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1.眠りによせて

作者: ALLEN

創作さんに20のお題

L'Arc-en-Ciel編参加中


1.眠りによせて



満州。


「点呼!」

「1!」

「2!」

「3!」


今日も銃声と、軍靴の音が鳴り響く。

・・・・・・・・・・・・

「飯だ~!」

「今日も疲れたよな」

「だな」

周囲のざわめきのなか、僕は一言も発さずに夕飯を食べる。

そして胸のペンダントをぎゅっと握る。

これは戦争へ行く僕に君がくれたペンダント。

いつ、何時でも手放すことは…

「おいっ。お前!何を持っている?おいっ!」

あっ…

「おいっ!それはペンダント…?軟弱者が!ここは戦場だぞ?そんなチャラチャラしたものをつけてるんじゃない!おい、貸せ!」

渡さない。渡せない。これだけは…!

「反抗するのか?ふざけるな!」

隊長の足が僕に振り下ろされる。

続いて拳が顔面へとのめりこんだ。

「あぁ。可哀相に」

「なんであんなものを…」

「馬鹿だなぁ…」

これだけは。わたさない。

これだけは。わたさない。

これだけは。わたさない。

これだけは。…わたせない。

「ペッ。この腑抜けが!軟弱者が!」

これでもかというくらい、力を込めて殴られた。

「うっ」

足音が去っていく。

蹴られた所が痛い。

でも…ペンダントは守り通した。

痛む身体を引きずって、宿舎へ戻る。

部屋へ戻ると、もうすでに班の奴らは寝ていた。

でも僕の分の布団がちゃんとひかれている。

顔を洗いに、部屋の隅の洗面台へとむかう。

冷たい水が傷にしみる。

顔を上げた僕の目に飛び込んできたのは…腫れ上がった自分の顔だった。

「ひどいな…」

思わずそんな言葉が口からついてでた。

布団に入る。

握っていた手を開く。

鎖は切れたものの、ペンダントヘッドは残っていた。

そしてもう一度握り直す。

ここでどんなにつらい仕打ちや訓練を強いられようと、それが君の生活を守るのならば僕は甘んじてそれを受けよう。

この君がくれたペンダントを失わない限り、僕は戦おう。

それが君の平和な眠りを守るのならば。

それほどに…僕は君を好きだから。


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