない。

 初めてスカートを穿いた時もそうだったが、また自分の中で、男として大事な何かを失ってしまった気がしてならなかった。


「お、おう。スマン……いや、似合っててな。つい見とれちまったよ」


「それは…ありがとうございます」


 いや、まあ、女装が似合ってるといわれても全然うれしくはないのだが……。

 しかしなぜだか、そう言われるとどこか心が冷静に、安心してくる気がする。変じゃないということがわかったから?よく解らないけれどひとまずはそう言うことにしておき、ネーアはメルオンに言う。


「あの、それよりもどうかしました?止めるべきとかなんとか言ってましたけど」


「ん?ああ、メリィがどっかいっちまってな……流石にそう遠くには行ってねぇと思うんだが」


「あ、あーそういう……」


 頭を抱えるメルオンに対して、ネーアはため息が漏れ出る。

 なんというか、呆れではない、普通に納得したような、そんな感じだ。


「そうしたら、探さないとですよね。でもどうします?依頼を無視するわけにもいきませんし……」


「さあああああああああああああ!!!」


「「!?」」


 100メートルほど先、海と浜の丁度境をまたぐようにできている洞窟の方から、独特な叫び声と共に小さな何か――メリィがすっ飛んできた。

 そしてそのまま一直線に、大泣きしながらネーアの胸に飛び込んでくる。


「いたっ!メリィ!?どこ行ってたんだよ!!」


「ごわがっださああああ!」


「こ、答えになってないし……」


「まあまあ、一旦落ち着け」


 メルオンがそう言ってメリィの頭にぽんと手を置く。


「何があったんだ?その様子じゃ、あの洞窟に何かあるんだろう?」


 メリィはぐすんと涙を抑えるように踏ん張りながら、メルオンの質問に答えようと、ネーアの胸元から飛び立って洞窟を指出した。


「海から何かでっかい触手みたなのが出てきて、捕まってあっちに連れていかれたのさ……そしたら、おんなじ触手がいっぱいあって、それで、それで」


「命からがら逃げてきたと」


 メリィはそれにブンブンと大きく頷く。


「しょ……触手?……嫌な予感しかしないんですけど」


 こんなシチュエーションで触手が出てくる。

 そんなのお約束の展開が待っている典型じゃないか。そしてこのメンバーじゃ自分がその餌食になるのは明白じゃないか!

 ネーアはそんな想像をしながら、無意識に両手で胸を隠すようにクロスさせる。

 いやまあ、よくよく考えれば浜辺で巨大タコなんて時点でそんなこと容易に想像できるのだが。


「ふむ……いるんだろうな。その洞窟に」


「や、やっぱりそうなりますか!?」


 行きたくない。

 行きたくないけど、行かねばならない。


「また行かなきゃダメなのさあ……?」


 一度痛い目を見ているメリィは、ネーアにとって代わるようにその思いをメルオンに吐き出す。

 メルオンはそんなメリィを諭すように真剣な表情で向かい合い、拳をメリィの小さな胴体に突き立てて言った。


「依頼だぞ。覚悟を決めろるんだ。それになメリィ、お前も男だろ?ちったあ嬢ちゃんにいいとこみせてやろうぜ」


 メルオンのその言葉に、メリィはまるで電撃が走ったかのように目つきを変える。

 ネーアにいいところを見せる。彼女に迷惑をかけたことに大きな責任を感じている彼にとっては、それだけで動悸は十分だった。

 悪い言い方をしてしまえば「チョロい」。


「ぬ、ぬぬぬぬ……わかったさ。オイラ、頑張るさ!」


(うおーなんかやる気になってるし。ボクも覚悟決めなきゃかあ……)


 ガッツポーズまでしてやる気を示すメリィを見て、ネーアも不安を押し殺すように努める。

 行かねばならないのなら、覚悟を決めるしかない。

 腰に携えた短剣の柄を握り、数秒の間目を瞑るとともに意識を切り替える。


「……よし」


「じゃ、行くか!さっさと仕留めて、今夜はタコのフルコースだ!」


「さー!!」


 3人は気合を新たに、その洞窟へと向かって足を運んで行った。




 =========



 洞窟の中は信じられないくらい快適だった。

 水場にもかかわらずあまりジメジメしているといったこともなく、時々涼しい風が吹いていつまでもいられそうなほどだった。


「なんか、洞窟っていうよりは夜の浜辺って感じですね」


「ああ。居心地は悪くないが、それ以上に不気味だな。ここにいるとみて間違いないのだろう」


「うう……オイラちびりそうなのさ」


 メリィは先頭で辺りを照らす魔法アトイラを使用しながら進んでいる。

 洞窟なのだから中は当然暗い。灯りをつくれるのはメリィしかいないために、かなり渋々ながらも先頭を行っているのだ。


「ハッハッハ。そいつは大変だな、でもお前小便しねえだろ?大丈夫大丈夫!なんならオレの肩か頭にでも乗ってるか?」


「うう、ご主人意地悪さ?」


(……さっきの威勢は一体どこへ行ってしまったのだろうか)


 そんなことを思いながら、ネーアもメリィの灯り頼りに前に進む。しかし入ってからどのくらい経っただろうか。

 心なしか水深が深くなっている気がするのは気のせいだろうか。

 ほんの少しずつではあるのだが、だんだんと沖の方へと洞窟が続いているような気がしてならない。


「おおおッ!?」


「メルオンさん!?」


「ご主人が沈んださー!」


 ガクンと体勢を崩し、メルオンの身体が足首から腰のあたりまで大きく水に浸かる。

 一体どうなっているのか。

 それを確かめようと一度浅瀬である一歩手前に抜け出そうとする――が。


「ッ……!!」


 ―――足が動かない。


 メルオンの額に冷や汗が浮かぶ。

 血相を変えて視線を水面から目の前に変えると、2人に耳だけ貸すように合図を送る。

 そしてメリィがメルオンの丁度目の前を照らし出すと、そこに大きな大きなタコの漏斗が姿を現した。


「こ、これは!」


「さーーー!!」


「足が掴まれたみたいだ……これは、中々ピンチなんじゃねえか?」


「――……」


 ネーアがメリィの頭を掴み、灯りを大きく左に持っていく。

 するとぎょろぎょろと、タコのものと思われる目が3人の方を向く。


「……でっか」


「ネーア―!!こわいさー!!放すのさー!!」


 その目を見てメリィがジタバタと大暴れするがネーアはこれに見向きすることもなく、周囲を確認しようと、メリィの頭を掴んだ手を動かす。

 幸いこの間、タコと思われる生物は警戒してか静観しており、ある程度把握することができた。


「うーん……」


「ど、どうだ嬢ちゃん、何かわかりそうか!?」


「見たところ……ツボみたいですね」


「ツボ?」


「ネーアー―!!オイラもうムリさあああー!!ああああーーーっ!」


 暴れるメリィをよそに、ネーアは手短に説明を施そうとする。

 いや流石に可哀そうかなと思わなくもないのだが、灯りを使えるのがメリィしかいないのだから仕方ない。


「多分、この洞窟は洞窟じゃなくて……おわっ」


 暴れていたメリィがするっとネーアの手を抜け出した。

 そして抜け出した勢いのまま、一直線に大タコに突っ込んで行ってしまった。


「ちょ!メリィ!?何する気!?」


「あああああーーさーーーー!!」


 ――ぐちゃ。


 洞窟内に生々しい音が小さく響く。

 何かがつぶれた……いや、刺さった?そんな音だった。

 何事かと思い発動中のアトイラの周辺を見てみると――そこにはタコの目に自身の角を突き刺し、返り血で真っ赤になっているメリィの姿があった。


「ど、どうさ……オイラの渾身の一突きさ!」


「「――――――ッっっ!?」」


 自信満々に目に向かって言うメリィに対して、ネーアとメルオンは開いた口が塞がらない。

 そしてメリィが突き刺さったままの状態で、目がぎょろぎょろとうごめく。


「おあああ!目が!目が回る、さー!」


 ぎょろぎょろと、血しぶきを散らしながらうごめく目玉がピタっと、再びネーアたちの姿をとらえて静止する。

 次に3人の背後からものすごい勢いで風が吹き荒れる。その風は一点……タコの漏斗へと集束し、そして――。


「い、嫌な予感しかしないんですけど……」


「奇遇だな嬢ちゃん……オレもだ」


「え!?え!?何が起こってるさ!?」


 次の瞬間、ネーアとメルオンに無数の風の刃が襲い掛かった。

 漏斗から吐き出された風の刃は2人だけでなく洞窟の壁をも砕いていく。


「痛ッて……!クソ!崩れるぞ!嬢ちゃん!!」


 体を切り刻まれる中、メルオンはネーアに向かって一つ――頭の上を示すような合図を送る。


「!!そうか!わかりました!」


 ネーアは自分の頭の上――視界に映らない場所にのっけているが故、いっつも存在を忘れがちなそれをつついて起こす。


『むにゅ……なんニャ?ニュお!?』


 スマの身体を風の刃が真っ二つにする――と同時に、傷つけられた洞窟が限界を迎え、大きな音をたてて崩れ落ちた。


「……あっぶないなあもう」


「助かったぜ、サンキュー」


 ツボ型に崩れた瓦礫の一角……大きくドーム状になっているスライムの中から二人の声がする。


「いってて……お礼ならスマに言ってください。ボクももっと魔法使えるようになれればいいんですけどね」


「ははは、ま、違いねえ。ありがとよ!」


 メルオンが頭上に展開しているドーム状のスライム――スマに向かって軽くお礼をする。

 どうやらメルオンの足を掴んでいたもの――大タコの触手もスマがドーム状になった際にその溶解質によって千切れたようで、自由に動かせるようになっていた。

 そのまま少しした後、シュルシュルと元の大きさ、もとのネーアの頭の上に戻る。


「ありがとスマ。助かった」


『にょぉー、相変わらず猫遣いが荒いヤツなのニャ。これは詫びマンマじゃすまされないのニャ?』


「はいはいゴメンって。帰ったらね」


 相変わらず詫びマンマの意味するところはわからない。

 だってスライムに食事いらないんだもの。

 とりあえずスマの頭と顎?をなでてやりお茶を濁す。なにしろ今はそれどころではないのだから。

 ガラガラと崩れた瓦礫の先――全容を現した大タコは高さ5メートルと言ったところだろうか。

 その周辺には大きな穴が開いており、吸い込まれるように海水が流れ込んでいる。なんというか、異様と言わざる負えない光景だった。


「あれが地震の震源かもな……どういうわけか知らんが、あのタコは下……この底から上に向かって掘り進めたんだろう。あの穴の形は上から掘ってできたもんじゃねえ」


「なるほど、なんて言ってる場合じゃないですよね……あれ」


 ネーアがそう言って指さした先――タコの目玉には、突き刺さったままのメリィがぶら下がっている。

 しかし先ほどまであんなに騒ぎ立てていたのに今は何も言わない……遠目でしかわからないが、気絶してしまっているようだった。

 普段は本当に家事以外余計なマネが多いメリィなのだが、戦闘となれば貴重な支援魔法の使い手であるが故、この事態は中々芳しくないものであった。


「メルオンさん、足大丈夫ですか」


「ああ、動く分には大丈夫だ……が、少し痺れるな。あの野郎、結構な締め付けだったぜ」


 メルオンがそう言いながら背中の大剣へと手を向ける。

 ネーアも同じくして腰の短剣を構え、水の中の足に力を籠める。


「メルオンさんは力をためててください。ボクが陽動に回ります。メリィを助けて……ついでに倒せたらいいですけど」


「ああ。すまないが、頼む」


 その言葉を最後に、メルオンも大剣を構え、瞑想するように目を瞑る。

 同時にネーアは力いっぱいに地を蹴り、突っ込んでいった。

 とにかく、まずは右目に突き刺さったメリィからタコの目をこちらに向ける。

 ネーアはふさがれていない左目の方に一本突き出ている触手に向かって一刺し、短剣を根元まで突き刺してやった。

 自身の武器が短剣であるがゆえ、巨大なタコにこれが気づかれるかどうかすら半信半疑であったが、目論見通りに左目がぎょろっとネーアへと向いた。

 そして素早く触手から短剣を抜き、襲ってくる初撃をかわす。

 その打ち付けてきた初撃の触手の上へと飛び移り、それを伝ってタコの本体へと走るネーア。

 その間もどんどんとほかの触手が襲い掛かって来るが、危なっかしくもこれを人獣族の身体能力のおかげで乗り切る。

 そうして走り抜け、あと数歩で本体へとたどり着くというところまで来ると、これ見よがしに他の触手たちが集まって、ネーアの前をふさぐ。


「ッ……!」


 飛び越えるか――いや、目の前に出てきた触手は4本。迂闊に上がれば残りが襲ってくる。

 ちらりと、一瞬だけ下を見る。

 大タコがすっぽりと収まっている大穴は少なくとも数十メートルはありそうな、先の見えない深さだった。

 落ちれば終わり――加えて水中は相手のホームだ、勝ち目はまずなくなるだろう。


「……だったら」


 細く鋭いイメージで短剣に魔力を籠める。

 そして細剣状に魔力の刃を伸ばした短剣を構え、そのまま寄り集まっている触手ごと――


「はああぁぁぁ――!!」


 ――貫く!


 衝撃破と共に、魔力の細剣がタコ足を突き貫く

 が、しかし。


「……届かないか」


 タコ足をギリギリ貫通したが、その先――左目には至らなかった。


「でも、それでも十分!」


 ネーアは魔力の質を直剣へと変え、ぐるんと腕を回し、そのまま上へ斬りあげる。

 積み上げるように立ちふさがっていた触手4本のうち、上から2段目の1本を断ち切り、その上下2本に半分ほどの切れ込みが入る。

 大タコは声を上げることもなくただ目を歪ませ、できた触手の隙間からネーアを睨みつける。

 すかさず他の触手をネーアに向けて放つが、今度はその触手ととんとん拍子で飛び乗り回し、盛り上がった腹部へと飛び移った。

 ネーアはそのまま足を止めることなくメリィがぶら下がっている右目側へ移動しようと試みる。

 そして走り、腹部の斜面を慎重かつ素早く右目に向かって降りよう―――としたところで、ネーアの横にまたしても何かが現れる。

 大きな筒状の形をしたそれ――タコの漏斗だ。


「はっ!?伸び……!?」


 伸びた!

 そう、漏斗が腹部に乗っているネーアの横まで伸びた。

 普通ではありえない光景に少しばかりうろたえながらも、それ以上きを逸らすまいと意識を集中させる。


 ――ぶしゅ!


「ひゃっ!!」


 漏斗から水が噴射され、ネーアの顔を濡らす。

 そして


 ――つるっ


「ほァ!?」


 その拍子にネーアは足を滑らせ、右目の隣腹部側2メートルほどのところを真っ逆さまに落ちていく。

 そこから見えた大タコの右目は心なしかゲラゲラと嘲笑っているかのようにみえた。


「――――くっそ!」


 咄嗟に短剣に力を集中させ、それをどうにか大タコに突き刺して海面に届く前に留まる。

 しかし目前まで迫っていたメリィは、再び手の届かない位置まで遠ざかってしまう。

 どうにかしてそこまで行きたいところではあるのだが、短剣にぶら下がっている状態で思うように身動きも取れず、完全に受け身、後手に回ってしまった。


「……さて、と――ッッ!!」


 間髪入れず、大タコの触手による薙ぎ払いが身動きの取れないネーアを襲う。


「くはっ――!」


 前方に向かって大きく吹き飛ばされるネーア。

 続いて追い打ちをかけるように後ろからもう一突きされ、その触手がそのままネーアの腹を叩きつける。

 その一撃でネーアは一直線に大穴に飛び落ち、大きな水しぶきが立った。


「嬢ちゃん!!」


 未だ魔力を溜めているメルオンが思わず声を上げてしまう。

 その声に大タコが反応して一瞬ちらりと彼の方を見るが、何をするでもなくすぐに視線を海面に移す。

 そしてしばらくして水面に浮かんでくるネーアを触手が拾い上げ、まるで見せびらかすようにメリィの隣に持ってきてメルオンを見た。

 声を発することができない大タコは、それでもってメルオンの怒りを煽って見せる。


「……いい度胸してんじゃねぇか。クソタコォ」


 珍しく怒りをあらわにして大タコにその鋭い視線を向ける。

 しかしてこんなあからさまな挑発に乗るほどメルオンも馬鹿ではない。ネーアが落ちるとき、彼は遠目でも「ソレ」を見逃さなかった。

 ――自分は嬢ちゃんのことを信じて、まかされた仕事に集中するのみだ。

「頼んだぜ、嬢ちゃん……もうひと押しだ!!」

 メルオンはそうしてただただひたすらに、あの大タコを一撃で仕留める準備を続ける。


挿絵(By みてみん)



「……うぅ」


 さすがに意識が飛びそうになった。

 体感ではあるのだがこの人獣族の体、基礎身体能力だけでも常人の2、3倍はある。

 こういう時ばっかりは感謝の一言しかでてこない。そしてなお思うのは――男のままだったらもっと強くなれたのにということくらい。

 どれだけ強かろうとも今の体が女だということに変わりはない。男女の力の差は歴然、それは世の理であるのだから仕方がないのだ。


「どうにか意識は保ったけど、これ……どうしようかなぁ…」


 体を触手に縛られながら、すぐ隣になおも突き刺さっているメリィを見て呟く。

 ――ピク。


「!」


 どうしようかとメリィを見た矢先、赤く染まった小さな体。その真っ黒な羽が動いたのを、ネーアは見逃さなかった。


(こいつ、もしかしてずっと起きて……?)


 さすがにそこまでは考えすぎか。

 しかしメリィはそんなにヤワなヤツではないことはネーアもよく知っている。何か策があってわざとあんな余計としか思えないマネをしたとしたら。


「……ないか」


 それこそ考えすぎだと思いつぶやくと、まるで何か引っかかったかのように再び羽がピクリとする。なるほどやっぱり起きているらしい。

 しかし何はともあれ、起きているのなら手間が省けた。

 ネーアはメリィに向けていた視線を一旦外し、薙ぎ払われた際、大タコに突き刺さったままになっているはずの短剣がどうなっているのかをちらりとだけ確認する。


「そのまんまか……できれば取りたい、けど」


 どうするか。

 徐々にではあるが触手の締め付けが強くなってきている気がする。

 ああ、第3者目線で見たら今の自分はさぞけしからん感じになっているのだろう。

 ……そんなどうでもいいことを考える余裕が出てきたのはいいが、こんなことで注意散漫にでもなったら――。


「――ッッ!!」


 言わんこっちゃない!

 ネーアは急に死角に気配を感じ、早急に首をそちらへ向ける。


「はっ!?」


 ネーアに迫っていたもの――は、先ほど顔面に水鉄砲を放ってきた漏斗だった。

 触手を迂回する形で伸びてきており、もはやこいつの体内構造がどうなっているのかすら若干興味が湧いてくる。


「な、何を……」


 振り向いてから数秒。漏斗は何をしてくるわけでもなく、ただにらめっこの状態が続く。

 漏斗に五感があるとは思えないが、下手に目線を動かすわけにもいかず、身動きも取れずではてさてどうしたものか。


「…………」


 試しに顔を漏斗に近づけてみる。すると


 ――ぶしゅ!


 また水鉄砲だった。


「――?いや違う、なんかねっとりしてる!?やだこれ――ひあぁ!?」


 足がくすぐったい!!

 一体何なのかと思えば、空いた触手がネーアの足の裏を小刻みに振るわせくすぐっている。

 よくよく見てみると、万全な残り3本の触手もこれに応戦しようとネーアの周辺でうねうねと気持ち悪いくらいに活気づいていた。


「ひゃ……ちょ、くすぐった……あは!」


 何がしたいんだこのタコは!!

 思考を巡らそうにも妨害が入ってまともに頭が回らない。

 なんというか、うん、結局本能に正直なオスなのだ。

 大タコはその目をニヤニヤとさせながらネーアをいじくりまわす。

 その目線の先にいるメルオンはと言うと……。


「……………………」


 鬼の様な形相で血管を浮き出させ、なおもただただ力を溜めている。

 ――ようにみえるが、もう十二分に魔力の蓄積はされており、あとは時を待つばかり。

 メルオンはその剣に怒りと怒りと怒りと怒りと、あとほんの少しの羨ましさを乗せて、大タコを消し炭にできる期をうかがっていた。


 それに全く気が付く様子のない大タコは、これ見よがしにネーアをいじくりまわす。

 いくら力をためようともたかが人間。ましてや人質を取られているやつなんかに負けるはずがない。

 そんな余裕すら感じられる立派な触手さばきだ。


「ちょ、ひゃはははは!やめっんっ……は!あひゃ、あははあ」


 足、腹部、脇、手のひら、etc。

 とにかくありとあらゆるところを触手攻めにしてくる。

 なんというか、もう……それ以上を踏み切らないことに可愛ささえも関してくる始末だ。


「あ、あは!……もぅ、これ、ひゃ!む――ムリ!!す……〝スマ!!゛」


 もう少し何とかしたかったけど、この際そんなこと言っていられない。どうにでもなれ!

 限界を感じたネーアは多少投げやりになりながら、今自分の頭上にはいないその名前を精一杯叫ぶ。

 するとネーアの真下……大穴の水面がもりもりと盛り上がっていくではないか。

 大量の水しぶきをあげて、澄んだ海水にカモフラージュされた巨大なスライムが姿を現す。

 そしてそのスライム――スマは、巨大化するままに大タコを自身の溶解質である内部に吸収していき、見る見るうちに飲み込んでいく。

 スマの今のところの最大身長はおよそ250メートル。5メートルの大タコを飲み込むなど造作もないことだった。

 そうしてあっという間にネーアをいじくりまわしていた触手が溶け、体の自由が戻る。


「――よし!!」


 ネーアは落下ついでに大きくなるスマにつかまり、一言だけ告げる。


「ゴメンスマ!もう大丈夫!あとでなんでもしてあげるから一回もと戻って!!」


『ニャー!!おみゃあどんだけ猫遣い荒いのニャ!聞かなかったら承知しないのニャ!?』


「あいよ!!そんであとは…メリィ!お願い!!」


 ネーアの声に、タコの目に突き刺さっていたメリィが頑張って抜け出す。


「ほいさー!!《リブラ》!!」


 メリィの唱えた跳躍力を上げるその魔法を受け、まだ残っているタコの右わき――刺さったままの短剣に向かおうと、スマの身体をバネ代わりにひと蹴りする。

 直後パッと巨大だったスマが元の拳サイズに戻り、ネーアの頭の上に帰って来た。

 そして勢いそのままに短剣の柄を握り、同時に右足をタコへと向け――蹴る!

 こうして短剣を引き抜きついでに方向転換をする。


 ―――これで、ようやく準備は整った。


「今です!メルオンさん!!」


「――オラ来たァ!!あとは任せとけェ!!!」


 威勢のいい返事と共に、メルオンは両手で構える大剣に全神経を注ぎ、鬼のようになっていた視線をただ一点、タコの弱点である目の間へと向ける。


「大事な家族に散々やりたい放題やってくれた分……しっかり味わえ。」


 ――そして


毀滅(きめつ)魔の刃(ま やいば)――剛斬覇(ごうざんぱ)ァ!!!」


 メルオンが振り下ろした大剣から、巨大な波動と共に魔力刃が放たれる。

 浜辺を割り、ドドドドドと大きな音を立てながら剛速球の如く進むその刃は、見事大タコの弱点を切り裂き、魔力刃はその全身に伝道していく。

 そうして最後には大きな爆発音とともに、大タコは跡形も残すことなく、夏の浜辺に散っていった。


 =========


 ===その夜、オンイ浜===


「いやー助かったぜ嬢ちゃん」


「いえいえ、たまたまですよ。運よく引っ掛かってくれて助かりました」


「ほらほらーまだまだあるから早く食べるのさー!」


 メルオンの一撃で大タコが跡形もなくなってしまい、その過ちに気が付いたメルオンは、ネーアとメリィと合流する頃には膝を落としてしまっていた。


 ――大事なメシを消しとばしちまった――と。


 しかしながらネーアが離脱した時、運よく短剣に飛んできたタコの足が引っ掛かってくれたおかげで、難を逃れたというわけだ。

 その後は安全な場所に移動して、散々遊び尽くした後のBBQに勤しんでいる。

 まあ、具材はタコだけなのだが。


「そう言えばあのタコ、どうしてあんなところにいたんでしょうかね」


「ん……言われてみればそれもそうだな。見た限りじゃ、オレらに敵意があるようにも見えなかったもんな」


「いーじゃんさー、オイラたちは依頼をこなした。それだけで十分さー」


 真剣に考えようとしていたネーアとメルオンに、能天気なメリィが焼きあがったタコを2人の皿へと移しながら言う。


「まあ、それもそうか。さっさと平らげて、宿も取りに行かねえとな!」


「はい!……て、宿まだ取ってなかったんですね……」


 まさかまさかの言葉に、ネーアは若干の驚きと呆れを現しながら言う。

 近場の町まで歩いて1時間はかかるのだ。それなら急がなければなるまい。


「ハハハハ!んま何とかなるだろ!ほれ、食え食え」


「んーんん!メウオンしゃん、押し付けない――うおわぁ!?」


 ほれほれとネーアの口にさしだされたタコ足が、急にビチビチと元気に動き出した。

 メルオンの箸から飛び出したタコ足は数秒間木製の机の上を暴れまわり、一周してネーアの前にやってくる。そして――


 ――ぶちん!


「――――え」


挿絵(By みてみん)


 タコ足はネーアのビキニを引きちぎって海へと一目散に逃げ帰っていった。


「え……あ……」


 あまりの出来事にネーアはぽかんと海を眺めてしまう。

 疲れているせいもあるのか、頭が全くと言っていいほどついて行かなかった。


「お、おい……嬢ちゃん」


「え……?」


「いや、目のやり場に……だな……」


「あ……――ッッ!!!」


 そこまで言われてようやく正気に戻ったのか、ネーアは顔を真っ赤にしてその場に蹲る。

 男の感覚だったら全く持って何ともないものが、なぜかものすごく恥ずかしい。やり場のないこの思いを顔に出しながら、ネーアは急いでパレオを外して胸に巻く。

 ついでに大きく深呼吸をして頭を冷静に保つように心がけてから、再び立ち上がってメルオンに向き合った。


「えっと、これで大丈夫……ですよね。ごめんなさい……」


「いや、悪いのは……タコだしな。こちらこそ、すまん」


 本当にあのタコ、どんな生命力をしていたら焼かれた足一本で逃げていけるのか。

 桁外れなその生命力にもはや尊敬の念すら感じつつ、2人はタコ足が逃げていった海を再び見る。


「ぶふ……」


 と、そんな2人を横に、なにやら笑いをこらえている白団子が1体。


「ど、どしたのメリィ」


 ネーアが不思議そうにそう聞くと、そのメリィはまるでまずいものを聞かれたかのように慌てふためき、その口で弁明しようと試みる。


「な、なんでもないさ!ネーアのさっきの慌てっぷりがおかしかったとか可愛かったとか、そんなこと全然思ってないさ!!」


「    」


 黙って冷ややかな目線を送っておく。

 いつもならここでメリィがもっと空気の読めない発言をしてネーアに放り投げられる所なのだが、彼も疲れてるのかキレがない。

 いや、なくていいのだけれども。

 ネーア自身としてもこれ以上無駄に体力を使いたくはなかったので放っておくことにした。



 =========


 とまあ、そんなこんなで騒がしい1日も終わりを迎えていく。

 ネーア達が報告にミネルバの町へ戻った後、大タコが開けたであろう大穴は周辺を改めて立ち入り禁止区域として、翌日には修繕作業が開始された。

 そしてその一週間後、例年通りにオンイの浜は様々な人でにぎわう観光地としての姿を取り戻し、何はともあれ一件落着、無事依頼完了となった。



 余談ではあるが、ネーアはミネルバの町に帰ったあと、約束通りスマの言うことを聞き丸2日間の間、スマの枕にされていたという。



〈完〉



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ