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幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~  作者: にんじん
逆襲のローガン編

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ローガンの帰還

 「気炎万丈(バーニングフレイム)気炎万丈(バーニングフレイム)気炎万丈(バーニングフレイム)



 ロキは魔法を止めない。それは、魔法を止めた時が命を奪われる時だと理解しているからだ。しかし、魔法の威力は徐々に低下しつつある。これは魔力不足ではなく魔力操作の乱れである。不安や焦りが増すにつれて魔力操作が乱れるのは当然だ。どんな時でも翼翼小心を保つのは非常に難しい。3つ首スケルトンはじわりじわりと距離を詰めてくる。



 「俺を無視するな」



 3つ首スケルトンの背中に猛烈なパンチがヒットする。しかし、3つ首スケルトンは氷点凍結(アイスポイント)金剛不壊(ダイヤモンド)の同時詠唱をした。そもそも、3つの顔がある3つ首スケルトンに死角などないどころか詠唱を3つできる利点もある。3つ首スケルトンは体をダイヤモンドのように堅くしたことで、トールの拳の骨は砕けてしまった。トールは焦ってしまい哀れな行動をした報いを受けた。



 「トール、一旦引くわよ」



 ロキはトールの拳が壊れたことに気付く。そして、ロキ自身も体力的に限界を超えていたので、入り口の扉の方へ逃げるのが賢明だと判断した。トールはロキの言葉にすぐに反応して2人は入り口の扉へ駆け込んだ。3つ首スケルトンはカマの刃を黒色に変えてカマを振り落とす。カマの刃は2人に向かって飛んで行くが、2人は扉を抜けると左右に散って射線を切って難を逃れる。3つ首スケルトンは軽快なステップで入口の扉の前まで詰め寄るが、見えない壁が邪魔をして扉の中へ入ることができない。

 


 「ここは安全地帯(セーブゾーン)みたいやな」

 「そうね。一旦ここで魔力を回復してから体制を立て直しましょう」


 「そやな。いまのままじゃジリ貧や。どうやったらアイツを倒せるねん」

 「トール、発想を変えましょう」



 ロキは何か思いついたようだ。



 「どういう意味や」

 「ヒントを得たけど今の私たちではどうあがいても3つ首スケルトンに勝てないわ」


 「……」



 トールは何も言い返せない。



 「幸いにも死ななくてもここへ逃げれば休息も取れるしログアウトもできるわ」

 「何が言いたいんや」


 「3つ首スケルトンを倒すのではなく修業の相手になってもらうのよ」

 「本気か?」


 「今の私たちにはそれしかないわ。それにルシスちゃんもそのように考えていると思うわ」

 「死なずに何度も挑戦できるように安全地帯(セーブゾーン)を用意したったことか」



 そう、これが隠された最大のヒントであった。



 「そうよ。3つ首スケルトンの倒し方はわかったわ。でも、倒し方がわかったところで圧倒的な実力差があったら意味はないの」

 「そやな。おれなんか相手にもされてへんわ」


 「私も同じようなものよ。ルシスちゃんに学んだことを実戦で試しつつさらに向上させるのが私たちの本来の目的のはず。アイツを倒すのは二の次で良いのよ」



 ロキの判断は正しい。今の2人では3つ首スケルトンを倒すのは不可能だ。今は3つ首スケルトンを倒すのではなく自分たちのレベルを上げるのが先である。そうして2人は3つ首スケルトンを相手に勝つ戦いではなく、勝つための戦いを始めるのであった。






 「た……助けろ。お……俺を助けるのだ」



 パースリへ入る門の前に、全身がしわしわになった全裸の男が、匍匐前進をしながら助けを求める。この男はローガンである。



 「お前はハーメルン様の付き人だな」



 門兵は印象深いローガンのことを覚えていた。



 「もう、動けない。俺を治癒院へ運んで手厚い治療を受けさせろ」



 相変わらずふてぶてしい態度をとるローガンである。



 「お前はハーメルン様と一緒にキャベッジへ向かったはずじゃなかったのか?」

 「アイツらは……全滅した。優秀な俺だけは即是に叡智な判断をして名誉ある撤退をしたのだ」


 「嘘をつくな!合成魔獣を率いているハーメルン様が倒されるわけないだろう。どうせお前は怖くて逃げてきただけだろう」

 「ほ……本当だ。ローガン……いや、ハーメルンが率いていた全ての合成魔獣は倒された。それにケレースからもらった神の果実を食べた魔獣人間もあっさりと倒されたのだ」


 「……お前の話は信用できないが報告をする必要はあるだろう。クルシュ、シンク様に報告をして来い」

 「はい、わかりました」



 門兵の1人である若い青年のクルシュは、天空神大教会の門を警護するシンクの元へ向かった。



 「お……俺は神の果実を与えられた勇敢な天空神軍の兵士だぞ。早く運べ糞雑魚門兵」



 全身の力が抜けてもう1mmも動けなくなったローガンだが口だけは饒舌に動く。



 「……」



 門兵はローガンを無視する。神の果実を与えられることは天空神軍なら当然のことだ。門兵と天空神軍の一般兵では同階級になるので、門兵は呆れ顔でローガンを見ていた。



 「テーラー、その男を引き渡してもらおう」

 


 パースリの門前に姿を現したシンクは、鋭い眼光でローガンを睨みつけてから片手でローガンを肩に担ぎ上げた。そして、天空神大教会へ向かった。



 


 「ジュピター、まだ寝ているのか」

 「今お前の声で起きたところだ」



 ここは全面の壁に金箔が張り詰められた黄金の部屋。全ての家具は金箔もしくは金で出来ている。



 「今日は大事な作戦を決行する日だと説明したはずだ!」



 激高しているのは豊穣神ケレースであった。


 


 遂に天空神教に真実が告げられるのです。

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