決着
私は7大天使とのタイマンバトルの時に様々な神聖魔法を目の当たりにした。もしも初見ならザフキエルの神聖魔法に屈していたのかもしれないと言って、ザフキエルの恐ろしさを持ち上げたいと思うがそれはないだろう。その理由は簡単だ。ザフキエルの使った神聖魔法はあまりにも脆弱な神聖魔法だったからだ。同じ神聖魔法でも7大天使が使う神聖魔法とは規模も威力も桁違いにしょぼくて初見でも対処できるだろう。
ザフキエルが発動した神聖魔法である神聖武装は体に魔力の膜を張る防御魔法だ。この種類の魔法は神聖魔法だけでなく闇魔法や光魔法でも同じことができる基本魔法である。魔法による武装は術者の力が一番わかりやすい魔法だ。ザフキエルの神聖武装は穴だらけの欠陥品だ。しかし、欠陥品といっても神聖魔法なので、そこいらの防御魔法に比べたら強度があるために私が地面に落下させても無傷であった。
次にザフキエルが発動した神聖魔法である無双聖剣は攻撃魔法だ。発動者を中心に全ての物体を切り裂く光り輝く聖剣を雨のように降らすことができる攻撃魔法だ。この魔法も他の魔法でも同じことができる基本魔法である。見た目が派手な全体攻撃である無双聖剣はスキがなく威力も桁違いだ。しかし、精度の低いザフキエルが放った無双聖剣は、数多くの弱者ならば一瞬で葬ることができたのかもしれないが強者の私には全く通用しない。
私は神聖魔法を熟知している。ザフキエルを見た時に神聖武装を発動していることに気付く。私はザフキエルと会話をしながら神聖武装の精度を見極める。この時に私とザフキエルの勝負は決まっていた。穴だらけの神聖武装を見て私は勝利を確信する。私は父の悪口を聞いたことをきっかけに攻撃を開始した。ザフキエルの精度が低い神聖武装でも神聖魔法なので強度は折り紙付きだ。私は強度の度合いを測るために上空から地面にザフキエルを落下させた。案の定、神聖武装は壊れることなくザフキエルの体を守る。これにはさすが神聖魔法と褒めたたえても良いだろう。だがしかし、褒めたのは神聖魔法でありザフキエルではない。私は勝利を確信しているので、少しの間はザフキエルの戯言を聞いてあげる寛大な姿勢を見せるが無駄な時間だった。私はザフキエルに制裁を加えることにする。私の想像通りにザフキエルは神聖魔法の無双聖剣を発動する。派手な魔法を好む高慢ちきな人物は、無双聖剣で自分の力を誇示したがるものである。発動する魔法を知っていれば対処は簡単である。私は数ある対処方法の中で安全地帯へ移動する方法を選択する。私はザフキエルの背後に移動して、勝ちほこったザフキエルの穴だらけの神聖武装の強度の甘い部分にチョップをして神聖武装を破壊しながら脳天にチョップをぶちかます。
「ぐぎぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
ザフキエルは悲鳴を上げてそのまま失神した。
「峰打ちなのです」
お父様を侮辱したことは万死に値すると言いたいところだが命を奪うほどではない。だから私は意識を奪う程度の力加減で攻撃をしたのである。
「お父様をバカにしたことを反省するのです」
私は白目をむいて失神しているザフキエルの足を掴み空に向かって放り投げた。
「たまや~」
ザフキエルは空の彼方へ消えていく。その後ザフキエルの姿を見た者はいない。
「とんだ無駄足だったのです」
よく考えてみれば7大天使が人界にいるわけがないのである。そう考えるとザフキエルはなぜ人界へいたのだろうか……、私の頭に疑問が残る。
「まぁ良いのです」
私は3秒ほど考えたが答えが出ないので考えないことにした。
ちょっとここで私の誤解を解いておきたいと思います。私は決して怪力少女ではない。ザフキエルへの脳天チョップも空へ投げ捨てたことも全て魔法だ。私は常に魔王闘魂という闇魔法を発動している。これは神聖魔法の神聖武装に似た魔法だが魔王闘魂は攻撃に特化した魔法である。私の体には常に闇魔法のオーラで包まれていて、攻撃する際には魔力の補助が入りバカ力を発揮するのであった。
私は知らず知らずのうちにリプロを狙う暗殺者を退治したのであった。




