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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

野菜のきらいな子だーれ?

作者: 夢灯
掲載日:2026/05/16

ある少年は、野菜が大嫌いでした。

毎日ほとんど野菜を食べません。


にんじんも、ピーマンも、ほうれん草も、

一口も食べずに、こっそりお皿の外へ落とします。


お母さんに注意されても、

「野菜なんて、いらないや」と気にしません。


ある夜、少年が眠っていると、

部屋の中が、やけに静かになりました。


そして、暗闇の中から、声が聞こえてきました。


「……おい」


少年の周りに食べなかった野菜たちが、

ずらりと立っていました。


「お前は、食物連鎖の一番下になった」


野菜たちは、低い声で言いました。


「草をバッタが食べる。

 そのバッタをカマキリが食べる。

 そのカマキリを、小鳥が食べる。

 そして小鳥は、タカに食べられる」


「だが、お前は、我々を食べなかった」


「つまり、お前の方が下だ」


少年は後ずさりました。


「お前は、もう“食べる側”じゃない」


「これからは――

 “食べられる側”だ」


野菜たちは、じりじりと近づいてきました。


「お前は、我々に食べられるのだ」


少年は震えました。


「や、やめて……」


「明日から食べるから……全部食べるから……!」


次の日から、少年は、

嫌いだった野菜も、

きちんと食べるようになりました。


あれは、ただの夢だったのでしょうか。

それとも――

あの夜、本当に食べられて、

別の何かと入れかわってしまったのでしょうか。


それは、誰にもわかりません。


ただ一つ確かなのは、

その少年は、もう二度と、

野菜を残さなくなった、ということです。


野菜のきらいな子だーれ?


物語には、よく人が食べられる話が出てきます。

このお話では、その立場を少しだけ逆にしてみました。


いつも食べられる側の野菜が、

もし人を食べ返したら、どうなるのでしょう。


強いと思っていたものと、

弱いと思っていたもの。

その関係を、少しだけ入れ替えて考えてみた物語です。

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