第87話 海③
カトケンとホリケン大好き
「クラケン?芸人の?あの二人いいよな、俺大好きだぜ」
「それはカトケンだ。大好きなら間違えるな」
「じゃあ仮面ライダー出てたあの、」
「それはホリケンだ。私が言っているのは"クラーケン"だ」
「そっちのがあり得ない存在だろーが!つか、何でこんな所にクラーケンが出てくんだよ!!」
クラーケンといえば、タコやイカの姿をした巨大な化け物で確かノルウェー辺りで中世から現世にかけて語られた海の化け物だったはず。
だが近年では、ダイオウイカだったんじゃないかとも考えられているってこの前、神話にわかオタクの徳島君が言ってたのを翼が聞いたってのをダイから聞いた。
「それが分かれば苦労はしてない。だが、あれは確かにタコの足だった。しかも途轍もなくデカいな」
「や、やべーじゃねーか!?直ぐに葵達を、」
「きゃー!?」
カケルが直ぐに立ち上がって葵達を呼び戻そうとした時、少し遠くの方から女の人の叫び声が聞こえてきた。
「遅かったようだな」
「遅かったってお前、って何だありゃ!?」
女の人の声がした方向には巨大なタコの足のようなものが8本更に向かって上がっており、その先端には大勢の人たちが捕まっていた。
「あれはまずいな」
「九条、葵達を頼んだ。俺がたこ焼きにしてくる」
「あ、おい!カケル!」
カケルはそれだけを言ってタコの足が見える場所まで走っていってしまった。
残された九条はカケルが言った通り、葵達を逃すためにビーチバレーをやっていた場所をみるが、そこには誰もいなく、周りを見てみるとカケルと同じく葵達もタコの足の方に走っていた。
「なっ!?全く別の日に市民プールにで手を打ったけば良かった!」
カケルにクラーケンを退治させるのと労いの会を同時にしようと思い連れて来たのは失敗だったか、と九条は心の中で後悔しながら葵達を避難させる為に走り出した。
ーー
クラーケンが現れた場所では、大勢の人々がその姿に恐怖し逃げ出していた。
「何なんだよあれ!?」「逃げろー!!」「お、おい誰か警察に!」「警察なんて意味ないだろ!」「とにかく走れぇー!!」「きゃー!!」「あ、柚子ぅー!!」
走り去る人々からクラーケンは一人の女性をその足で掴み上に上げた。
「い、いやぁぁぁぁ!!!誰か!!」
「柚子!」
「いやぁぁぁ!!」
そのままその足は海の中に引き込もうとしていた。
「いやぁぁぁ!」
「うぉぉぉぉりぁぁぁぁ!!!」
海に引き込まれる直前、その足は助走をつけて走ったカケルの回し蹴りを喰らい、その痛みによって女性を離した。
そしてその隙に女性を浜辺に投げ飛ばした。
「やっべ、着地考えて無かった・・・」
「キィィィィィィィ!」
クラーケンは海面から自身の足を二本だし、宙に浮かんだままのカケルに向かって放った。
「え、ちょッ、まっ!!?」
カケルに向かってくるタコの足は、その巨体に似合わない速さでカケルの手足を縛り付けた。
「ぐっ!?いででででっ!!!何だよこいつの速さ異常だろうが!?ぐわっ!?」
掴まれたカケルは抜け出そうとしたが、足を物凄い速さで動き回し、海面や砂浜に叩きつけた。
「かはっ!!!」
鈍い音を立てながら叩きつけられるカケルは失いそうになる意識を何とか保ちながら抜け出す策を考えていた。
「いや、無理ぃぃぃぃぃぃ!!」
「何やってるんだお前」
その声が聞こえた次の瞬間、欠片を掴んでいたタコの二本の足は切り裂かれ、その痛みでカケルを離した。
「おわっ!?」
再び落ちたカケルは今度は息を大きく吸い、それを浜辺とは反対方向に大きく吐き、浜辺に着地した。
「ふぅー、危ねぇ。ありがとうなハヤテ」
「別にいいが、お前人間か?」
刀をしまって同じく浜辺に降りたハヤテは、おおよそ人間では出来ないであろう浜辺への降り方にドン引きしていた。
「まぁそこは気にすんな。・・・それよりもあいつデカい上に速いぞ」
「分かってる見てたからな」
見てたと言う言葉にカケルは引っかかったが、今はそれどころではない為、終わった後に聞き出そうと切り替えた。
「俺の刀も深くまではいってないな」
「マジかぁー」
「キィィィィィィィィィィッ!!!」
再び大きな音が鳴り、今度は浜辺からタコの足が三本現れカケルとハヤテを囲んだ。
「チッ!」
「殴ってもそんな効いてなさそうだったもんなぁー厄介だな」
「呑気な事いってんな!まじ、」
「大丈夫だ」
ハヤテの掛け声と共に三本の足は同時に二人を襲った。それをハヤテは魔刃によって斬り裂こうとしたがカケルは静止させた。
「ば、」
「巻き添い喰らうぞ」
ハヤテはその一言の意味が分からなかったが次の瞬間、その意味が理解できた。
「よく気がついたなぁ!バカケルゥ!!!」
「ナイスタイミングだぜ、ダイ!!」
三本の足とカケルとハヤテの間に割って入って来たダイは自身のnoise"反射"によって三本の足の力をそのまま跳ね返した。
「あいつ反射出来るんだよ。だからお前が何かやってたらそのまま反射されちまうからな」
「そうゆうことか」
「お前ら何遊んでんだよ。とっとと倒してイリスちゃんと遊びたいんだ俺は!」
「アホか」
「それがダイだから。さぁて役者は揃ったし、こっからが本番だ」
カケル、ダイ、ハヤテの三人は海面に浮かぶ大きな陰を見て走り出した。
三人を脅威だと感じたのかクラーケンは八本の足を全て海面から出し三人に向かって打ち放った。
「ちょ、あれデカくねぇか?」
「うるさいお前とっとと前でろ」
「いけ」
カケルはダイの尻を蹴り飛ばして、飛んできた八本の足を反射で受け止めさせながら前へと進んだ。
しかし、正面からだけでなく足は三人の四方八方から飛んできており、カケルとハヤテは正面以外から飛んでくる足を殴って斬り裂いた。
「おい!何なんだぁこいつ。デカいくせに無駄に速いじゃねぇか!」
「俺が!知るわけ!ないだろうッ!あぁ!もうめんどくせぇ!」
「お前ら喋ってないで手を動かせ!」
想像以上の勢いで三人に打ち出される足は、その速さと異常なまでの耐久力で三人の動きを止めてしまっていた。
「俺、手動かさなさないでも余裕だし」
「くそっ、身体強化と交換してくれよ!」
「タイトル変わるぞ」
「お前らさっきからもっと真面目にやれよ!、ッ、一本だけ足りないぞ!!」
刀で巨大な足を捌きながら数を正確に数えていたハヤテは途中から一本だけ減っていることに気がつき、二人に叫びながら警戒を促した。
「下だ来るぞ!」
ハヤテの掛け声で三人はそれぞれ別の方向へと逃げ、生えて来た足をよけた。
しかし、それぞれが三方向に分かれたことによってダイ以外の二人は捌くことが出来なくなってきていた。
「くっ、このままじゃあ!」
「俺が突っ込んでいってあの巨大タコの本体をぶち殺して来てやらぁ!」
「お前、あのデカブツ倒す威力の技持ってねーだろうが!」
「じゃあお前とっとと殴り倒せよ!」
「それが出来ないから困ってんだろうが!ぶち殺すぞテメェ!」
「お前ら喧嘩してる場合じゃ、」
二人の喧嘩を止めようとしたハヤテであったが、一瞬の隙をつかれ、刀を持った右手に足を叩き落とされ、右腕を潰されてしまった。
「ぐあぁぁぁぁ!!!」
「ハヤテッ!!」
「ちぃ、こうなったら"二重能力"使って」
「バカ、それで倒しきれなかったらお前、無能力者に何だろうが!」
ダイの二重能力は使用すれば、ダイが現在持っている三つの能力から二つの能力を同時に使える強力な能力であるがそれを使用した後、しばらく能力の使用が不可となってしまう欠点を持っている。
かつてそれによってダイはノミに操られたイリスのナイフでやられてしまったことがある。
「じゃあ、どうすれば」
「とりあえずハヤテの元まで、」
カケルが振り返りハヤテの元まで行こうとしたのだが、既にタコの足がハヤテの息の根を止めるために叩き落とされようとしていた。
「ハヤテ!!!」
それに気がついたカケルは助けとそれをサポートするために動き出したダイは何とかタコの足を避けた。しかし、間に合うはずもなくハヤテは無慈悲にもタコの足によって潰されてしまった。




