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第92話 異邦からの来訪者

 「失礼お兄さん方」

 「「あ?」」


 二人組の男は後ろから声をかけられて振り返った。背後にはポニーテールにキャップ帽子を深く被り、フードがついたパーカーとショートパンツを履いた少女がにこやかな笑顔を見せて立っていた。


 「へへっ、何だい何か聞きたいことでもあるのかい?」

 「俺達なら何でも聞いちゃうよ?」

 「本当ですか?ありがとうございます!」

 「じゃああっち行こうか?」


 いやらしい笑みを浮かべながら二人組の男は少女の肩を持ちながら、狭い路地裏へと歩いていった。

 それから数分後、路地裏から出てきた少女は帽子についた埃をはらいながら電磁塔を見上げた。


 「やれやれ、この街では意外とマイナーな人なのかな?何でも屋のカケル、会うのが楽しみでね」


 ーー

 

 「だからさ、俺はたこ焼きにはソースが一番だと思うんだよね」

 「は?だからテメェはバカケルなんだよカス。たこ焼きは醤油に決まってんだろうが!!」

 「「あぁ!?」」

 「おい!私の研究室で揉め事を起こすんじゃねーよ。爆薬とかあんだぞ」


 星辰高校ではカケルとダイの二人が今日もくだらない論争を繰り広げていた。そんな場所にもう一人白衣を着た褐色メガネの女性が迷惑そうな目で見ていた。


 「お前の研究室って、ここ科学室だぞ」

 「そうだぞ、科学研究部部長、真島まいかの研究室だ文句あるのか?」

 「ふっ、ごめんね?まいかたん、このカスが聞き分けなくてさ」

 「悪いのはテメーだろ」


 夏休みが終わり、カケルとダイは真島まいかに呼び出されていた。彼女とは中学からの同級生であり、学校のみの付き合いだが、そこそこ付き合いが長いこともあってこうして偶に話している。


 「それで、今日は何で俺たちは呼び出されてんだよ?」

 「あぁ実はな、新しい実験道具を開発してな。それの実験台になってもらいたくて読んだんだ」

 「あ、俺今日塾あるからかえッ、」

 「お前がそんなものに通ってないのは知ってる」


 窓の外から逃げ出そうとしたカケルだったが、突然ロッカーがロボットへと変形し、カケルはそれに捕えられた。


 「これなんだよ・・・」

 「試作品のロダボー四号だ」

 「まいちゃん!ここに座ればいいんだね!」


 カケルが逃げ出そうとしたのとは裏腹にダイは席についていた。


 「あれくらいのフットワークをお前も見せてみろ」

 「ありゃおつむが軽いんだよ」

 「取り敢えず手伝え」

 

 無理矢理に椅子に座らされ、更に何故か拘束された二人を見てまいかは写真を撮ってから布を被せた巨大な装置を持ってきた。


 「どこにそんなんあったんだよ・・・」

 「細かい事は気にするな」


 布を取ると出てきたのはカンチョーする時のためのポーズをした機械だった。


 「・・・何だよこれ」

 「教師と風紀委員から要望があってな、体罰用の自動カンチョー装置だ」

 「待て待て!それを俺達にやるってのか!?」

 「それは流石にきついぜ!やるならまいちゃんが、」

 「作動」


 まいかが一言、そう言うと指はダイの股に向かって勢いよく飛び出していき、ぐちゃりという音を立てながら股間を直撃した。


 「あ、これ死んだわ・・・」

 「ダイ!?」

 「威力は中々の様だな」

 「いや待て!これを俺にも、」

 「勿論、作動」

 「ちょ、待て!ふざけ、あぁーーーー!」


 数分後、カケルとダイの二人は涙目になりながら、教室の隅でピョンピョンと飛び跳ねていた。

 

 「お前、何て強烈な装置を作りやがるんだ!」

 「頼まれたからな」

 「お前なぁ〜。ってこれなんだ?前来た時は無かったよな?」


 まいかに呆れていたカケルは机の上に四角い装置が置いてあるのを発見した。

 

 「あーそれは分解くん試作機だ」

 「ナニソレ??」

 「言葉の意味通りだ。この装置に特定の物質を入力するとそれに含まれている物質の何かを分解してくれるんだ。勿論、細かく設定も出来る」

 「それで試作なのか」

 「まぁな。一回しか使えない代物だからな。後、元に戻らん」


 試しにダイに使用して見ようと思ったカケルだったが、戻らないことを聞くと一瞬でその手を引っ込めた。


 「ん?そろそろ時間だわ。悪りぃまいか!俺はもう行くわ」

 「何か用事があるのか?」

 「仕事の依頼だよ!」


 そう言ったカケルは窓から外に飛び出して走っていった。


 「あいつの仕事って儲かってるのか?」

 「いや全く儲かってねーと思うぜ?それよりもさ俺と今からお茶でも、」

 「作動」

 「おほぉぉぉッ!!?」


 ーー


 学校を出た俺は走って依頼人が待っているファミレスに到着した。


 「えーと、帽子かぶってフードのっと・・・お、いたいた!いやーお待たせしてすんません」


 店内に入り、依頼人らしき人物を見つけ、依頼人が座っている席の反対側に座り込んだ。


 「えーと初めまして。俺が何でも屋のカケルだ。あんたは?」

 「その前に一つだけ、聞いてもいいかな?」

 「?、構わないぜ?」

 「貴方はクールという人、知ってますか?」


 一瞬、時間が止まったかと錯覚してしまった。

 クール。その名前は確かに知っている。だが、何故この子がそれを知っているのだろうか?


 「さぁ?知らないな」

 「今の間は知っている人の間でしたよねぇ〜?」

 「・・・」

 「・・・」


 静寂が辺りを包み込んだ。

 クールを知っているという事はあいつの仲間だった奴か、魔法に関係する奴らかの二択だ。

 見た感じ、かなりスポーティーな格好をしているし、年齢も俺よりもハヤテや青に近しい感じだから仲間だった可能性が強い。

 カケルは警戒をしながら出された水を飲もうとした時だった。


 「・・・いでッ!?」

 「ふっ!」


 ガラスのコップに入った水が口に入った瞬間だった。突然、口の中で静電気の様なものが走り、思わずコップを落とした。

 そして、それが合図だと言わんばかりに目の前の依頼人は机の上に置いてあったフォークとナイフを俺の方に投げた。


 「危ねっ!?」

 「意外と遅いですね?」

 「ん?ブッ!!」


 メニュー表でナイフとフォークを止めたとほぼ同時だった。いつの間にか目の前の席からこちらの席の前に立っていた依頼人は俺の顔を勢いよく蹴り飛ばし、窓を割って俺は外へと放り出された。


 「いっでぇー!!」

 「貴方、本当にあのクールを倒した男ですか?」

 「うるせぇほっとけ!!」


 当然、店内は荒れており、店員さんも俺達の席の方まで来ていた。


 「本気出してくれませんと面白くないのですが?」

 「だから俺は知らないんだって!」

 「そこまで強情ですと僕も手段を選んでられなくなるんだけど。いいの?」


 そう言った依頼人は片手を店内に向け、黄色いバチバチと音を鳴らしたエネルギー玉の様なものを作り出した。


 「彼らを襲ったら本気だしてッ!!」


 立ち上がり、埃をはらってから依頼人野郎と距離を詰めてカケルは腹を殴り飛ばした。

 依頼人はそのまま奥のトイレまで殴り飛ばされ、便器を壊して流れ出た大量の水で濡れた。


 「いてて・・・なるほど、これは厄介だね。全く見えなかったよ」

 「全く、面倒な奴らってのは何処にでもいるもんだな。オラ、とっとと立ち上がれよ」


 カケルは髪の毛を掻き上げ、赤い瞳で睨みつけた。


 「ははっ、面白いね!」


 対する依頼人を装った少女は黄色い瞳を輝かせながら立ち上がった。

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