第82話 風紀委員長アテネ①
星辰高校風紀員室
「委員長、こちらがこの学校で素行の問題があるとされている生徒達の一覧です」
「ありがとうございます。ではこの生徒達を一斉に粛清を」
「「「「は!」」」」
薄暗い教室の中、ホワイトボードに数多くの生徒の名前や写真が張り巡らされており、その中の一枚にはカケルとダイの写真も貼ってあった。
ーー
「あーダリィー」
「何で俺達が学校行かねぇと行けねぇんだよ・・・」
クールの一件が終わった後、カケル達の学校は夏休みに入っていた。
補習は現在、リモートで行われている筈だったが、ある日カケルとダイの二人は学校に呼び出され、今向かっていた。
「こんな暑い日に何で俺たちが・・・」
「サボっちまうか?」
「いやーそれは後が怖いだろ」
二人はどうやって早く帰るのかを話し合いながら、結局決まらず学校に到着してしまった。
「遅い!」
「「あ?」」
二人が校門をくぐると屈強な男達が数人、正面に立っており腕には風紀委員と書かれた腕章を付けていた。
「えーと・・・世紀末の人??」
「違う!我々は風紀委員会の者だ!」
その姿はどう見ても風紀委員からはかけ離れた姿をしており、それどころか高校生かどうかすら怪しかった。
「で、世紀委員が何でここいんだ?」
「誰が世紀委員だ!我らは誇り高い風紀委員だ!お前達は今日我らが風紀委員長が考案した、不良撲滅プログラムに参加してもらう」
「「不良撲滅プログラムぅ?」」
「おいおい待てよ。暑い中、わざわざ歩いてきてやったのに、俺達に向かって不良とほざいてくるとはいい度胸してんじゃねーか!?」
「そもそも俺達は不良と呼ばれる様な事はしてねぇよ!」
俺は何でも屋の仕事でよく学校休んだり、宿題やってこなかったり、授業バックれたりはするが無益は暴力を振ったことないし、ダイだって日常的に女子生徒の下着を当てたり、エロ本を教科書変わりにしたり、女子生徒の下着盗んだり、あろうことかそれを売ったりして入るが不良と呼ばれる事はしていない。
「・・・あれ?俺達ヤバい奴らじゃね?」
「あ?何だいきなり」
「お前に至っては何でアレで俺よりモテてるんだよ・・・てゆうか犯罪だし」
「バレてないからだろ。後ちゃんと許可とってる」
許可する奴も今すぐここに連れてきた方が絶対いいと思うのは俺だけだろうか?
「とにかくお前達もとっとと体育館に行け!!」
「「はぁ〜い」」
俺達が体育館に行くとそこには既に何十人かの不良達が集まっており、こんな暑い中まっているからか目付きが皆、おかしくなっていた。
「やっぱ不良は男だけしかいねぇじゃねぇーか。むさ苦しい吐き気がするぜ」
「やめろダイ。すごい睨まれてるから」
俺達が体育館に到着して少し経った時だった。壇上に生徒会の奴らと共に金髪の髪の先を緑や青に染めた一人の女子生徒が現れた。
「か、カケルッ・・・」
「どうした?」
「すっげぇ可愛い」
「死ぬ程どうでもいいな」
壇上に立ったその女子生徒はまだ幼さが残る顔つきをしているが、眉をキリッとさせており真面目そうな雰囲気が醸し出されていた。
「ちゅぅーもぉーく!!!」
「只今から風紀委員会考案の対不良撲滅プログラムを開始する!!」
「やっと始まったぜ」
「今から詳しい話を風紀委員長であるアテネ様からしてもらう!有り難く声調せよ!」
そう言った男はそそくさと後ろに下がり、さっき現れた女子生徒が前に出た。
「私が今紹介に預かった風紀委員会、委員長のアテネだ!今日は貴方達を更生させる為に我が風紀委員会が考案した不良撲滅プログラムに参加してくれて感謝します!」
「ふざけんじゃねー!」「そうだ!俺達は花の男子高校生だぞ!んなもんに呼ぶんじゃねー!」「犯すぞボケ」「バイトどうしてくれんだ!」
四方八方から罵声が飛び交う中、アテネと名乗られた少女はそれでも凛とした態度を崩さず、マイクを手に持ち大きく息を吸った。
俺は嫌な予感がしたので一応耳を塞いだ。
「黙れぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
体育館は音がよく響くからか恐らく本人も思ってない程の声量が体育館内に響き渡った。
何で本人も思ってないと思うのかだって?そりゃ目の前で今あたふたしてるからね。
「ど、どうしよ〜!お、思ったよりも大きい声がひ、びいちゃったよー!近隣住民の皆様にめ、迷惑とかかかっていないだろうか!!??」
「お、落ち着いてくださいアテネさん!こうゆう時の為に既に体育館は生徒会に言って防音のものに変えてもらっていますから!」
小声で何か言っているようだが、俺はそれ以上に今隣にいたはずのダイがいつの間にか消えている事に冷や汗を流した。
「まぁまぁ落ち着きなよお嬢様?貴方のカナリアの様な声はただ響いた訳ではないですよ?この俺の耳と脳内にしっかりと保存されました。まったく・・・貴方という人は俺という男を虜にするなんて罪な女だね?」
やっぱり壇上の上にいた。
アテネを一目見た時からこうなる事は分かっていたが、予想よりずっと早くになった。
「・・・副委員長」
「お呼びで?」
「彼は?」
「彼の名前は武久ダイ。この学校の二大問題児の一人です。通称は変ダイ」
アテネはダイを上から下まで汚物を見る様な目でダイを見た。
てゆうか二大問題児のあと一人絶対俺だよね?後そんなの初めて聞いたんだけど情報源どこだよ。
「貴方があのダイですか・・・」
「はっ!君みたいな人に知られてるなんて感激だね。どうだい?もう少しお互いを知る為にお茶でも、」
「結構です。それよりも早く壇上から降りてください。更生プログラムの説明をしますから」
「ふっ、楽しみは後でって事だね」
偶にダイのああゆう所は羨ましくなる。
その後、襟を掴まれながらダイは俺の元に返品されてきた。
「それでは皆さん、我々風紀委員が提案する不良撲滅プログラムを発表します!!その名は"ドロケイ"です!!!」
「・・・」
多分ちょっとバカなのだろう。ドロケイが何故、不良撲滅に繋がるのだろうか?
案の定、他の奴らも皆困惑しており中には馬鹿馬鹿しく思ったのか帰ろうとする者達まで出てきていた。
「あ!待ちなさい!返すわけには行きません!」
アテネは壇上から帰ろうとする者達の元まで跳躍し、彼らの道を塞いだ。
「邪魔すんじゃねぇ!!」「ガキの遊びに付き合ってる程、暇じゃないんだよ!」「風紀委員だからって調子乗んじゃねーぞコラ!」
「いいでしょう。貴方方の様な方達には言葉よりも実際に見せた方が早いでしょうね」
「あ?俺達とやるってのか?おもしれぇ!テメーら行くぞ!」
帰ろうとしていた数人の不良達は皆一斉にアテネに向かって殴りかかった。
「はぁ…まったくこれだから不良という者達は・・・身の程を弁えなさい!!!」
それは一瞬だった。アテネが殴られる直前、どこから取り出したのか分からなかったが、槍のような物を取り出し一振りで殴りかかった不良達を投げ飛ばした。
「「「「「「ぐわぁぁぁ!!?」」」」」」
殴りかかった数人の不良達は皆、尻餅をつき倒れ込んだ。アテネは更にまたもやどこから取り出したのか、女と蛇が形どられた丸い盾を手に持って不良達に向けていた。
「貴方達は私が神に変わって裁きを下しましょう!愚かな石となり永久に罪を償いなさい!"アイギスの盾!!!"」
「うわっ眩しッ!!・・・あ?何ともない?」
「う、うわぁぁぁ腕がぁぁぁ!!!」
眩い光をアテネが持つ盾が発したと思ったら、その光を浴びた殴りかかった不良達はみるみる内にその姿を石へと変えていった。
「おいおいマジかよ・・・何だあの能力」
「アテネちゃん、彼女に美しさにあいつらはやられたってことか・・・ふっ、俺もやられたい」
「お前ちょっと黙ってろ」
近づいて少し叩いてみてがどうやら完全に石化していた。しかし、少しだけ耳をすませてみると石から何か呻き声のようなものが聞こえてきた。
「これでドロケイをやる意味が理解出来たでしょう。このドロケイは貴方達を石化させる為だけに風紀委員会が考案したものです」
「おいおいドロケイやる意味あんのか?」
「自分達が追われる犯罪者である事を自覚してもらう為です。貴方方多くの不良は自分達がやっている事への責任を負おうともしていない。それどころか未成年だと言う事を利用して多くの過ちを平気で犯す。私はそんな貴方方に分からせたいのです犯罪者と同列だと。だからやるのです」
確かにダイはグレーゾーンなんてものじゃない程にヤバい奴だ。だが、俺は確かにバックれたりはするが不良と言う程ではないはずだ。
「さぁでは今より十分後にドロケイを開始します。貴方方は今から逃げてください。勿論逃げないのならこの場で石にします」
「・・・石にされたらどうなんだよ」
「反省し、更生するまでその石化からは解放されません。彼らのように」
アテネは後ろを振り返り風紀委員達を見た。どうやらあいつらもこの撲滅プログラムを受けた元不良らしい。こうしてみると確かにやるだけの価値があるプログラムな気もする。
「たっく、仕方ねぇーダイ逃げるぞ」
「うーい」
「夕方まで逃げ切れれば貴方方を解放します。逃げ切る事は出来ないでしょうがね」
「おもしれぇ逃げ切ってやるよ」
俺はダイと不良共を引き連れ体育館の扉を開けて外に逃げ出した。




