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家賃3ヶ月分滞納してたら何故だか私が管理人に  作者: うみのうさぎ
光に集いし者

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11/13

隣人

 麻衣さんから聞いた新しい住人の特徴は

 つけまつ毛。

 派手なネイル。

 物事の内面をしっかり見る“ギャル”。


 ——まさか。


 ドアが開く。


遥「……リナ?」


 リナが振り返る。


リナ「あ」


 一瞬の沈黙。


リナ「……遥?」


 大学の講義室で何度も見た顔。

 話したことはほとんどないけれど、

 同じ学部、同じ学年。


 ——同級生。


遥「……203号室、ですか」


リナ「そ。今日から住む」


 さらっと言うが、

 遥の頭は一気に騒がしくなる。


よりによって……


 リナは周囲を見回し、廊下の照明を見上げた。


リナ「ここ、前より明るくなったらしいね」


遥「……管理人さんが」


 言いかけて、口をつぐむ。


 ——麻衣。


 就職浪人。

 管理人。

 “反面教師”にしようと距離を置いた相手。


リナ「へー」


 リナはネイルの先で段ボールを叩く。


リナ「管理人、いい人だよね」


遥「……え?」


リナ「ちゃんとしてるし。

   説明も丁寧だった」


 遥は、胸の奥が少しだけざわつく。


遥「……そうですか」


 そのとき、101号室のドアが開いた。


麻衣「引っ越し、お疲れさまです」


 麻衣だった。

 作業着姿。

 手には共用部のチェック表。


リナ「あ、管理人さん!」


 リナは一気に距離を詰める。


リナ「今日からよろしくお願いします!」


麻衣「こちらこそ。

   何かあれば、いつでも声かけてください」


 そのやり取りを、

 遥は横で見ていた。


遥(……普通だ)


 特別でも、媚びでもない。

 ただ、ちゃんと管理人をしている。


リナ「ねえねえ」


麻衣「はい?」


リナ「隣、同級生なんですよ。

   大学の」


麻衣「そうなんですか」


 麻衣が遥を見る。


麻衣「……これから、よろしくね」


遥「……はい」


 視線が合う。


 その瞬間、

 遥は自分が避けていた側だったことを思い出す。


 ——麻衣を。

 勝手に。

 一方的に。


 リナは段ボールを抱え直し、笑った。


リナ「なんかさ」


遥「?」


リナ「このアパート、

   思ったより当たりかも」


 その言葉は軽い。

 けれど、遥の胸には重く残った。


遥(……私は、何を見ていたんだろう)


 ギャルだから適当。

 就職浪人だから失敗。


 ——そう決めつけていたのは、自分だった。


 203号室のドアが閉まる。


 廊下の明るいLEDの下で、

 遥は立ち尽くしたまま、

 初めて自分の考えを疑った。

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