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あまごい  作者: 瑞雨
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拝啓、雨の日のあなたへ



拝啓、雨の日のあなたへ




あなたをお見かけするようになってから何度雨が降ったでしょうか。

私は相変わらず赤い傘をさし、あなたも相変わらず青い傘をさしていますね。



あなたと出逢うのは決まって雨の日で、私が外へと出るのも雨の日です。

きっとあなたは空が青く澄み切っているときでも外にでているのでしょう。


だけど、私は思うのです。


あなたと出会えるのはあなたが青い傘をもち、私が赤い傘を持った時なのだと。

だから私は赤い傘をさすのです。

だから私は雨の日に外へと出るのです。



近頃は雨も少なくなりあなたと出逢えるのを待つ日々が長くなりました。

私がこうして雨を待つようにあなたも雨が降るのを待っているのでしょうか。

青い傘の中から空を見上げるあなたの微笑んだ口元や下がった目尻が私の頬を熱くさせるのです。



ああ、あなたのその微笑みが、私に向けられたものならどんなに心が躍るでしょう。

ああ、あなたのその目が、私に向けられたものならどんなに素晴らしいのでしょう。


きっと、きっとあなたは雨が好きなのでしょうね。

その柔らかな表情で空を見上げるあなたがどれほど優しいものなのか、私だけが知っていればいいのに、とそんなことばかりが頭をよぎります。



雨の日が少なくなってきた今、私はあなたと出逢える日が傘を持つときだけでなければいいのに、と思うのです。

晴れた日もあなたをお見かけできればいいのに、と思うのです。



ああ、でもやはりあなたと出逢えるのは雨の日でないとだめなのだ、と。

私が赤い傘を持ち、あなたが青い傘を持った、その時がいいのだ、と。




あなたは今何を想っているのでしょうか。早く雨にはなりませんか。






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