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詩 彼にヘッドホンを貸す

作者: WAIai
掲載日:2026/06/06

私がヘッドホンをしていると、彼がやって来て、前の席に陣取り、聞いてくる。


「何を聞いているんだ?」

「え? ああ、これ」


ヘッドホンを渡すと、最近、学生の間で流行っているバンドの音楽が、微かに聞こえてくる。


彼も知っているようで、口ずさんできたので、私はくすくすと笑う。


「何だよ? 何かおかしいか?」

「だって、あなたってあまり喜怒哀楽を出さないじゃない? だからノリノリなのが嬉しくて」


私は子どもみたいに、ぺろりと舌を出す。

悪意はないのだが、いたずらしたような気分だった。


「俺だって、楽しい時は楽しいんだよ」

「わ」


急にヘッドホンを耳にかけられ、私は驚いたが、すぐにリズムをとる。

まるで一緒に演奏しているかのようであり、首や指を動かす。


彼から見たら変かもしれないが、何も言わなかった。


「俺の声、聞こえるか?」

「聞こえるよ。そんなに音量を大きくしていないもの」

「そうか」

「好きな人の言葉くらい、ちゃんと拾うわよ」


あ、しまったと思ったが、遅かった。

恥ずかしそうに頬を染めると、彼も頬を染め、机に肘をついてくる。


リラックスした王者のような姿。


まるで2人で演奏会を楽しんでいるような、そんな雰囲気。

一緒にいるのは、彼じゃなくては嫌だった。


「楽しいな」

「うん!!」


私が素直に答えると、彼も嬉しそうに微笑んでくる。


何で私のことを好きになってくれたんだろう?


不思議でしょうがない。

彼を狙っていた女子はかなりいるのに。


聞いてみたくなったが、怖いのでやめておく。

今の関係がベストだった。


彼がヘッドホンの片耳を外し、急に言ってくる。


「好きだからな」

「え…。もう、皆いるのに」


文句を言いつつも、以心伝心したのか、嬉しくなってくる。


かっこいい彼は、私のものだ。

誰にも渡さないからね。

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