神と下僕
「ガハハハハハ、ガハハハハハ、ワシは天空神12使徒の中で最強の上に立つ超最強の男、武具神バルカン様だ」
「はい。バルカン様」
バルカンはキューカンバに在住しているエリス第1王女を誘拐するために、天空神軍1000名を引き連れて、キューカンバの東門の前で呑気に演説をしていた。
「お前たちは俺が神力を注いで作った最強の武器と最強の防具を装備した最強の軍隊だ」
「はい。バルカン様」
バルカンは神から鍛冶の能力を授かった神の使徒である。バルカンの作った武具は神力を込めることによりミスリル製の武具に進化する。人間界最硬の鉱石であるミスリル製の武具を装備した天空神軍は名実ともに最強の兵士となる。
※ バルカン 身長175㎝ 体重80㎏ ゴリマッチョ体系 バルカンの神力は、作成した武具は全てミスリル製になる。自分の体をミスリル製の武具に変化させることで最強の戦士に変身できる。
「キューカンバは新鮮な魚が捕れる港町だ。天空神教の避暑地にするには、最適な場所になるのだが、キューカンバの町長は天空神教の避暑地になることを拒絶した愚か者だ。しかもその愚か者は、天空神教の教会建設に反対するネテア王妃の娘を匿っているのだ。悪魔の化身ともいえるネテア王妃の娘を捕え、神の御意志に背いたこの町へ制裁を加える時が来たのだ」
「はい。バルカン様」
「俺は神だ!」
「はい。バルカン様」
「お前たちは神に仕える偉大なる下僕だ」
「はい。バルカン様」
「神の言葉は絶対だ」
「はい。バルカン様」
「俺たちは神としてキューカンバへ天罰を与えるのだ」
「はい。バルカン様」
「バルカンさん、士気を高める演説はその辺で終わりにしましょう」
「ガハハハハハ、ガハハハハハ、そうだな。最後の仕上げにお前の力を下僕たちに与えてやれ」
バルカンに声をかけたのは美貌神ウェヌスである。ウェヌスは神から美の能力を授かった神の使徒である。ウェヌスの妖艶な笑みを見た味方は愛戦士となり攻撃力が5倍になる。一方、敵と判断した相手には、愛の束縛が発動して攻撃力が5分の1になる。
※ ウェヌス 身長178㎝ 体重60㎏ 細マッチョ体系。他の天空神12使徒は白の祭服を着ているがウェヌスはピンクのマントで体を覆っている。しかし、マントの中は真っ赤なビキニパンツだけのナルシストな男である。
次はヴェヌスが登壇して演説を行う。
「世界一美しいのは誰でしょうか?」
「ウェヌス様です」
「世界一愛くるしいのは誰でしょうか?」
「ウェヌス様です」
「世界一可憐なのは誰でしょうか?」
「ウェヌス様です」
「はい、よくできました。世界一美しく愛らしさと可憐さをもつ私に、あなたたちの本気の愛をぶつけなさい。そうすればあなたたちに私の愛を差し上げましょう」
「ウェヌス様、愛しています」
兵士たちは合唱するように「ウェヌス様、愛しています」と叫ぶ。
「もっと、もっと、私への愛を叫ぶのです」
「ウェヌス様、愛しています」
「まだ私への愛が足りていませんね。もっと声がかれるほど大きな声で私へ愛を叫ぶのです」
「ウェヌス様、愛しています」
「だいぶ心がこもってきたようですね。でもまだ足りませんよ」
「ウェヌス様、愛しています」
「とても良い感じになってきましたね。ご褒美として私の美し体を見せてあげましょう」
ウェヌスの快感は絶好調になりピンクのマントを脱ぎ捨てて、 真っ赤なビキニパンツ姿を披露する。
「さぁ、私の美しい姿を見るのです」
「ヴェヌス様、美しいです」
「聞こえませんよ。もっと大きな声で叫ぶのです」
「ヴェヌス様、美しいです」
「全然足りていません。本当に私の体を美しいと思っているのでしょうか」
「ヴェヌス様、美しいです」
ウェヌスはこのやり取りを1時間も繰り返すのであった。
この場に立ち会わなくて良かったのです!