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幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~  作者: にんじん
修業編

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修業

 「あの~、今日は晴天に恵まれて、心地よい風を感じる過ごしやすい日になりましたが、え~と、私が思うに……」



 私は緊張をしてしどろもどろになる。



 「ルシスちゃん、何を言ってるの?それにトール、あなたは言い方がよくないわよ。ルシスちゃんは天空神教が襲撃することを予測して、1号ちゃんと2号ちゃんに私たちを守るように指示を出してくれていたのよ。ルシスちゃんの機転の利いた判断がキャベッジと私たちを救ってくれたの。トール、自分の不甲斐無さに苛立ちを感じて不機嫌になる気持ちはわかるけど素直にお礼を言いなさい」

 「……そやな。ルシス助かったわ」



 トールは私に対して怒っているわけではなかったので、私はホッとして笑みを浮かべる。一方、トールはお礼を述べた後、拳を握りしめて苛立ちを抑えるように唇を噛みしめる。



 「ルシス、俺たちは弱いやろ」


 

 トールは思いつめた表情で私を見る。



 「そ……そんなことはないのです」

 「トール、ルシスちゃんを困らせるようなことを言わないの」


 「なら、言い方を変えるわ。俺たちは強くなれるか」



 いつもは強気なトールだが、今のトールは気弱で臆病な姿に見える。



 「もちろんなのです」



 私は気休めで言ったのではない。強くなりたいという直向きな気持ちがあれば必ず強くなれると思うからだ。



 「そうか……。それなら俺たちを鍛えてくれ」

 「え?」

 「ルシスちゃん、私たちはもっと強くなりたいの。今までも自分たちなりに努力をしてきたけど、自分達だけでは限界を感じていたのよ」


 

 ロキは愚直な瞳で私を見る。



 「頼む。お前が俺たちを守るためにチビルシスを用意してくれたことには感謝をしている。でも、今後も守られ続けるのは違うねん。俺はもっと強くなりたいねん」



 トールは頭を下げて私に乞う。



 「私からもお願いするわ。ルシスちゃん、私たちを鍛えてください」



 ロキも頭を下げる。

 私は2人の真剣な姿勢に背を向けることなどできない。それに、私には2人を強くするための手札をもっているのだ。



 「私が用意する修業は、生半可なものではないのです。それでもよろしければ修業の件を引き受けたいと思うのです」



 私は7大天使の厳しい修行を体験した輝かしい実績がある。その実績を生かす時が来たと言えるだろう。



 「望むところや」

 「もちろんよ」



 2人は目を輝かせて喜んでくれた。



 「では、さっそく取り掛かるのです」

 「いきなりか?」

 「ルシスちゃん、休まなくても良いの?」



 2人は目を大きくして驚いている。



 「無問題(モウマンタイ)なのです。まずはお2人の魔石を改造するのです」

 「ルシス、俺たちに何をするつもりやねん?」

 「ルシスちゃん、気は確かなの?」



 魔石とはこの世界に生きる全ての生物に存在する魔力を生み出す源である。魔石の色によって得意な魔法の種類が決まるが、白以外の魔石なら特定の魔法以外なら誰でも習得は可能だ。魔石の色は原則1色であるが、私は魔石の色を4色まで改造する能力(スキル)を発明した。その能力(スキル)とは、ラファエルの能力(スキル)である無病息災とアズラーイールの能力(スキル)である生殺与奪を合成させて作り出した魔改造(テクニシャン)という能力(スキル)である。ちなみに無病息災は治癒魔法や身体強化に長けた能力(スキル)であり、生殺与奪は生命に関する魔法に長けた能力(スキル)である。魔石の改造は体に大きな負担がかかるので、魔石の改造は不可能とされている。その不可能を可能へと変換するために無病息災の能力(スキル)が必要となる。そして、無病息災の能力(スキル)を使って、体の負担を無くして魔石を4つに区分けする。区分けした魔石のそれぞれに生命を与えるのが生殺与奪の能力(スキル)である。魔石の色を4色にすることで、全ての魔法を最大限に発揮することができる。しかし、4つの魔法を最大限に使いこなすには、高度な魔力操作と膨大な魔力量が必要となり、魔石を改造しただけでは強くならない。



 「無問題(モウマンタイ)なのです。全て私にお任せするのです」

 「大丈夫なんか」

 「ちょっと不安ね」



 2人は顔を見合わせる。



 「詳しい話は後でするのです。さっそくお菓子の国(スイーツランド)へ向かうのです」



 私はポール牧ばりの指パッチンをする。すると、私たちの姿は宿屋から消えた。

 ここは足元が真っ白でフワフワの綿菓子で作られた地面、その地面からは甘い香がするチョコレートの木が生い茂り、葉はビスケットでできている。空はピンク色で、カラフルな紙に包まれたアメ玉が降っていた。ここは私の願望を叶えた場所であるお菓子の国(スイーツランド)だ。



 「ルシスちゃん、ここはどこなの?」

 「ルシス……ここは現実か」

 「ここは私が作り出した世界なのです。ごゆるりと楽しんで欲しいのですが、さっそく本題に入るのです」




 私はお菓子の国(スイーツランド)を楽しんで欲しい気持ちを抑えて魔石の改造に入る。



 「ルシスお姉様、お出迎えが遅くなりました」



 1号は翼をパタパタと羽ばたいて私の元へ飛んで来た。



 「1号ちゃん、お2人をお菓子の家(スイーツハウス)に案内してほしいのです」

 「仰せのままに」



 1号はロキとトールの側に飛んで行く。



 「ロキさん、大食い糞野郎、ルシスお姉様がお作りになったお菓子の国(スイーツランド)へようこそなのです。私たちのためにお作り頂いたお菓子の家(スイーツハウス)に、大食い糞野郎を招くことなど断じて許すわけにはいかないのですが、ルシスお姉様のお指示であれば従わざる得ないのです。ロキさんは私の後を、大食い糞野郎は私から10m以上離れてから付いて来るのです」

 「ルシス、後で言おうと思っていたが、このチビルシスの教育はお前がしとるんけ」



 トールは鬼の形相で私を見た。



 ヤバいのです。1号ちゃん、トールを怒らせるのはやめて欲しいのです。

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