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第88話 海④

 「何てことは、私がやらせない!!」

 「青ちゃん!?何でここに!?」

 「カケルさんが走ってたので!ハヤテだけ足速いから先いってたんです!喰らえ"崩壊"」


 タコの足がハヤテに叩きつけられる寸前で青のnoiseである"崩壊"がその足を膨らませながらそのままボロボロと肺となって崩壊させた。


 「何してんのよカケル!あんたとっとと倒しなさいよ!」

 「ミサ!それにお前らまで」


 青に遅れながらミサ達もその場に到着し、それぞれ戦える者達は避難が遅れてしまっている人を助け出す為に動き出した。


 「あ、完全に救助忘れてたわ」

 「あんたはいいからあのデカブツをさっさと倒しなさい!!"上重力"!」

 「キィィィィ!!」


 ミサが両手を広げ、腕を上に上げるとそれに連動して海の中に潜っていた筈のクラーケンが一際甲高い雄叫びを上げながら海面から顔を出した。

 その容姿はまさしくダイオウイカというのに相応しく全長二十メートルはゆうに超えていた。更にその額には今まで捕らえて来たであろう人々の骨やまだ骨にはなっていないが息をしていない人などが埋め込まれていた。


 「は、早く〜!!、い、いきなさいよぉ〜!!」

 「あ、あぁ!ありがとうなミサ!」


 ミサからの手助けもありカケルは姿を見せたクラーケンに向けて走り出した。

 その頃、ハヤテの方は青が助けに行っていた。

 

 「ハヤテ!大丈夫?」

 「俺なら大丈夫だ!それよりも青!お前の力を貸してくれ」

 「え、・・・うん!」


 右腕が使い物にならない状態になっていたが、ハヤテはそれよりもカケルの目の前にそびえる本体を守るように並び立つ八本の足をどうにかする為に左手で刀を握った。

 青もハヤテの考えていることを察し、カケルの方を見て両手を前に出した。


 「行くぞ!」

 「う、うん!」

 「"魔刃"!」「"崩壊"!」


 ハヤテは横に刀を振い魔刃を放ち、青は八本の足を視界に入れて崩壊を使った。

 そして同時に放った二つは、ハヤテと青の二人が思いもしない結果へと導いた。

 放たれた斬撃と崩壊が一つの力となって八本の足を横に真っ二つにして崩壊を始めたのだった。


 「「うっそ・・・」」


 二人でさえ予想だにしなかった事だった。

 カケルはそれを見て走りながら腹を抱えて笑った。


 「あっはは!!お前らいいコンビだよ!!!」

 「どこがだ!!」

 「ギィィィィィィィィィィィ!!!」


 海面から出されたクラーケンは足を真っ二つにされ、怒りとも苦悶の声とも聞き取れる声で叫んだ。


 「ダイ!」

 「一個貸しだぞ!」


 カケルとダイはクラーケンを超える高さまでジャンプしクラーケンを真上から見下ろす位置でダイはカケルの背中を思い切り殴った。


 「オオオオオッ!あばよっ!!」

 「キィィィィィィィィィィッ!!?」


 反射の力で下へ落ちる速度を上げたカケルはそのまま拳を握りしめ、そのままクラーケンの顔を殴り潰した。


 「ギィィィィィィィッ」


 クラーケンは苦悶の声を上げながら、大量の血を流して海に浮かんで息を引きとった。

 カケルはクラーケンの上に着地し、背中を少し反りながら背伸びした。


 「うぃー討伐完了っと」

 「こんなかデカけりゃイリスちゃんに沢山のたこ焼きを作れるじゃねーか!」


 カケルの少し後にクラーケンの上に降りたダイは、巨大なクラーケンを見て歓喜していた。

 しかし、カケルはここである疑問を覚えた。 


 「なぁ、これイカじゃね??」

 「は?どう見てもタコだろ?足八本あるしな」

 「いやでも形はどう見てもダイオウイカだろ?」

 「お前やっぱバカだバカ!八本足のイカなんているわけないだろ!?ばーか、ばーか!」

 「お前こそ、こんな形したタコなんていねーだろうが!アホアホアホォー!!」

 「何をしているんだあの二人は・・・」


 葵が事前に準備してくれていたボートに乗って二人を回収しに来た九条と葵だったが、二人が殴り合いの喧嘩をクラーケンの上で始めているのを見て、呆れかえった。


 ーー


 その日の夜、クラーケンを倒したカケル達はその一部をミサがたこ焼きにして、たこ焼きパーティーを海辺でしていた。


 「美味しいぃ〜。外はパリッと中はとろりとしていて、更にこのクラーケンの足の噛みごたえがまた何とも言えない食感で最高です!」

 「ふっ、イリスちゃんにそう言って貰えて、俺は嬉しいよ。君の為に頑張った甲斐があったってものさ」

 「作ったのはミサだけどな!」

 「おかわりくださいでごわす!」

 「負けないんだyo」

 「俺だって!」


 ダイはイリスと共にミサが作ったたこ焼きを二人で食べており、ガガとミュー、ズンの三人は誰がどれだけ多く食べれるのかを競い合っていた。


 「いつッ!」

 「あ、ごめんハヤテ」

 「ハヤテさん今回も相当酷い怪我ですね・・・」


 ハヤテ、青、緑の三人は怪我したハヤテの傷の手当をしながら、三人で仲良くたこ焼きを食べていた。


 「よし!出来た!」

 「ほぉ、イカの炭火焼きか酒に合いそうだ」

 「でしょー、九条ちゃんの為に作りましたー!」

 「・・・ましたー」

 「九条さんだ。全くお前らは」


 ミサは白と共にたこ焼きを作る傍ら、クラーケンの一部を切り取って炭火焼きを作り、九条にご馳走していた。

 そんなダイ達から少し遠く離れた岩場でカケルは海を眺めていた。そこに食事を持って葵もやって来た。


 「カケル?」

 「おー葵どした?」

 「たこ焼きと炭火焼き持って来た」

 「マジかありがとうな」


 葵はたこ焼きと炭火焼きをカケルに手渡して、隣に座った。


 「何見てたの?」

 「たっしょん終わって、あいつらの所戻ろうと思って歩いてたら眺めが良くてここで星空見てただけだ」

 「ふっ、何カッコつけてるの?」


 葵は鼻で笑いながら、カケルが見ていたという星空を見上げた。

 暗い夜空いっぱいに光る小さな星々は確かに綺麗で海との境はまるで芸術でも見ているかのように錯覚させられた。


 「確かにこれは凄い」

 「だろだろ〜」

 「うん。カケルが見入るほどなのも納得できる」


 カケルと葵は少しの間、星空を見ながら二人で食事をしてから皆んなの所へ戻る事にした。


 「あっ!そうだ葵」

 「ん?」


 岩場を歩きながら進んでいるとカケルは何かを思い出したかのように立ち止まり、葵の方を振り返った。

 葵の方も何かと思い顔を上げて立ち止まった。


 「いやその、何だ、その・・・水着、似合ってる」

 「・・・ん、ありがと」

 「おう・・・」


 二人はお互いに俯いた後、顔を見合わせて笑った。


 「今度はもっと早くに行って」

 「わりぃわりぃ、言うタイミング中々なくてさ」

 「後、明日本買いに行くの付き合って」

 「はいはい」

 「後・・・」

 「まだあんのかよ!?」


 そうして、二人は砂浜を歩きながら皆んなの元に戻って行った。

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