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幼女無双~魔王の子供に転生した少女は人間界で無双する~  作者: にんじん
ルシスの暴走編

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はじめてのおつかい

 天空神教は、神から神力を授かった神の使徒を神の子として崇める教団である。神の使徒は合計で12人いて、天空神12使徒と呼ばれている。その天空神12使徒の中でも最強の神力を授かった人物こそジュノである。ジュノの神力は兼愛交利(けんあいこうり)である。この神力は魔獣に愛を与え使役して、なおかつ愛を与えた返礼として魔獣の力を得ることができる。兼愛交利(けんあいこうり)で使役できる魔獣はBランクまでになり、1度に使役できる魔獣の数は、Bランクは1体、Ⅽランクは30体、Dランクは100体、EFランクに至っては無制限である。

 多くの魔獣を使役してなおかつ使役した魔獣の力を得ることができるので最強の神力と言われている。ジュノは多くの力を得るために50種類以上の魔獣を使役して、天空神12使徒最強の座を手に入れた。多くの魔獣を従えて、使役するごとに強くなるジュノは、天空神教の最強神として崇拝されていた。しかし、天空神12使徒最強のジュノと私との戦闘は、割愛するほどあっけなく幕を閉じた。



 「無駄足だったのです」



 天空神12使徒の中で最強と呼ばれるジュノを指先1つで倒したが、誰も私の勇士を見ていない。私は異世界ファンタジー定番のお貴族様と絆を結ぶイベントに大失敗したと言えるであろう。私は大きなショックを受けて半泣きでラディッシュのギルドへ向かった。



 「着いたのです」



 予定より少し遅くなったが無事にラディッシュの近くに着いた。本当は空から侵入したかったのだが、ロキから止められていたので、きちんと門を通ることにした。



 「ラディッシュへようこそ。身分証はお持ちでしょうか」



 大きな町に入る時は身分証が必要になる。しかし、魔族の私は身分証など持っていない。



 「持っていないのです」

 「身分証をお持ちでない方は通行税が必要になります」



 身分証がない時は高い通行税を払うことで町へ入ることができる。しかし、無問題(モウマンタイ)。私はロキから通行税を貰っていた。



 「お支払いするのです」



 私は通行税を支払った。



 「お嬢さんは亜人族ですね。ラディッシュの3割の住人は天空神教の信者になりますので、帽子を購入して角を隠すことをお勧めします」



 門兵はとても良い人であった。



 「お気遣いありがとうございます。でも、無問題(モウマンタイ)なのです。帽子は持ってきているのです」



 これもロキのアドバイスである。しかし、すっかり忘れていたので帽子をかぶらずに町の門へ来てしまった。私はすぐにロキからもらった麦わら帽子をかぶる。



 「お嬢さん、とっても麦わら帽子がお似合いですね。亜人族だとバレないようにしてください」

 「はい」



 私は元気よく返事をしてギルドへ向かった。



 「次のイベントは成功させるのです」



 私は魔獣の大群からお貴族様の令嬢を助けるイベントは失敗に終わった。しかし、私には次のイベントが用意されているはずだ。それはずばり……ギルドでガラの悪い破壊者(デストロイヤー)に絡まれるイベントである。これも異世界ファンタジーでは定番のイベントだ。私は8歳の子供、そんな子供の私がギルドへ訪れるとガラの悪い破壊者(デストロイヤー)が、「ここは子供が来る場所じゃないぜ。子供はおとなしくおもちゃ屋でも行ってこい」と絡まれるはずだ。そこで私はガラの悪い破壊者(デストロイヤー)をコテンパンにする大事なイベントだ。次こそは絶対に失敗しないと心に誓う。



 「たのもぉ~なのです」



 ギルドの扉は西部劇の酒場で見かけるウエスタンドアだったので、私は両手でドアを開き西部劇の主人公になりきってしまった。



 「……」



 ギルド内に居た破壊者デストロイヤーは静寂で私を出迎える。私はあきらかにスベッたことを理解して顔を真っ赤にした。



 「お嬢ちゃん、おままごとならお外ですると良いわ。ここは全てを失った荒くれ者が集う場所、あなたのような未来のある子供が来る場所ではないわ。遊び相手が欲しいのでしたら、私がおままごとに付き合ってあげるわよ」

 「……」



 ガラの悪い破壊者(デストロイヤー)に絡まれるイベントを期待していたが、真逆の心優しいイベントが発生した。私に声をかけてきたのは銀髪のショートカットの赤い瞳の小柄な可愛らしい女性だった。


 

 

 「私は遊びで来たのではないのです。ロキお姉ちゃんからおつかいを頼まれたのです」

 「ロキ……?もしかして、ラストパサー(最後の晩餐)のリーダーのことかしら」

 「……」


 「そうなのです」



 銀髪の女性はロキのことを知っていた。



 「お嬢ちゃんは1人でラディッシュへ来たの?」

 「……」

 「はい」


 「ロキも無茶なことをさせるわね。でも、それだけ緊急なおつかいだといえるかもしれないわ」

 「……」

 「そうなのです。早くキマイラちゃんを渡さないといけないのです」


 「え!ちょっと待って。今キマイラって言わなかった?」

 「……」

 「言ったのです」


 「キマイラは天空神教が極秘裏に作成している合成魔獣よ。お嬢ちゃん、本当にキマイラなの?」

 「……」

 「本当なのです」


 「マーニ、これは一大事よ。すぐにヤヌアールに伝えて」

 「……」



 先ほどから終始無言で会話に参加していたマーニは、急ぐことなくゆっくりとギルドの受付に向かった。


 

 ※ ソール 身長155㎝ 銀髪ショート 赤の瞳。

   マーニ 身長155㎝ 銀髪ロング 銀の瞳。 2人は双子である。

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