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第81話 思いを馳せる

 カケルとクールの決着に伴い、街中に噴き出してきていたマグマは動きを止め、これ以上吐き出す事も無くなった。

 事情を知る者達はカケル達の決着がついたのだと理解し、安堵した。


 「終わったみたいだな。ったく、おせぇぞカケル」


 ーー


 「んあっ、・・・いけね気絶してたのか」


 地下にて気絶していたカケルは目を覚ました。

 そして隣を見てクールがまだ気を失っている事を確認した後、マグマが少しづつ引いていっている事に気がつき、終わった事を確信した。


 「ふぅ、あとはマグマが引いたらこいつ担いで上に戻るだけだな」

 「俺はいい・・・」


 カケルが声に振り返るとクールも目を覚ましていた。


 「俺はいいってお前なぁ・・・」

 「俺は負けた。そして多くの罪も犯した。今更戻ったところで意味がない。それならばいっそのこと、ここで死んだッ!?」


 クールは突然頭から鈍い痛みを感じ、思わず起き上がった。


 「ぐっ痛ッ、、、何をする!」

 「ごちゃごちゃうるさい。お前は連れてく。そしてお前は見つけろ守りたいと思える人、自分を想ってくれる人、大切な人をもう一度見つけろ。それだけで世界ってのは見方が変わる、きっとな」

 「だが、俺には今更・・・ぐぶッ!?」


 未だはっきりとしないクールに面倒くさくなってきたカケルは今度は顔面に蹴りを決め込んだ。


 「今更なんてねぇんだよ。だってお前はまだ踏み出せてすらないんだから。罪を犯したと思ってんなら大切な人たちを見つけてその人達を全力で守ってその罪を償え。死ぬなんて簡単な逃げ道に行こうとなんてすんな。俺達みたいなのにはそうする責任があんだよ」


 この男は最後まで何故ここまで真っ直ぐいられるのだろうか。これが大切な人がいる者という事なのだろうか?


 「俺も・・・お前のようになれるのか?」

 「やめとけやめとけ。俺みたいになったら赤点ばっか、で、ってやべ俺期末どうしよう・・・」


 あの時は別にいいやと思っていたが、よくよく考えれば俺進級出来るかどうかの大事なテストをやってないと言う事になる。


 「やべ、どうしよう!?なぁ、どうしたらいいかな俺!くそっ!世界なんて滅べばいいのにィィィ!」

 「お前・・・」


 カケルはクールと戦っていた時以上に焦りの表情を見せており、今にも泣き出しそうな声色だった。


 「・・・さっきの言葉は忘れてくれ」

 「ま、まぁとりあえず!お前はまずは妹に謝れ!その後にしっかり罪を償え。話は全部そっからだな」


 そう言ってカケルは立ち上がり、クールを抱えて地上へと戻っていった。


 ーー

数週間後


 それからクールは九条が身柄を確保し、十二司支の奴らも一緒に警察署へと連行されていった。・・・まぁ何人かは未だ逃亡中らしいが。

 俺は地下にいたからよく分からなかったが、ネオ・アストラルシティはかなり酷い有様で、しばらくは学校も休みになった。ついでに期末も有耶無耶になればよかったのだが、そんな都合よくはいかず俺とダイはみっちり補習をオンラインでさせられた。

 とりあえず今は終わって自主勉五ページ分やっている最中だ。

  

 「うへ〜、もう勘弁。ぢかれた・・・」

 「カケル殿!よければこのナビが代行いたしましょうか!!」

 「いや、いいよバレるし。校長の計らいで一週間だけ補習すればいいだけになったし」

 「こ、校長何者でござるか・・・」


 他の皆んなはあの事件の後、ダイは俺と同じく補習を受けており、あいつの話ではイリスはしばらく入院中の総理といるらしい。

 ミサは何でそれで動けるんだとドン引きされるくらい身体中がボロボロになっているらしく、総理同様全身包帯巻きで病院に入院。

 ハヤテも同じ理由で入院しているらしく、今は青や緑、師匠が世話をしているらしい。本人も満更でもない様子だった。


 「あ、」

 「どうしたでござるか?」

 「いやな、ハヤテのお見舞いに行った時、着物着た女の人がいてよ、あれ誰だったのかなって」


 師匠と同じ雰囲気を纏っており、関わると面倒くさいと思ってスルーしたが・・・まぁ深くは考えないでおこう。

 おっとそれから砕蔵は結局、成仏出来ずに仕方なく俺達の住む黄昏荘の住民になった。話し方がナビと似ているからか二人はそりが合わないらしく日夜喧嘩三昧だ。

 霞はいつの間にか姿を消していたが、また何処かで会えるそんな気がしてる。


 「カケル、勉強中?」

 「ん?おぉ葵どうした?勉強は今終わった」

 「え?カケル殿まだ二ページしかおわブベッ!?あ、ありがとうございますぅぅぅ!!!」


 後三ページは後でやればいいからな。とりあえずナビを裏拳で殴って窓の外に落とし葵の用事を聞く事にした。


 「今日発売の新作ミステリー小説買いに行きたいからその・・・い、一緒に・・・どうかなって・・・」

 「いいねぇ。直ぐ支度するから玄関で待っててくれ」

 「うん。待ってる」


 葵はとことこと一階に降りていった。俺は着替え中、ふとクールの事を思い出していた。

 あいつはその後、総理の計らいで罪はかなり軽くなっているらしい。多くの罪を犯してはいるが、あいつの力があったからこそ今の社会が成り立ってる事は事実らしく、まだ力が必要という事だろう。勿論、納得のいかないと言う声もかなり上がっているらしい。


 「よぉ、お待たせ。行こうぜ」

 「うん」


 あいつにはこれから先、沢山の贖罪が待っていると思う。でもそんな中でも俺はクールにはもう一度、大切な人を見つけ出して欲しいと思う。あいつならきっとそれが出来る。勘だけどな。

 でも見つけたらきっと変わると思う。俺がそうだった様にあいつもきっとそれだけで世界が大きく変わると思うからだ。

 陽だまりの道を他愛もない話をしながら共に歩む少女を見ながら俺は一人思いを馳せた。

いつも読んでくださりありがとうございます。

これにて第二章が終了となります。この後は暫く日常的なものを書いていけたらなーと思っています。

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