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幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~  作者: にんじん
キャベッジ防衛戦

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背水の陣

 「俺達の邪魔をするアイツが去って8年が経過した。そして、ついに協力者からゴーサインが出たぞ。ついに我々がこの世界を征服する時が来たのだ」

 「はい、ゼーウス法王様」



 ここは天空神教の天空神大聖堂があるコラフラウワアーの町。コラフラウワアーは天空神教の総本山である。金を基調とした絢爛豪華な天空神大聖堂の一室で、天空神教の頂点に立つ法王ゼーウスと天空神5枢機卿の1人時空神クロノスが会談をしていた。



 「今日は3つの町を襲撃して、天空神教の力をオリュンポス王国中に知らしめるのだ」

 「はい、ゼーウス法王様」



 ゼーウス法王は長年したためていた大計画を実行する。



 


 場所はキャベッジに戻ります。

 

 ポロンの援護がなくなり合成魔獣は自由に移動できるようになる。



 「ロキ、囲まれてもうたわ」

 「そうね」



 合成魔獣は確実に2人を殺すために円を描くように2人を囲んで逃げ場を無くす。



 「キャキャキャキャ、でもこれは好都合やんけ」

 「そうね」



 ロキとトールはお互いに背中を預けるようなポジションをとる。これは背後からの合成魔獣の攻撃を防ぐためであり、お互いを信頼しているからできる陣形だ。しかし、後ろに下がることも前へ飛び出すこともできない。背水の陣であるとも言えるだろう。少しでもお互いの壁が崩れれば、背後から攻撃を受けて死んでしまう。数で圧倒する合成魔獣が優位なのは変わらない。



 「ロキ、死んだらあかんで」

 「トールこそ、糞をたらしてでも気張りなさい」



 人間は2種類のタイプがある。自分が危機的状況に陥ると火事場の馬鹿力を発揮するタイプと誰かを守るために自分を犠牲にして火事場の馬鹿力を発揮するタイプだ。ロキとトールは後者のタイプである。お互いに背を預けることで覚悟を決める。自分がどうなろうと仲間だけは助けると、その強い意志は火事場の馬鹿力を越える火事場の糞力となる。

 合成魔獣は2人の逃げ場を無くすと一斉に襲い掛かる。



 「気炎万丈」



 ロキは詠唱を省略した魔法名を唱える。魔法を発動するには詠唱が必要となる。しかし、命を奪い合う戦いで詠唱を唱える時間などない。詠唱を唱えるのは半人前であり魔法名で魔法を発動できるようになると一人前と言えるだろう。

 ロキは魔法名を唱えながら剣を振る。すると炎をまとった剣先から炎が放たれる。放たれた炎は魔獣を包み込む。真っ赤に炎上した合成魔獣は皮膚が爛れながらもロキを襲う。しかし、ロキは合成魔獣の攻撃を紙一重でかわしてとどめを刺す。ロキの戦いは蝶のように舞い蜂のように刺すと言っていいだろう。

 一方、トールは相反する獅子奮迅だ。トールは肉体強化に魔力を極ぶりする。トールは巨大なハンマーを振りかざす。トールのハンマーをもろに当たった合成魔獣はホームランボールのように吹っ飛び、後ろにいた合成魔獣へぶつかり、二体の合成魔獣は全身の骨が砕けて肉片が飛び散った。トールの一撃は全体攻撃へと変貌する。20対2の絶体絶命の背水の陣の戦いは、ロキとトールの圧勝を見せつけるスタートをきったように見えたが実際は違った。


 蝶のように舞い蜂のように刺すロキの動きは、1対1なら圧勝劇に終わるだろう。だが合成魔獣は次々とロキを襲う。後ろへ下がることはトールの戦闘の邪魔をする。前に避けるとトールが背後から襲われる。左右に逃げ出すことも同じことだ。ロキの華麗な舞いは直径2mの牢獄から出ることが許されない舞いである。ロキは紙一重で避けるスペースを失い、致命傷を避けるために皮膚を犠牲にして内臓を守る。そんなロキの体は次第に血で真っ赤に染まる。

 トールの前には肉片となった合成魔獣が散らばっていた。だが、トールの体は限界をむかえていた。身体強化の魔法は弱点がある。過度な肉体強化をすると細胞が悲鳴を上げるかのように壊れる肉体破壊(オーバーヒート)が起きる。大きなハンマーを片手でフルスイングを続けるには、絶えず肉体を強化しなければならない。自身の肉体が耐えられるギリギリの強化を保つのは、精密機械のような魔力操作が必要だ。トールは覚悟を決めている。少しでも肉体強化が弱まればロキもろとも死への扉を開くことになる。それならば肉体破壊(オーバーヒート)でかまわない。トールは圧倒するほどの力で合成魔獣を粉砕するが、トールの体からは血の噴水が至る所から噴き出していた。

 ロキとトールの戦いはまさに血の池地獄だ。ロキとトール、そして、合成魔獣も真っ赤な血で染まる。この戦いに勝者はいない。戦いが終わりを告げた時には敗者しか残らないだろう。



 あれ?私の用意した秘策はいずこへ!


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