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あの子のたて笛  作者: おこめさん
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ライバル

品の無い方向へひた走ります。


 「それじゃあなー」


 そういうと、たて笛の精は去って行った。


 僕はというと、ピンク色の布ケースに包まれて、アヤちゃんの机の上に横たわっていた。

 たて笛になったはいいが、僕、動けません。

 ここで、この誰もいない不気味な教室で、一晩を明かす事になってしまったわけだ。

 僕は物凄い勢いで後悔した。

 なんでこんな願いをしてしまったのだ。

 今の僕の後悔の深さは、きっとマントルに達するに違いない。

 頼む。誰でもいい。来てくれ。この状況で一人は辛すぎる。

 僕の願いが通じたのか、廊下の軋む音が聞こえてきた。

 木造の階段を一段ずつ登ってくる。

 神様ありがとう。僕は、知っている限りの神と仏とアッラーに感謝をささげた。

 来い。この教室に来い。

 足音はどんどん近付いて、僕の教室の扉を開けた。

 僕は、さっき感謝をささげ忘れたキリストとガネーシャにも感謝をささげた。

 だが、その教室の扉を開けた者の姿を見て、僕は今までの喜びが半分減った。

 キリストとガネーシャへの感謝を取り消した。

 現れたのは、クラスの暴れん坊、山田だ。

 あいつ、本当に乱暴だし、下品な事しか言わないし、しないし、嫌いだ。

 せめて別の奴ならよかったのに。でもいないよりましだ。

 おい、山田。しばらくここにいろ。いてください。

 山田はきょろきょろと教室を見回すと、何かを決意した顔になり、まっすぐ僕の所に来た。


 山田、このたて笛が僕だってわかるの? 

 頭悪そうで鈍そうだと思っていたけど、超自然的な何かを感じる感性があったの?


 山田はそのまま、僕を持ち上げた。僕はびっくりした。


 おーい! 山田くーん。僕だよ、僕。なんでわかったの?


 山田は鼻の穴をふくらまし、興奮したように僕を見ていた。


 そして……


「アヤちゃん!」

 と叫ぶやいなや、僕を口に咥えた。


 この世のものとは思えないくらいの柔らかい感触が、気が遠くなるくらいに気持ちが悪かった。

 しばらく僕は舐めまわされた。


 僕は、もう生きていけない気分になった。

 もう、駄目だ。人生終わった。先生、僕、人類が気持ち悪いです。


 山田は気のすむまで僕を舐めまわすと、薄汚れた袖で僕についた唾液を乱暴にぬぐい、去って行った。


 僕は、絶望の中、呆然としていた。


 僕のやろうとしていた行為はこういうことだったのか、と思うと、もう耐えられないくらいの自責の念に駆られた。

 全身が気持ちが悪い。全体的に気持ちが悪い。泣こうにも、涙も出なければ、嗚咽も上がらない。


 僕はただただ呆然自失の中、絶望していた。


お時間を割いて最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

鳥肌を立てて頂ければ光栄です。

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