表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家賃3ヶ月分滞納してたら何故だか私が管理人に  作者: うみのうさぎ
管理人さんは尊い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/13

地雷ちゃん登場

102号室の床鳴りが直ってから、数日後。

 放課後の時間帯、麻衣は共用廊下でポストの修理準備をしていた。


麻衣「今日は、こっちだね……」


 ドライバーを手にした、そのとき。


 ばたん、と勢いよく102号室のドアが開いた。


茜「麻衣さーん!」


 続いて、見慣れない女の子が姿を現す。


 長いツインテール。

 派手めなアクセサリー。

 しかし服装は意外と露出が少なく、どこか計算された清楚さがある。


あずさ「……へぇ」


 じっと、麻衣を見つめてきた。


麻衣「え、えっと……こんにちは?」


茜「あ、紹介するね!

  私の友だち!」


あずさ「あずさです」


 一拍置いてから、にこっと笑う。


あずさ「よろしくお願いします」


 丁寧な口調とは裏腹に、視線は鋭い。


麻衣「こちらこそ。管理人の麻衣です」


 その瞬間。


あずさ「……あ」


 あずさの目が、わずかに見開かれた。


 ——管理人。

 ——大人。

 ——茜のすぐそばにいる女性。


 あずさは、素早く状況を組み立てる。


あずさ(なるほどね)


 ———


 茜の部屋に入り、三人で床に座る。


 いつの間にか、話題はぬいぐるみに移っていた。


茜「これね! 最近の一番お気に入り!」


 棚から取り出されたのは、大きな白いぬいぐるみ。


あずさ「かわい〜……相変わらず趣味いいよね」


麻衣「ぬいぐるみ、好きなんだ?」


茜「うん!」


あずさ「……私も」


 一瞬、照れたように視線を逸らす。


あずさ「実は、部屋に結構あります」


茜「ね! 意外でしょ?」


麻衣「確かに……」


 見た目だけなら、共通点は見えない。

 けれど、二人の距離感は不思議と近かった。


 さらに。


茜「あとさ、あずさって百合も好きで」


麻衣「……百合?」


あずさ「……はい」


 即答だった。


あずさ「女の子同士の、距離が近い感じとか」


 ちらり、と麻衣を見る。


あずさ「とても、尊いです」


麻衣「そ、そうなんだ……」


 空気が一瞬だけ止まる。


 あずさは、その沈黙を“確信”に変換した。


あずさ(やっぱり)


 ———


 帰り際、あずさは茜の袖を引いた。


あずさ「……ねえ、あの人」


茜「麻衣さん?」


あずさ「……好きな人でしょ」


茜「え!?」


茜「ち、違うよ!?

  仲良しだけど!」


あずさ「否定、弱っ」


あずさ「一緒にいて、安心してて、

   生活の相談もしてて、

   部屋も直してくれる」


あずさ「それ、好きな人」


茜「……そ、そんなこと……」


 言葉が続かない。


 その反応を見て、あずさは静かに頷いた。


あずさ「理解しました」


 ——麻衣=茜の好きな人。


 あずさの中で、完全に確定する。


 ———


 その頃、廊下でポストを調整していた麻衣は、

 背後から刺さるような視線を感じていた。


麻衣「……?」


 振り返ると、少し離れた場所にあずさ。


 にこにこ笑っている。

 しかし、目が笑っていない。


あずさ「管理人さん」


麻衣「はい?」


あずさ「……茜ちゃん、大切にしてくださいね」


麻衣「え?」


 意味を理解する前に、あずさは踵を返した。


あずさ「それでは」


 廊下に残されたのは、

 困惑する管理人と、

 静かに芽生えた誤解だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ