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家賃3ヶ月分滞納してたら何故だか私が管理人に  作者: うみのうさぎ
管理人さんは尊い

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8/13

トライアングル百合

翌日の放課後。

 茜とあずさは、駅前のカフェに並んで座っていた。


茜「でさー、最近アパートがめっちゃ快適になったんだ!」


あずさ「……うん」


 あずさは、ストローを咥えたまま、明らかに上の空だった。


茜「床も鳴らなくなったし、

  ポストも使いやすくなったし!」


あずさ「……そう」


 茜は首を傾げる。


茜「……あずさ?」


 あずさは、ぎゅっとストローを噛んだあと、決意したように顔を上げた。


あずさ「……茜」


茜「なに?」


あずさ「聞いていい?」


茜「うん?」


あずさ「……三角関係?」


 沈黙。


茜「……は?」


 カフェのBGMが、やけに大きく聞こえる。


茜「な、なにそれ」


あずさ「管理人さんと、202号室の人」


茜「……遥さん?」


あずさ「そう」


 あずさは、真剣だった。


あずさ「昨日ね、聞いちゃったの」


茜「なにを?」


あずさ「謝罪と和解」


茜「……謝罪?」


あずさ「感情の衝突、心の距離、未来への恐れ、そして理解」


 指を折りながら説明する。


あずさ「完全に百合の文脈」


茜「ち、違うよ!」


 茜は慌てて手を振る。


茜「麻衣さんと遥さんは、

  普通に話してただけ!」


あずさ「否定、弱っ(二回目)」


茜「弱くない!」


 あずさは身を乗り出す。


あずさ「じゃあ聞くけど」


茜「な、なに」


あずさ「麻衣さんのこと、どう思ってる?」


 茜は、言葉に詰まった。


茜「……どう、って」


 頭に浮かぶのは、モップを持つ背中。

 真剣な横顔。

 工具を握る手。


茜「……頼りになるし、好きだけど」


 言ってから、はっとする。


茜「ち、違う意味で!」


 その瞬間。


あずさ「……確定」


 あずさは、カップを両手で包み込み、深く頷いた。


あずさ「茜は管理人さんが好き。

    管理人さんは遥さんと和解百合。

    つまり」


 あずさは、静かに宣言した。


あずさ「トライアングル百合」


茜「ちがーーーう!!」


 店内の視線が、一斉に集まる。


 茜は顔を真っ赤にして俯いた。


茜「もう……なんでそうなるの……」


 あずさは、そんな茜を見て、少しだけ表情を緩める。


あずさ「でもね」


茜「……なに」


あずさ「茜が幸せなら、それでいい」


 珍しく、真面目な声だった。


あずさ「ただ……」


 にやり、と笑う。


あずさ「妄想は、止めない」


茜「止めて!」


 ———


 その夜。


 あずさの部屋では、

 ぬいぐるみが整列させられていた。


あずさ「……配置、こうかな」


 管理人ポジションのクマ。

 大学生ポジションのイルカ。

 そして——。ウサギ


あずさ「茜は……ここ」


 三体を見つめて、あずさは満足そうに頷く。


あずさ「……尊い」


 その頃、麻衣はくしゃみをしていた。


麻衣「……? 風邪かな」


 もちろん、原因は別にあった。

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